プレイを楽しみながら経済活動ができるブロックチェーンゲームの実現を目指す。「PolkaFantasy」のキーパーソンにインタビュー

 日本のアニメや漫画,ゲームなどの2次元カルチャーに特化した,NFTプロジェクト「PolkaFantasy」。このプロジェクトでは,「Play-to-Earn」(投資型プレイ)を掲げ,NFTマーケットプレイスとブロックチェーンゲームを組み合わせることにより,ゲームファンやクリエイター,暗号資産(仮想通貨)所持者が集うコミュニティの形成を目指しているという。
 また2022年のローンチを予定しているゲームの部分は,従来のブロックチェーンゲームとは一線を画す,RPGを志向するゲームを目指すとのこと。

 今回,PolkaFantasyの開発・運営を手がけるFantasy TechのCEO/Founder Alex Hui氏と戦略アドバイザーの岡田大士郎氏,ゲームアドバイザーの松岡雅幸氏に,本プロジェクトの概要や目的,今後の展開などを聞いた。

プレイを楽しみながら経済活動ができるブロックチェーンゲームの実現を目指す。「PolkaFantasy」のキーパーソンにインタビュー

まだ世界に追随できる今,日本にしっかりしたブロックチェーンゲーム市場を形成したい


GamesIndustry.biz:
 本日はよろしくお願いします。まずは皆さんがPolkaFantasyにおいて担っている役割を教えてもらえますか。

Alex Hui氏
Alex Hui氏(以下,Hui氏):
 私は,PolkaFantasyを開発・運営するFantasy TechのCEO兼ファウンダーです。もともとは自分の所有するスタジオでアプリ開発をしており,その後,ブロックチェーンを使用した事業開発専門のディレクターを務め,世界的なアワードを2回受賞するなど数々のプロジェクトに携わってきました。そして2020年,それらの知識やノウハウを投入し「PolkaFantasy」の企画・開発をスタートしたんです。

岡田大士郎氏(以下,岡田氏):
 私は,PolkaFantasyの戦略アドバイザーを務めています。2005年から2年ほどスクウェア・エニックスの米国法人の社長を務め,その後2007年から10年ほど本社の総務部長を務めました。2018年に定年退職し,現在はHLD Lab(Happy Life Design Laboratory)を設立して主に社会事業に取り組んでおり,その中でAlexさんと出会いました。
 私自身はゲームクリエイターではないのですが,ブロックチェーンやNFTといった新しくワクワク感のある領域を多くの人に啓蒙したり,私が持つネットワークを活用して業界を盛りあげたりしていきます。

松岡雅幸氏(以下,松岡氏):
 私は,PolkaFantasyのゲームアドバイザーを務めています。もともとはサイバーエージェントグループでゲーム攻略メディア・アプリをプロデュースしており,それが結構なヒットとなって,それまでの夢だった「ゲームで人と人をつなぐ」を叶えました。そのあと一般社団法人ゲームカルチャー協会を設立し,今はその代表理事を務めています。

 また私は学生のときにTCG「遊戯王」シリーズのPC大会で世界ランキング1位を獲得しました。TCGの魅力はいろいろありますが,その1つにカードのトレードや市場性があると感じており,NFTの魅力もそれに近いんじゃないかと考えていました。そしてゲームカルチャー協会の活動に取り組む中,Alexさんと出会って考え方が近しいことを知り,PolkaFantasyへの参画を決めました。

GamesIndustry.biz:
 そもそもの質問になってしまうのですが,“PolkaFantasy”という名称は何を指しているのでしょうか。公式サイトを見ても,ゲームの名前なのか,NFTのマーケットプレイスの名前なのか,それとも全部をひっくるめた総称なのかが分からなかったものですから。

Hui氏:
 全部含めた総称です。そもそもPolkaFantasyはプロジェクト名で,ブロックチェーンゲームのエコシステムの実現を目指しています。

GamesIndustry.biz:
 公式サイトではPlay-to-Earnを謳っていますが,その仕組みを教えてもらえますか。

Hui氏:
 PolkaFantasyはブロックチェーンゲームですから,ゲームをプレイすると何かしら報酬をもらえます。例えば,バトルで勝てばトークンを獲得できます。また所有するNFTをステーキングして,トークンや別のNFTを獲得することも可能です。限定版のNFTを獲得したら,マーケットプレイスで売ることもできます。それがPlay-to-Earnの基本的な仕組みです。
 一方,PolkaFantasyではブロックチェーンゲームの革命を起こしたいので,Play-to-Earnのさまざまな方向性を探ってみたいと考えています。

松岡氏:
 例えばブロックチェーンゲームの中で,レアアイテムとして「エクスカリバー」がドロップしたとします。このエクスカリバーは,そのゲームの中では1つしか存在しません。それがマーケットプレイスに出品されたとき,誰が買えるのかといえばゲーム内通貨を使って一番高い対価を払ったプレイヤーです。
 これはTCGにもある状況で,例えば「遊戯王」では世界1位になると限定カードをもらえるんですが,そういうカードは非常に高額で取引されます。そうやって獲得したカードを実際にカードとして使うのか,コレクションにするのか使い方は所有者によってさまざまです。ブロックチェーンゲームのNFTも,TCGのカードのように社会的な価値を持つようになっていく世界を実現したいと思っています。

岡田大士郎氏
岡田氏:
 オンラインゲームプレイヤーの中には,レアアイテムに大きな価値を見出す人がいます。そのためRMTをする──すなわち,リアルの通貨を使ってプレイヤー間でレアアイテムを売買することが行われ,すでに巨大な市場が形成されています。しかし,それはオンラインゲームの運営側にとって望ましい状況ではありません。
 しかしブロックチェーンやNFTといった技術の登場により,これからの時代はデジタル資産の価値がきちんと公証されるようになります。その結果,ゲームをプレイして獲得したレアなデジタル資産を,そのゲームの中で取引できるわけです。ある意味,投資的な取引を可能とするゲームプレイとも言えます。

松岡氏:
 またAppleやGoogleは,ゲーム内のプレイヤー間での金銭が発生するトレードを基本的に禁止しています。なぜ禁止しているかというと,1つの理由にプレイヤーがApp StoreやGoogle Playに一旦課金し,ゲーム内通貨を購入してからゲーム内の取引をしてほしいからです。仮にプレイヤー間で直接取引できるとなると,App StoreやGoogle Playへの課金の総量が減ってしまうんですね。
 そのため新しいシステムの市場を作れない状態になっていたんですが,僕達にはもはやそういう時代ではないという認識があります。

岡田氏:
 これからの時代は,「あつまれ どうぶつの森」のようなメタバースの中でゲームをプレイする機会も増えるでしょう。例えば自分の島を作り,ほかのプレイヤーを招待して自作のアイテムを売ったり買ったりするような活動が生じる可能性もあります。 
 そうした状況を踏まえてPolkaFantasyにおけるPlay-to-Earnは,投機的な目的を主とするのではなく,メタバース上で娯楽としてゲームをプレイする中で投資的な経済活動もできるというイメージで掲げています。

GamesIndustry.biz:
 PolkaFantasyのエコシステムを形成・維持するためには,どのくらいの規模のプレイヤーが必要になると予想していますか。

Hui氏:
 当然ですが,多ければ多いほど良いです。このプロジェクトは日本および海外の国や地域それぞれに向けたマーケティングのノウハウを持っており,ゲームのローンチ時点でプレイヤー数はある程度の規模になっていますので,エコシステムの形成・維持は十分できると考えています。
 またマーケットプレイスの活性化に関しては,良い商材になりそうなアイテムを提供していけば,売る人も買う人も自然に増えていくのではないでしょうか。

プレイを楽しみながら経済活動ができるブロックチェーンゲームの実現を目指す。「PolkaFantasy」のキーパーソンにインタビュー
岡田氏:
 私はスクウェア・エニックスに入る前に,25年ほど金融の仕事に携わっていたのですが、暗号資産(仮想通貨)の市場は,ある意味「金融市場」的な側面があるように感じています。市場規模は,すでに何兆円という規模になっており,ファイナンスの視点から見ると,1つの会社が10億円以上の資金を集めているという実態があります。暗号資産には株式などと同じ投資的な側面があります。今やブロックチェーンゲームにも,純粋にゲームを楽しもうというプレイヤーだけでなく,投資,投機的な側面に価値を見出す人達が参入しています。
 PolkaFantasyにも,さまざまな目的を持った人達が参入してくると思いますが,その中で私が応援していきたいと思っているのが,多くの「クリエイター」です。作品の中では素晴らしいアートや音楽を提供していても,組織の中で埋もれてしまってなかなか名前が世に出ないクリエイターはたくさんいます。
 しかしそうしたクリエイターが,自分の描いたイラストや作った音楽などをNFTとしてマーケットプレイスに出品すれば,「素敵だね」と価値を認めてくれる人が出てくるかもしれません。その中には,それまでゲームと接点のなかった人もいるでしょう。それを市場という点から見ると,ゲームの領域だけではない,経済そのものになっていく可能性があります。

 そうした市場は世界中にたくさん生まれています。ただ日本だけは,さまざまな規制によって遅れています。放っておくと,「なぜ日本からGAFAが生まれなかったのか」という事態と同じようなことが,近い将来に起きてしまいます。今のうちに世界に追随できる状況を作るべく,PolkaFantasyに取り組んでいるというイメージでしょうか。


GamesIndustry.biz:
 今お話にあったNFTで収益を高めるという旨は,PolkaFantasyのnoteにも書かれていました。マーケットプレイスに1点もののデジタルアートを出品して利益を出したり,それが二次的に取引された際に生じた利益の何割かが作者に渡されたりということは理解できたのですが,noteにはそれ以外にも利益を出す方法があると示唆されていましたけれども。

Hui氏:
 PolkaFantasyにおいて一番理解しやすいビジネスモデルは,おっしゃるとおりマーケットプレイスでのNFT販売です。しかしPolkaFantasyはゲームでもありますから,最初に少し説明したようにゲームをプレイすることで得られるアイテムや,ほかのコンテンツとコラボした限定キャラクターなどのNFTをマーケットプレイスに出品して利益を出すことができます。すでに2021年8月に,プレセールと称したNFTオークションイベントを開催しましたが,その売上は4億円以上を記録しました。

 また繰り返しですが,PolkaFantasyはブロックチェーンゲームのエコシステムの実現を目指しています。それが実現したら,UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンのように,簡単にブロックチェーンのエコシステムを作れる仕組みをほかのゲーム会社に提供して,ロイヤリティを得ることも考えています。そうやってブロックチェーンゲーム全体を盛り上げていくわけです。

プレイを楽しみながら経済活動ができるブロックチェーンゲームの実現を目指す。「PolkaFantasy」のキーパーソンにインタビュー

GamesIndustry.biz:
 例えばクリエイターがPolkaFantasyに出したいオリジナルキャラクターのイラストを描いたとして,それが実際に採用される可能性はあるのでしょうか。

Hui氏:
 もちろん可能性はあります。またクリエイターの皆さんが出品するNFTは,必ずしもPolkaFantasyに関係するものである必要はないです。

GamesIndustry.biz:
 公式サイトを見ている限りでは,PolkaFantasyにはしっかりした世界観があるイメージですけれども,それにそぐわないNFTの出品も許容するのでしょうか。

Hui氏:
 そうです。基本的には,日本の2次元カルチャーに沿っているものであれば,どんなものを出品して構いません。ただコミュニティを重視しているため,プレイヤーが「もっと多くの人に知ってほしい」と思うクリエイターや作品に投票できるシステムを用意しています。このシステムによって,自然と世界観に沿ったNFTに注目が集まると考えています。

GamesIndustry.biz:
 世界観に沿ったNFTのほうが価値が上がりやすいので,出品も自然淘汰的に世界観に沿ったものばかりになると。

Hui氏:
 価値の上がりやすさについては,確かにそうかもしれません。ただ私達自身はゲームは世界観に,マーケットプレイスは日本の2次元カルチャーにそれぞれ沿っていれば構わないというスタンスです。

プレイを楽しみながら経済活動ができるブロックチェーンゲームの実現を目指す。「PolkaFantasy」のキーパーソンにインタビュー


暗号資産を抜きにしても,誰もが名前を知っていて楽しくプレイできるゲームに


GamesIndustry.biz:
 少し話は変わりますが,公式サイトを見るとユーティリティトークンとして【$XP】(エックスピー)がありますけれども,この“XP”とは何ですか。

Hui氏:
 経験値のことです。“eXPerience point”の略ですね。PolkaFantasyはRPGなので,これは雰囲気に合うなと。
 またユーティリティトークンにしたのは,これまたエコシステムの実現に関わります。マーケットプレイスで【$XP】を使うと購入価格が割引されたり,あるいは限定のアイテムパックやキャラクターパックを買えたりします。ほかにもバトルで勝つともらえる,アイテムを買えるなど,運営視点からはいろんな使いみちがあります。

岡田氏:
 【$XP】自体は,ビットコインやイーサリアムと同じような暗号資産の1つです。2021年9月に分散型取引所Uniswap V2にて上場しているので,正規の取引ができる価値を持っています。ビットコインなどと同様に,対リアル通貨の価値が変動するため,リアル通貨のような法定通貨ではありません。
 今はPolkaFantasyの中で使える通貨に,公証性を持たせるために上場した仮想通貨という位置付けだと捉えてもらうと良いと思います。

松岡雅幸氏
松岡氏:
 【$XP】という名前にすると聞いたとき思わず笑っちゃったんですけど,こういう遊び心がないとそもそもゲームは作れないですよね。
 経験値はゲームの中だけでなく,リアルの世界にもスキルアップという形などで存在していると考えています。ゲームの経験値とリアルの経験値の共通点は,時間をかけて蓄積していくことです。その意味では,労働の対価とも言えますよね。実際,韓国では時間をかけて獲得したゲームのレアアイテムの所有権は,その獲得した人にあります。こうした議論は,韓国だけでなくさまざまな国で繰り返し行われ,今後どこかのタイミングで入り口が開くだろうと捉えています。
 また時間をかけてプレイするほど【$XP】という価値が溜まっていくことにより,ゲーム自体の寿命も延びていきます。今後はそういった息の長いゲームが増えていくでしょう。

GamesIndustry.biz:
 【$XP】を購入しなくとも,ゲーム自体は遊べるのでしょうか。

Hui氏:
 基本的には,その方向で考えています。PolkaFantasyをプレイするハードルは低ければ低いほど良いと考えているので,【$XP】が絶対必要という環境は作りたくないんです。しかし,今後システムをどうしていくかについては検討中ですので,「プレイに【$XP】は必要ない」とはまだ宣言できない段階です。今言えるのは,仮に【$XP】が必要だとしても,ハードルはかなり低くしたいということですね。

GamesIndustry.biz:
 NFTのキャラクターやアイテムを購入するには,どうしても法定通貨を暗号資産に変換する必要がありますよね。そこに年齢制限のようなものはあるのでしょうか。

Hui氏:
 それは今後,社内で検討していく課題の1つです。今は18歳以下の高校生や中学生が暗号資産の取引を本格的にやっているイメージがないので,おそらくPolkaFantasyのプレイヤー層は20歳以上になるんじゃないかと考えています。
 
GamesIndustry.biz:
 先ほど少し話に出たプレセールですが,その中にはゲーム内の土地を売るランドセールもあります。ローンチ前からゲーム内の土地を売る狙いを教えてもらえますか。

Hui氏:
 私達は,PolkaFantasyを歴史に名を残すようなゲームにしたいと考えています。しかし,そのためには多くの投資が必要です。プレセールとして開催したランドセールの売上は,すべて開発資金になっています。
 ちなみにランドシステムは,私達が提供するブロックチェーンゲームのエコシステムのセールスポイントの1つとなっています。

GamesIndustry.biz:
 現在,大半のブロックチェーンゲームは,「次に出てくるレアなャラクターやアイテムをいち早く獲得して,それを売却してお金を稼ぐ」というプレイヤーが多いですよね。それも楽しみ方の1つと言ってしまえばそのとおりですが,この状況をどう捉えていますか。

PolkaFantasyでは,ゲーマーの矜持を持ってブロックチェーンゲームの革命を起こしたいです


Hui氏:
 確かに,ブロックチェーンゲームはおっしゃったとおりの状況になりがちです。ただ私自身がゲーマーなので,その状況を残念に思っており,常々何とかならないかと考えています。PolkaFantasyでは,ゲーマーの矜持を持ってブロックチェーンゲームの革命を起こしたいです。

 そのためにPolkaFantasyは,岡田さんや松岡さんを筆頭に,ゲームを開発している人や大手ゲーム会社に勤務していた人に参画いただいて,本格的なゲームとして開発を進めています。今のオーソドックスなブロックチェーンゲームを作るだけなら,比較的簡単です。でもPolkaFantasyは本格的なゲームにしたいので,コストや時間がかかっても「これを作る」という強い意思を持って開発しています。参画していただいている皆さんにも,私の夢を伝えて,賛同していただいています。まだ発表できませんが,「ブロックチェーンゲームにそこまでするの?」と言われてしまうようなクリエイターにも参画していただいています。

 ブロックチェーンゲームということで,現在のPolkaFantasyはゲーマーの皆さんにはまだマイナーかもしれませんが,最終的には暗号資産に興味がない人でも名前を知っている,誰でも楽しくプレイできるゲームに仕上げたいですね。

岡田氏:
 ご指摘のように,暗号資産市場は加熱しています。とくに海外では,繰り返しですが何兆円という規模になっており,デジタルアートが70億円で落札される事態になっています。その一方で,今の状況は言わばバブルであり,どこかおかしいと指摘する人もいます。
 私がPolkaFantasyを応援するのは,私自身がゲームというエンターテイメントで人間の幸福を追求したりワクワクさせたりする健全な市場を作りたいからですし,Alexさんもそう考えているからです。
 スクウェア・エニックス時代からそうですが,産業として健全に喜びや幸福な社会を作る,そしてそれが文化になる,そういうことを私はやっていきたいんです。

 その半面,多くの人が投機目的でブロックチェーンゲームをプレイしているのも事実です。結局RMTと一緒で,そういう目的の人はゼロにはなりません。そういう人は,IPやクリエイターの思いなんてどうでもいいんです。オークションサイトや古物商を使って,お金稼ぎができればそれでいいという人が少なからずいます。
 そんな状況下でどれだけ貢献できるかという部分がありますけれども,2次元文化というポップカルチャーを作り出してきた日本のゲーム文化を,IPやクリエイターを傷つけることなく健全に支えていきたいという思いがあります。

松岡氏:
 僕は,AlexさんがPolkaFantasyのトークンに【$XP】と名付けたと聞いて,「この人,ものすごくゲームが好きなんだな」と思ったんです。僕自身,小学生の頃からゲーム業界のお世話になっていましたから,“ゲーム”というワードを大切にしています。今ゲーム業界にコミットしているのも,お金を稼ぐと言うより業界に貢献したいからです。

 最近のゲームは、儲かる事を重視したゲームが増えました。ビジネスですからもちろん構わないんですが,そうなると本当に感動があって,記憶に残る面白いゲームや良質なコミュニティが生まれにくくなるなどさまざまな弊害が生じます。

 PolkaFantasyが本当の意味で盛り上がることを考えたとき,まずは優れたゲームやそれに対する感動が必要だろうと考えています。NFTで稼いでもらうのもアリですが,それはそれとして本質的な部分を見失わないようにしようと。その意味では,Alexさんは根本ができているので大丈夫だろうと信頼しています。

GamesIndustry.biz:
 NFT自体は,仮にゲームのサービスが終了しても資産として残りますよね。あまり実現した例を聞かないのですが,もし別のゲームに資産を引き継げるとしたらゲーマーとしては嬉しいです。

松岡氏:
 アニメでありますよね。「ソード・アート・オンライン」とか。

Hui氏:
 実は,それもやりたいことの1つなんです。ぜひ実現したいです。

GamesIndustry.biz:
 現状,PolkaFantasyはまだ日本での知名度が低い状態です。今後,その知名度を上げる施策はなんでしょうか。

Hui氏:
 PolkaFantasyに限らず,ブロックチェーンゲーム全体を見たときに知名度の高いものはまだ少ない状況だと捉えています。
 そんな状況ですが,YouTubeでPolkaFantasyを検索するといくつか動画が出て来ます。これらの動画は,すべてファンの皆さんに作っていただいたものです。
 またこれからゲームをローンチしますし,今年のQ4にはマーケットプレイスのβ版もリリースします。加えて,すでに何人かのクリエイターとコラボして,彼らの作品をNFTとして出品する予定もあります。そのコラボを発表したら,結構注目が集まると期待しています。

GamesIndustry.biz:
 それでは最後に,PolkaFantasyやブロックチェーンゲームに注目しているゲーム業界人,クリエイターに向けてメッセージをお願いします。

プレイを楽しみながら経済活動ができるブロックチェーンゲームの実現を目指す。「PolkaFantasy」のキーパーソンにインタビュー
岡田氏:
 ブロックチェーンゲームはまだまだ認知されておらず,「うさんくさい」と思っている人がいっぱいいます。そのため,PolkaFantasyでコラボをお願いしても「まだ勉強中なので……」という返事をいただくことも多いのですが,私は、クリエイターの皆さんに「新しい世界や未来のエンターテイメントを創造していきませんか」と呼びかけています。技術や制度の問題はありますけれども,ファミコンからソーシャルゲームまで日本のゲーム歴史を辿ると,次はメタバースの中でブロックチェーンやNFTを活用した新しいエンタテイメントゲームに移行していく可能性を感じています。そこに多くのクリエイターに参入していただいて,新しい世界や喜びを一緒に作っていきたいと考えています。

松岡氏:
 目下の課題として,市場ができないとゲームとしての楽しみ方が1つ減ってしまうことが挙げられます。決済システムのハードルはありますが,子ども達に届けられるゲームにすることが僕自身の考える大きな課題です。時代の変化に応じて実現できるとは思いますが,時代を変化させるのもまた“人”です。「ブロックチェーンゲームはうさんくさい,分からない」と思われがちですが,世の中の大半は分からないことだらけです。PolkaFantasyは,そんな世の中を切り開いて未来を作っているプロジェクトだと捉えています。

Hui氏:
 NFTはまだ歴史が浅いですが,近い将来には誰もがNFTを持っている時代が来ます。例えばインターネットが登場したときは,どの企業も「使わなくていい」と考えていましたし,個人も「よく分からない」と言っていました。しかし今やインターネットは企業や人々にとって不可欠な存在です。
 そして,最初のインターネットブラウザが登場したのは1991年なんです。2021年の今,誰もが手元でインターネットを使っています。たった30年でインターネットがこれだけ普及したのですから,NFTの普及もどんどんスピードが上がり,10年後にはかなりの人が使っているはずです。

 我々はまだ若い会社ですが,「クリエイターの皆さんと一緒に未来を作っていく」という夢があります。自分のデジタルアートをNFT化して管理するつもりのないクリエイターの皆さんもまだまだ多いでしょうが,少しでも試していただければNFTが秘めている可能性を理解できると思います。ゲームクリエイターもイラストレーターもゲーマーも,一緒にブロックチェーンゲームやマーケットプレイスに参加して,NFTやブロックチェーンの魅力を感じていただきたいと考えています。

GamesIndustry.biz:
 ありがとうございました。

「PolkaFantasy」公式サイト