オンラインディスカッション「日本のゲーム基盤にTencent Cloudを活用するということ」レポート。業界関係者がゲーム業界の動向などを語った
Tencentは2021年12月1日,オンラインディスカッション「日本のゲーム基盤にTencent Cloudを活用するということ」を開催した。
Aiming事業支援部副事業部長 野下 洋氏,日本オンラインゲーム協会共同代表理事 植田修平氏,マイネットエンジニアリング統括部長 堀越裕樹氏の3名のゲーム業界関係者が登壇し,4Gamer.net編集長 岡田和久氏の進行のもと,ゲーム業界の最新のシステム状況,ゲーム関係者が抱えるシステム構築問題,Tencent Cloudの活用状況などをテーマにトークを展開した。本稿ではその模様をレポートする。
ディスカッションは日本のゲーム業界の近況についての話題から始まった。植田氏のリサーチによると,国内のマーケットは1兆2000〜3000億円程度の市場規模で高止まりとなっているものの,その内訳はここ数年で大きく変わっていると述べる。各国のメーカーが日本市場をターゲットとしていて,外国産のタイトルが売上の上位に入ってきている状況で,日本のゲーム会社も頑張らなければならないと危惧する。
かつて海外製のタイトルは「洋ゲー」と呼ばれ,一部に揶揄する意味も含まれていたが,今はそう呼ばれることが少なくなり,ユーザーの多くが海外製タイトルだということに気づいていないのではないかと植田氏は指摘した。戦うべき相手がどんどん増えている中で,日本のメーカーももっとグローバルを目指すべきだと考え,さらにそれをどう後押しできるかが大事だとも述べている。
一方,その現場の立場である野下氏は,日本の会社はTencent Cloudのような海外のソリューションを使って開発効率を上げる例が少ないと述べ,植田氏も「日本は昔からそういう傾向にあった」と続ける。日本のゲーム会社は汎用性のない独自エンジンなどを作ってゲームを開発することが多いが,海外の開発会社は汎用性の高い新しいエンジンを積極的に取り入れて効率化し,他にリソースを割くというやり方が一般的だという。
日本のゲーム市場は過去に自国の中だけでビジネスがある程度成立してしまったので,グローバル化に積極的ではない傾向にあるが,そこに海外製ソリューションであるTencent Cloudが一体どんな影響を与えるのかという部分もトークの話題となった。
ビジネスとしては憂うべき状況にあるものの,遊んでいるユーザーはどこの国で作られたということをあまり意識せず,“面白いゲームだから遊ぶ”と現在の傾向が非常に興味深いと堀越氏は語る。またTencent Cloudのような全世界で提供されているサービスを,いち個人でも使える環境が整い,作ったゲームを誰もが世界に出していけるようになったことは,実にワクワクすると述べている。
ちなみにマイネットは現在運営中の複数タイトルでTencent Cloudを活用しているという。まだ研究段階ではあるものの,機能面に対して高いコストパフォーマンスを持っているというのが堀越氏の感想だ。また世界的にもあまり例のない“ゲーミングで培われたクラウド”として,サポート面でも秀でたところがあり,何かトラブルがあったときでも,ゲーム業界ならではのスピード感でのサポートがあり,その内容も充実していることを挙げた。
サポート自体は,昼間は日本語対応となっておりなんの不便もないとのこと。夜の場合はスタッフの交替により英語での対応になることもあるが,英語が理解できれば問題なく,自動翻訳を介すことでも意思疎通はできているそうだ。
野下氏のAimingではまだ導入するかどうかを検討中ではあるものの,仕様を見た段階でゲームとの親和性が高いことが理解でき,ほかのクラウドサービスと比較しても秀でている点が多く,年明けには移行予定ということも明かしている。
Tencent Cloudは中国のクラウドサービスということで,タイトルの中国展開のための確実な足がかりとなるメリットがあり,さらにほかのサービスが扱っていないロシアやブラジルといったリージョンにも対応していて,グローバルな展開にも有利なところがあるとのことだ。
植田氏は今年立ち上げた会社NASSOが運営する,ゲームに特化したボイスチャットアプリ「Peeps」にTencent Cloudのソリューションを導入している。遅延が少なく高音質であることに加え,エンジニアが使いやすい環境にあることを強調した。日々使うものなので,使いやすいことは開発効率に影響していて,「開発面でとても楽をさせてもらっている」と語っていた。
ゲームを作るうえで注力すべきはコンテンツであり,それに付随するボイスチャットなどのサービスは既存のものを導入することで,リソースを別のところに割くことができるのが大きなメリットだと堀越氏が語ると,登壇者全員が大きくうなずいた。
トークでは配信を見ている視聴者からの質問をコメントで募り,登壇者がそれに答える企画も行われた。
「現在のゲームユーザーは,コンソールベースのゲーミングスタイルから,オンラインやスマホゲーム,クラウドゲーミングなどにシフトしていて,この変化に対し技術面でどんな対策をしているか」という質問対し堀越氏は,昨今のゲームは内容に違いはあるものの,基本はオンライン前提であり,運営に必要なクラウドは日々進化していて,それらをいかに活用して“楽をするか”を模索するのが重要なファクターになっていると答えた。
多くのクラウドサービスの選択肢がある中で,Tencent Cloudは機能に関して説明を求めたときに「あのゲームで使っているこの機能」という前例を挙げてくれることで,凄くイメージがしやすいという。実績のあるサービスならではの大きなメリットだろう。
最後の質問は「Tencent Cloudを採用する前はどんなクラウドサービスを使っていて,どのタイミングで切り替えたのか」というもの。マイネットの場合は切り替えではなく複数のクラウドサービスの併用し,特色に合わせて適材適所で使っていると堀越氏は返答した。
特定のクラウドサービスに絞ってしまうと,万が一それが落ちてしまった場合に,運営タイトルのすべてが止まってしまう大きなリスクがあるため,意図的に偏らないようにしているそうだ。Tencent Cloudもそのうちの一つで,他社と比較すると機能面とコスト面のバランスが優れ,ゲーム専門のクラウドというこが大きな強みになっていると返答した。
Aiming事業支援部副事業部長 野下 洋氏,日本オンラインゲーム協会共同代表理事 植田修平氏,マイネットエンジニアリング統括部長 堀越裕樹氏の3名のゲーム業界関係者が登壇し,4Gamer.net編集長 岡田和久氏の進行のもと,ゲーム業界の最新のシステム状況,ゲーム関係者が抱えるシステム構築問題,Tencent Cloudの活用状況などをテーマにトークを展開した。本稿ではその模様をレポートする。
ディスカッションは日本のゲーム業界の近況についての話題から始まった。植田氏のリサーチによると,国内のマーケットは1兆2000〜3000億円程度の市場規模で高止まりとなっているものの,その内訳はここ数年で大きく変わっていると述べる。各国のメーカーが日本市場をターゲットとしていて,外国産のタイトルが売上の上位に入ってきている状況で,日本のゲーム会社も頑張らなければならないと危惧する。
かつて海外製のタイトルは「洋ゲー」と呼ばれ,一部に揶揄する意味も含まれていたが,今はそう呼ばれることが少なくなり,ユーザーの多くが海外製タイトルだということに気づいていないのではないかと植田氏は指摘した。戦うべき相手がどんどん増えている中で,日本のメーカーももっとグローバルを目指すべきだと考え,さらにそれをどう後押しできるかが大事だとも述べている。
一方,その現場の立場である野下氏は,日本の会社はTencent Cloudのような海外のソリューションを使って開発効率を上げる例が少ないと述べ,植田氏も「日本は昔からそういう傾向にあった」と続ける。日本のゲーム会社は汎用性のない独自エンジンなどを作ってゲームを開発することが多いが,海外の開発会社は汎用性の高い新しいエンジンを積極的に取り入れて効率化し,他にリソースを割くというやり方が一般的だという。
日本のゲーム市場は過去に自国の中だけでビジネスがある程度成立してしまったので,グローバル化に積極的ではない傾向にあるが,そこに海外製ソリューションであるTencent Cloudが一体どんな影響を与えるのかという部分もトークの話題となった。
ちなみにマイネットは現在運営中の複数タイトルでTencent Cloudを活用しているという。まだ研究段階ではあるものの,機能面に対して高いコストパフォーマンスを持っているというのが堀越氏の感想だ。また世界的にもあまり例のない“ゲーミングで培われたクラウド”として,サポート面でも秀でたところがあり,何かトラブルがあったときでも,ゲーム業界ならではのスピード感でのサポートがあり,その内容も充実していることを挙げた。
サポート自体は,昼間は日本語対応となっておりなんの不便もないとのこと。夜の場合はスタッフの交替により英語での対応になることもあるが,英語が理解できれば問題なく,自動翻訳を介すことでも意思疎通はできているそうだ。
野下氏のAimingではまだ導入するかどうかを検討中ではあるものの,仕様を見た段階でゲームとの親和性が高いことが理解でき,ほかのクラウドサービスと比較しても秀でている点が多く,年明けには移行予定ということも明かしている。
Tencent Cloudは中国のクラウドサービスということで,タイトルの中国展開のための確実な足がかりとなるメリットがあり,さらにほかのサービスが扱っていないロシアやブラジルといったリージョンにも対応していて,グローバルな展開にも有利なところがあるとのことだ。
植田氏は今年立ち上げた会社NASSOが運営する,ゲームに特化したボイスチャットアプリ「Peeps」にTencent Cloudのソリューションを導入している。遅延が少なく高音質であることに加え,エンジニアが使いやすい環境にあることを強調した。日々使うものなので,使いやすいことは開発効率に影響していて,「開発面でとても楽をさせてもらっている」と語っていた。
ゲームを作るうえで注力すべきはコンテンツであり,それに付随するボイスチャットなどのサービスは既存のものを導入することで,リソースを別のところに割くことができるのが大きなメリットだと堀越氏が語ると,登壇者全員が大きくうなずいた。
トークでは配信を見ている視聴者からの質問をコメントで募り,登壇者がそれに答える企画も行われた。
「現在のゲームユーザーは,コンソールベースのゲーミングスタイルから,オンラインやスマホゲーム,クラウドゲーミングなどにシフトしていて,この変化に対し技術面でどんな対策をしているか」という質問対し堀越氏は,昨今のゲームは内容に違いはあるものの,基本はオンライン前提であり,運営に必要なクラウドは日々進化していて,それらをいかに活用して“楽をするか”を模索するのが重要なファクターになっていると答えた。
多くのクラウドサービスの選択肢がある中で,Tencent Cloudは機能に関して説明を求めたときに「あのゲームで使っているこの機能」という前例を挙げてくれることで,凄くイメージがしやすいという。実績のあるサービスならではの大きなメリットだろう。
最後の質問は「Tencent Cloudを採用する前はどんなクラウドサービスを使っていて,どのタイミングで切り替えたのか」というもの。マイネットの場合は切り替えではなく複数のクラウドサービスの併用し,特色に合わせて適材適所で使っていると堀越氏は返答した。
特定のクラウドサービスに絞ってしまうと,万が一それが落ちてしまった場合に,運営タイトルのすべてが止まってしまう大きなリスクがあるため,意図的に偏らないようにしているそうだ。Tencent Cloudもそのうちの一つで,他社と比較すると機能面とコスト面のバランスが優れ,ゲーム専門のクラウドというこが大きな強みになっていると返答した。