Opinion:Apple Arcadeは思いもよらぬ方法でFree to Playを破壊する
シアトル大学のChristopher A. Paul教授は,Appleの定額制サービスでは,無料プレイの仕組みで作られたゲームのプレイ意欲が大きく損なわれる理由を分析する。
2019年にスタートしたApple Arcadeは,プレイヤーに低い月額料金を支払いで数十のゲームを約束し,デベロッパにモバイルゲームにおける資金調達の「束縛」から解放される機会を提供した。このサービスは現在,少額の月額料金と引き換えに,広告やマイクロトランザクションを排除した200以上のゲームを揃えている。
Apple Arcade のような定額制サービスは,プレイヤーにより良い価値を提供し,一部の搾取的と思われるゲームの機能を制限することで,無料プレイの終焉をもたらす可能性があるように思われる。
しかし,2021年にApple Arcadeでリリースされた2つのゲーム,Star Trek LegendsとLego Star Wars Battlesは,Apple Arcadeが無料プレイを破壊するもう1つの方法を示している。それは,確立された無料プレイの仕組みで作られたゲームの場合,マイクロトランザクションがあるときよりもプレイする説得力がずっと低くなることだ。
Star Trek Legendsは,Star Wars Galaxies,Marvel Strike Force,Disney Sorcerer's Arenaなどの無料プレイタイトルの流れを汲むゲームである。ガチャで新キャラクターをアンロックし,キャラクター同士でチームを組んでバトルに挑み,相手チームのAIが操作するアリーナでプレイヤー対プレイヤーのバトルを繰り広げることができる。
Lego Star Wars Battlesは,もともと無料プレイゲームとしてソフトβテストが開始されたが,2021年6月にゲームが終了し,その後同年秋にApple Arcade専用ゲームとして復活した。
Clash RoyaleやGears Popの流れを汲むLego Star Wars Battlesは,タワーディフェンスバトルで展開されるカードのデッキの育成をプレイヤーに課すゲームだ。プレイヤーは勝利するとチェストなどのアイテムを獲得し,それらのオブジェクトは時間経過とともにアンロックされて,これがカードコレクションを増やすための主要なルートとなる。3つのゲームとも,カードの枚数を増やすと強くなるが,定額制のゲームでは,より多くプレイすることでアンロックを早めるチャンスがある。元々のこれらのゲームの無料プレイ版では,プレミアム通貨が必要となっていた。
Apple Arcadeにマイクロトランザクションを中心に設計されたゲームを収録すると,支払いや広告がない分,ゲームのインセンティブが変化して,プレイヤーがプレイする時間の長さがより際立つようになった。プレイを制限するタイマーは,無料プレイでのマネタイズがなければ,ほとんど削除されるか,その影響が小さくなり,プレイヤーは障壁を乗り越えるためになにも消費しなくてよくなる。
これらのゲームの定額制バージョンは,確かに最初はプレイしやすいのだが,観客,時間,お金の関係がすべて変わってしまうため,無料プレイバージョンほどにはプレイヤーを夢中にさせることができない。
無料ゲームの基本的な要素の1つは,ゲームにたくさんお金を使う代わりに,お金を使った人がそうでない人に勝つことができるというものだ。この概念はしばしば食物連鎖のアナロジーの形で表現され,無料プレイのプレイヤーは,お金をあまり使わない雑魚に食べられ,さらに魚,イルカ,クジラ,そして最終的にはクラーケンにまで連鎖していく。
周囲の構造を無視して(無料プレイの)メカニックを移植することは,ゲームの吸引力を制限する中途半端な手段であり,継続的な視聴者をさらに減少させることになる
しかし,お金がかかっていないと食物連鎖が壊れ,ゲームと潜在的なクジラ(または雑魚)の間にフックが設置されない。ゲームを進める唯一の方法は時間をかけることなので,ゲームを早く進める人を制限し,そのようなプレイヤーにカードと経験の両方を支配させる。
このことは,ゲームの利用者が少ない(すでに Apple Arcade に加入している人に限られている)ため,マッチメイキングが従来の無料プレイタイトルほうまく機能しないことを意味し,影響を及ぼしている。発売から 2 年近くたった Gears Pop でさえ,発売からわずか数週間の Lego Star Wars Battles よりもはるかに安定したマッチングを実現しているのだ。
プレイヤーの人数が少ないということは,ゲーム内でコミュニティを形成するのが難しいということでもある。Star Trek Legendsには,ギルドを意識した同盟が存在するが,ゲームをやめる人が非常に多いため,積極的にゲームをプレイしている同盟を見つけるのは非常に困難だ。
無料プレイのゲームは,プレイヤー同士が対戦する大規模なオーディエンスに依存しているが,周囲の構造を無視して仕組みを移植することは,ゲームの魅力を制限し,継続的なオーディエンスをさらに減少させる中途半端な手段となっている。
Apple Arcadeでこの種のゲームをホストすることの第2の限界は,この種のゲームにつきものの「乱発」サイクルだ。
無料プレイスタイルのゲームは,最初の数分間のプレイが素晴らしく魅力的になるように,何年も磨きをかけていた。従来のマネタイズでは,プレイヤーは必然的に壁にぶつかり,引き戻される前に少し遠ざかってしまうだろう。しかし,Arcadeの場合,押し流されることはない。ゲームはひたすら続き,開始時の興奮はやがて限界を超えて,魅力が半減する。
さらに複雑なのは,デベロッパが,お金が絡んだときのようなレバーを引くことができないことだ。Star Wars Galaxiesでは,試行回数に応じてエネルギーやプレミアム通貨を課金し,コンテンツの消費を効果的に制限している。Clash Royaleは,プレミアム通貨を課金したり,宝箱を開けるのを待たせたりすることで,プレイヤーがどれだけ早くカードを入手できるか,どれだけ長くプレイできるかを制限している。
さらに複雑なのは,デベロッパがお金が絡んだときのようなレバーを引くことができないことだ。
Star Trek Legendsでは,そのようなレイヤーがないため,プレイヤーはストーリーの展開をはるかに上回るスピードで,コンテンツを駆け抜けることができている。
Star Wars Lego BattlesにはClash Royaleのチェストタイマーがあるが,バトルを重ねることでアンロックされるため,プレイヤーを一歩も退かせず,暴飲暴食のサイクルの影響を増幅させることになる。このため,ゲーム内の時間の重要性が高まり,大量の時間を投資した人はゲーム内でより強力になり,マッチメイキングをさらに破壊することになるのだ。
デベロッパが引ける唯一のレバーがプレイヤーのゲームへの投資時間である場合,お金のレバレッジに依存したゲームデザインはうまく機能せず,単にプレミアム通貨があるはずだった場所にもっと遊べる機能を置くよりも,より徹底した再設計が必要になるのだ。
おそらく,サービスとして設計されたゲームにプレイヤーを引き付け続ける最も強力な力学は,埋没コストの誤謬,またはプレイヤーにとってより肯定的な言葉で言えば,ポットコミットメント(※ポーカー用語。オンラインゲームで言うと,課金しすぎたのでいまさら止められない状況)になるという考えだ。ゲームに時間,お金,資源を費やせば費やすほど,そこから離れるのは難しくなる。
多人数参加型オンラインゲームのような強固なソーシャルダイナミクスがなければ,Star Trek LegendsやStar Wars Lego Battlesで差別化できるのは,ゲームをプレイした時間だけだ。そして,これらのゲームでは,プレイヤーがよほど深くハマらない限り,ポットコミットしていると感じさせるレベルの時間投資を行うことは,まずあり得ない。最初のゲーム内課金という形のお金のほうが,ゲームの中盤までプレイヤーをつなぎとめ,投資させることができる,より大きなフックとなる。
Apple Arcadeの場合,他の200のゲームが存在することで,個々のゲームの粘着性に反して,プレイヤーは代わりにどんな他のゲームをプレイできるかを常に考えることになり,最も収益性の高いモバイルゲームのリストの回転数よりも,最もダウンロードされたApple Arcadeゲームの上位の回転数がはるかに多くなっている。
Star Trek LegendsやStar Wars Lego Battlesでは,プレイヤーがどこでお金を使うかを確認できるため,これらのゲームに仮のプレミアム通貨を組み込むことも魅力的だ。しかし,通貨の再設計については,各ゲームで異なる方法で解決している。
Star Trek Legendsは,とくにゲーム序盤で,かつてプレミアムだったものでプレイヤーを圧倒し,多くのコンテンツを矮小化し,プレイヤーを信じられないほど早く強力な存在にしてしまう。
Star Wars Lego Battlesでは,プレミアム通貨にかなり厳しい制限が設けられており,定額制のゲームで得られる通貨の範囲内ではほとんど手が出ないようなストアや特別オファーによって,さらに面白くなっている。どちらのゲームでも,プレミアム通貨は幻の付属品のようなものだ。かつてそこにあったものが見えなくなり,違和感を覚える。
私はこのようなゲームで多くの時間と少なくないお金を費やしていたが(すべて研究のためだ),ゲームが他の収益構造に移行したときにどのように歪み,捻じれるかを見るのは専門的に興味深い。
また,私はAppleやさまざまなデベロッパよりも,誰が遊んでいて,どのくらいの時間遊んでいて,どのようにゲームを回しているのか,詳しい統計や情報を持っていると妄想しているわけではない。Appleがデベロッパとの契約においてプレイヤーリテンションを重視するのは,このような背景があるのだと思う。
EurogamerでMatthew Reynoldsが述べているように,このようなゲームは,無料プレイの特徴と,完全にアンロックされたサブスクリプションまたはプレミアムタイトルのダイナミクスを持ち,事実上2つの世界の間で立ち往生している。どちらとも言えないのだ。そしてある意味,このようなゲームは,Star Wars Battlefront IIに搭載されたLoot Boxの騒動の面白バージョンと言えるかもしれない。
Apple Arcade向けの開発は,確立された規範や慣行があるゲームのジャンルに,収益を得るための不格好なシステムを移植するのではなく,ゲームからマイクロトランザクションのシステムを引き剥がすことを意味する。EAがFIFAのようなスポーツゲームのマネタイズ戦略をシューティングゲームに取り入れたときよりも,この方法は好意的なレビューにつながり,批判も少なくなるが,必ずしもより優れた,より魅力的なゲームになるわけではない。無料プレイを前提としたゲームがApple Arcadeに登場した場合,デベロッパは,ゲームのあらゆるフックについて考え,新しいプレイ環境において何がプレイヤーを本当に夢中にさせるのかを考えるべきだろう。
2019年にスタートしたApple Arcadeは,プレイヤーに低い月額料金を支払いで数十のゲームを約束し,デベロッパにモバイルゲームにおける資金調達の「束縛」から解放される機会を提供した。このサービスは現在,少額の月額料金と引き換えに,広告やマイクロトランザクションを排除した200以上のゲームを揃えている。
Apple Arcade のような定額制サービスは,プレイヤーにより良い価値を提供し,一部の搾取的と思われるゲームの機能を制限することで,無料プレイの終焉をもたらす可能性があるように思われる。
しかし,2021年にApple Arcadeでリリースされた2つのゲーム,Star Trek LegendsとLego Star Wars Battlesは,Apple Arcadeが無料プレイを破壊するもう1つの方法を示している。それは,確立された無料プレイの仕組みで作られたゲームの場合,マイクロトランザクションがあるときよりもプレイする説得力がずっと低くなることだ。
ゲームについて
Star Trek Legendsは,Star Wars Galaxies,Marvel Strike Force,Disney Sorcerer's Arenaなどの無料プレイタイトルの流れを汲むゲームである。ガチャで新キャラクターをアンロックし,キャラクター同士でチームを組んでバトルに挑み,相手チームのAIが操作するアリーナでプレイヤー対プレイヤーのバトルを繰り広げることができる。
Lego Star Wars Battlesは,もともと無料プレイゲームとしてソフトβテストが開始されたが,2021年6月にゲームが終了し,その後同年秋にApple Arcade専用ゲームとして復活した。
Clash RoyaleやGears Popの流れを汲むLego Star Wars Battlesは,タワーディフェンスバトルで展開されるカードのデッキの育成をプレイヤーに課すゲームだ。プレイヤーは勝利するとチェストなどのアイテムを獲得し,それらのオブジェクトは時間経過とともにアンロックされて,これがカードコレクションを増やすための主要なルートとなる。3つのゲームとも,カードの枚数を増やすと強くなるが,定額制のゲームでは,より多くプレイすることでアンロックを早めるチャンスがある。元々のこれらのゲームの無料プレイ版では,プレミアム通貨が必要となっていた。
Apple Arcadeにマイクロトランザクションを中心に設計されたゲームを収録すると,支払いや広告がない分,ゲームのインセンティブが変化して,プレイヤーがプレイする時間の長さがより際立つようになった。プレイを制限するタイマーは,無料プレイでのマネタイズがなければ,ほとんど削除されるか,その影響が小さくなり,プレイヤーは障壁を乗り越えるためになにも消費しなくてよくなる。
これらのゲームの定額制バージョンは,確かに最初はプレイしやすいのだが,観客,時間,お金の関係がすべて変わってしまうため,無料プレイバージョンほどにはプレイヤーを夢中にさせることができない。
食物連鎖を断ち切る
無料ゲームの基本的な要素の1つは,ゲームにたくさんお金を使う代わりに,お金を使った人がそうでない人に勝つことができるというものだ。この概念はしばしば食物連鎖のアナロジーの形で表現され,無料プレイのプレイヤーは,お金をあまり使わない雑魚に食べられ,さらに魚,イルカ,クジラ,そして最終的にはクラーケンにまで連鎖していく。
周囲の構造を無視して(無料プレイの)メカニックを移植することは,ゲームの吸引力を制限する中途半端な手段であり,継続的な視聴者をさらに減少させることになる
しかし,お金がかかっていないと食物連鎖が壊れ,ゲームと潜在的なクジラ(または雑魚)の間にフックが設置されない。ゲームを進める唯一の方法は時間をかけることなので,ゲームを早く進める人を制限し,そのようなプレイヤーにカードと経験の両方を支配させる。
このことは,ゲームの利用者が少ない(すでに Apple Arcade に加入している人に限られている)ため,マッチメイキングが従来の無料プレイタイトルほうまく機能しないことを意味し,影響を及ぼしている。発売から 2 年近くたった Gears Pop でさえ,発売からわずか数週間の Lego Star Wars Battles よりもはるかに安定したマッチングを実現しているのだ。
プレイヤーの人数が少ないということは,ゲーム内でコミュニティを形成するのが難しいということでもある。Star Trek Legendsには,ギルドを意識した同盟が存在するが,ゲームをやめる人が非常に多いため,積極的にゲームをプレイしている同盟を見つけるのは非常に困難だ。
無料プレイのゲームは,プレイヤー同士が対戦する大規模なオーディエンスに依存しているが,周囲の構造を無視して仕組みを移植することは,ゲームの魅力を制限し,継続的なオーディエンスをさらに減少させる中途半端な手段となっている。
暴飲暴食とパージ
Apple Arcadeでこの種のゲームをホストすることの第2の限界は,この種のゲームにつきものの「乱発」サイクルだ。
無料プレイスタイルのゲームは,最初の数分間のプレイが素晴らしく魅力的になるように,何年も磨きをかけていた。従来のマネタイズでは,プレイヤーは必然的に壁にぶつかり,引き戻される前に少し遠ざかってしまうだろう。しかし,Arcadeの場合,押し流されることはない。ゲームはひたすら続き,開始時の興奮はやがて限界を超えて,魅力が半減する。
さらに複雑なのは,デベロッパが,お金が絡んだときのようなレバーを引くことができないことだ。Star Wars Galaxiesでは,試行回数に応じてエネルギーやプレミアム通貨を課金し,コンテンツの消費を効果的に制限している。Clash Royaleは,プレミアム通貨を課金したり,宝箱を開けるのを待たせたりすることで,プレイヤーがどれだけ早くカードを入手できるか,どれだけ長くプレイできるかを制限している。
さらに複雑なのは,デベロッパがお金が絡んだときのようなレバーを引くことができないことだ。
Star Trek Legendsでは,そのようなレイヤーがないため,プレイヤーはストーリーの展開をはるかに上回るスピードで,コンテンツを駆け抜けることができている。
Star Wars Lego BattlesにはClash Royaleのチェストタイマーがあるが,バトルを重ねることでアンロックされるため,プレイヤーを一歩も退かせず,暴飲暴食のサイクルの影響を増幅させることになる。このため,ゲーム内の時間の重要性が高まり,大量の時間を投資した人はゲーム内でより強力になり,マッチメイキングをさらに破壊することになるのだ。
デベロッパが引ける唯一のレバーがプレイヤーのゲームへの投資時間である場合,お金のレバレッジに依存したゲームデザインはうまく機能せず,単にプレミアム通貨があるはずだった場所にもっと遊べる機能を置くよりも,より徹底した再設計が必要になるのだ。
ポットへのコミットメント
おそらく,サービスとして設計されたゲームにプレイヤーを引き付け続ける最も強力な力学は,埋没コストの誤謬,またはプレイヤーにとってより肯定的な言葉で言えば,ポットコミットメント(※ポーカー用語。オンラインゲームで言うと,課金しすぎたのでいまさら止められない状況)になるという考えだ。ゲームに時間,お金,資源を費やせば費やすほど,そこから離れるのは難しくなる。
多人数参加型オンラインゲームのような強固なソーシャルダイナミクスがなければ,Star Trek LegendsやStar Wars Lego Battlesで差別化できるのは,ゲームをプレイした時間だけだ。そして,これらのゲームでは,プレイヤーがよほど深くハマらない限り,ポットコミットしていると感じさせるレベルの時間投資を行うことは,まずあり得ない。最初のゲーム内課金という形のお金のほうが,ゲームの中盤までプレイヤーをつなぎとめ,投資させることができる,より大きなフックとなる。
Star Trek LegendsやStar Wars Lego Battlesでは,プレイヤーがどこでお金を使うかを確認できるため,これらのゲームに仮のプレミアム通貨を組み込むことも魅力的だ。しかし,通貨の再設計については,各ゲームで異なる方法で解決している。
Star Trek Legendsは,とくにゲーム序盤で,かつてプレミアムだったものでプレイヤーを圧倒し,多くのコンテンツを矮小化し,プレイヤーを信じられないほど早く強力な存在にしてしまう。
Star Wars Lego Battlesでは,プレミアム通貨にかなり厳しい制限が設けられており,定額制のゲームで得られる通貨の範囲内ではほとんど手が出ないようなストアや特別オファーによって,さらに面白くなっている。どちらのゲームでも,プレミアム通貨は幻の付属品のようなものだ。かつてそこにあったものが見えなくなり,違和感を覚える。
今後の展開
私はこのようなゲームで多くの時間と少なくないお金を費やしていたが(すべて研究のためだ),ゲームが他の収益構造に移行したときにどのように歪み,捻じれるかを見るのは専門的に興味深い。
また,私はAppleやさまざまなデベロッパよりも,誰が遊んでいて,どのくらいの時間遊んでいて,どのようにゲームを回しているのか,詳しい統計や情報を持っていると妄想しているわけではない。Appleがデベロッパとの契約においてプレイヤーリテンションを重視するのは,このような背景があるのだと思う。
EurogamerでMatthew Reynoldsが述べているように,このようなゲームは,無料プレイの特徴と,完全にアンロックされたサブスクリプションまたはプレミアムタイトルのダイナミクスを持ち,事実上2つの世界の間で立ち往生している。どちらとも言えないのだ。そしてある意味,このようなゲームは,Star Wars Battlefront IIに搭載されたLoot Boxの騒動の面白バージョンと言えるかもしれない。
Apple Arcade向けの開発は,確立された規範や慣行があるゲームのジャンルに,収益を得るための不格好なシステムを移植するのではなく,ゲームからマイクロトランザクションのシステムを引き剥がすことを意味する。EAがFIFAのようなスポーツゲームのマネタイズ戦略をシューティングゲームに取り入れたときよりも,この方法は好意的なレビューにつながり,批判も少なくなるが,必ずしもより優れた,より魅力的なゲームになるわけではない。無料プレイを前提としたゲームがApple Arcadeに登場した場合,デベロッパは,ゲームのあらゆるフックについて考え,新しいプレイ環境において何がプレイヤーを本当に夢中にさせるのかを考えるべきだろう。
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)