CD PROJEKTはゲームを並行して開発する体制に移行
The WitcherとCyberpunk を開発したスタジオの新戦略は,複数のAAAプロジェクトを並行して進めること。Digital Scapesを買収し,戦略の基盤となるCD PROJEKT RED Vancouverを新設
「Cyberpunk 2077」をリリースしたCD PROJEKTが,開発戦略の一新を発表した。
同社は本日,企業改革とゲーム開発の方法の変革を目的とした,「Red 2.0」と名づけた新たな経営戦略を明らかにした。
発表によれば,CD PROJEKTは来年以降,複数のAAAゲームと拡張機能を並行して開発する予定だという。上場企業である同社のこれまでの開発手法では,「The Witcher 3: Wild Hunt」から「Cyberpunk 2077」の発売まで,6年以上の期間が空いていた。
CD PROJEKT REDの最高技術責任者(CTO)兼制作責任者であるPaweł Zawodny氏は,「プロダクトの品質を確保しつつ,2つのグローバルブランドについて同時に仕事ができるようにしたい」とし,「我々は技術的な進歩を重視しており,さまざまな専門性や能力を兼ね備えた多目的なチームを設立したいと考えている。これらのチームを,プロジェクト横断的な専門家グループが支援し,開発の重要な側面では,彼らの専門知識が大きく貢献するはずだ」と述べている。
複数のプロジェクトを同時に処理するためには,さらに大きなチームが必要となるはずだ。これについてCD PROJEKTは,採用を強化し,「合併や買収の機会を,さらに積極的に追求する」ことを検討しているという。
CD PROJEKTはそのための措置として本日,バンクーバーに拠点を置くDigital Scapesの買収を発表した。約10名の開発者からなるDigital Scapesは,ここ数年,「Cyberpunk 2077」の開発でCD PROJEKTと提携していた。買収条件などは,公表されていない。
買収によりDigital ScapesはCD PROJEKT RED Vancouverに名称を変更し,Marcin Chudy氏がスタジオヘッドを務める。
CD PROJEKT REDは並行開発への移行に加え,すべての対応機種でゲームが動いている様子を確認してもらう,短期間のマーケティングキャンペーンを計画している。
昨年,「Cyberpunk 2077」の発売前にPS4版とXbox One版が動作している様子を公開しなかったことについて,CD PROJEKT REDは公式に謝罪した。これらのコンシューマ機版のパフォーマンスは酷評され,同社は失望したユーザーに返金を行い,またSIEはPlayStation Storeから「Cyberpunk 2077」を削除した。CD PROJEKT REDはアップデートやパッチをリリースしたが,この原稿の執筆時点で,PlayStation Storeの販売は再開されていない。
CD PROJEKTの新戦略はまた,シングルプレイ向けRPGのファン以外にもユーザー層を拡大することを求めている。同社は,「AAAクラスのRPGを中心としたジャンルの融合」を目指し,オンライン機能を重視したプロジェクトを進めていくとしている。
「The Witcher」や「Cyberpunk 」のアニメなど,フランチャイズを新たなメディアで展開することでも,ファン層の拡大が期待され,実写版「Cyberpunk 」のプロジェクトも検討されているという(ただし,CD PROJEKTは,Netflixのシリーズや今後予定されているアニメプロジェクトのベースとなる「The Witcher」の原作小説の権利を保有していないため,こうした展開の一部はCD PROJEKTの管理外となる)。
CD PROJEKTの新戦略は最後に,「持続可能で思いやりのある職場環境を確保するための努力を,もう一度強化する」としている。
何年も前からCD PROJEKT REDは,ゲーム開発にクランチタイムを多用する手法をとっていると批判されてきた。2019年5月には,共同創設者であるMarcin Iwiński氏が 「非義務的なクランチポリシーを採用した」と述べている。
このポリシーは長続きせず,CD PROJEKTの共同CEOを務めるAdam Kiciński氏は翌年1月,投資家に対して,スタッフがクランチを要求されたことを確認し,「Cyberpunk 2077」が開発の最終段階にあったと説明している(「Cyberpunk 2077」は2020年に3回延期され,12月10日に発売された)。
スタジオ責任者であるAdam Badowski氏は,新戦略の発表において「何年もの間,我々の最大の資産はチームであるという信念を強調してきました。CD PROJEKTは今後も包括的で多様性のある職場であり続けますが,同時に社員の幸福を重視し,彼らに専門的かつ個人的なゲーム開発の機会を提供したいと考えています」とコメントしている。
「Cyberpunk 2077」をリリースしたCD PROJEKTが,開発戦略の一新を発表した。
同社は本日,企業改革とゲーム開発の方法の変革を目的とした,「Red 2.0」と名づけた新たな経営戦略を明らかにした。
発表によれば,CD PROJEKTは来年以降,複数のAAAゲームと拡張機能を並行して開発する予定だという。上場企業である同社のこれまでの開発手法では,「The Witcher 3: Wild Hunt」から「Cyberpunk 2077」の発売まで,6年以上の期間が空いていた。
CD PROJEKT REDの最高技術責任者(CTO)兼制作責任者であるPaweł Zawodny氏は,「プロダクトの品質を確保しつつ,2つのグローバルブランドについて同時に仕事ができるようにしたい」とし,「我々は技術的な進歩を重視しており,さまざまな専門性や能力を兼ね備えた多目的なチームを設立したいと考えている。これらのチームを,プロジェクト横断的な専門家グループが支援し,開発の重要な側面では,彼らの専門知識が大きく貢献するはずだ」と述べている。
複数のプロジェクトを同時に処理するためには,さらに大きなチームが必要となるはずだ。これについてCD PROJEKTは,採用を強化し,「合併や買収の機会を,さらに積極的に追求する」ことを検討しているという。
CD PROJEKTはそのための措置として本日,バンクーバーに拠点を置くDigital Scapesの買収を発表した。約10名の開発者からなるDigital Scapesは,ここ数年,「Cyberpunk 2077」の開発でCD PROJEKTと提携していた。買収条件などは,公表されていない。
買収によりDigital ScapesはCD PROJEKT RED Vancouverに名称を変更し,Marcin Chudy氏がスタジオヘッドを務める。
CD PROJEKT REDは並行開発への移行に加え,すべての対応機種でゲームが動いている様子を確認してもらう,短期間のマーケティングキャンペーンを計画している。
昨年,「Cyberpunk 2077」の発売前にPS4版とXbox One版が動作している様子を公開しなかったことについて,CD PROJEKT REDは公式に謝罪した。これらのコンシューマ機版のパフォーマンスは酷評され,同社は失望したユーザーに返金を行い,またSIEはPlayStation Storeから「Cyberpunk 2077」を削除した。CD PROJEKT REDはアップデートやパッチをリリースしたが,この原稿の執筆時点で,PlayStation Storeの販売は再開されていない。
CD PROJEKTの新戦略はまた,シングルプレイ向けRPGのファン以外にもユーザー層を拡大することを求めている。同社は,「AAAクラスのRPGを中心としたジャンルの融合」を目指し,オンライン機能を重視したプロジェクトを進めていくとしている。
「The Witcher」や「Cyberpunk 」のアニメなど,フランチャイズを新たなメディアで展開することでも,ファン層の拡大が期待され,実写版「Cyberpunk 」のプロジェクトも検討されているという(ただし,CD PROJEKTは,Netflixのシリーズや今後予定されているアニメプロジェクトのベースとなる「The Witcher」の原作小説の権利を保有していないため,こうした展開の一部はCD PROJEKTの管理外となる)。
CD PROJEKTの新戦略は最後に,「持続可能で思いやりのある職場環境を確保するための努力を,もう一度強化する」としている。
何年も前からCD PROJEKT REDは,ゲーム開発にクランチタイムを多用する手法をとっていると批判されてきた。2019年5月には,共同創設者であるMarcin Iwiński氏が 「非義務的なクランチポリシーを採用した」と述べている。
このポリシーは長続きせず,CD PROJEKTの共同CEOを務めるAdam Kiciński氏は翌年1月,投資家に対して,スタッフがクランチを要求されたことを確認し,「Cyberpunk 2077」が開発の最終段階にあったと説明している(「Cyberpunk 2077」は2020年に3回延期され,12月10日に発売された)。
スタジオ責任者であるAdam Badowski氏は,新戦略の発表において「何年もの間,我々の最大の資産はチームであるという信念を強調してきました。CD PROJEKTは今後も包括的で多様性のある職場であり続けますが,同時に社員の幸福を重視し,彼らに専門的かつ個人的なゲーム開発の機会を提供したいと考えています」とコメントしている。
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)