2020年上半期以降のモバイルゲームへのCOVID-19の影響に関する見通し
Sensor TowerのCraig Chapple氏は,パンデミックの蔓延に伴う主要市場のダウンロード数と収益の変化を分析した。
以前,COVID-19のパンデミックが2020年第1四半期のモバイルゲーム市場にどのような影響を与えたかを分析したところ(関連記事),インストール数が明らかに増加し,収益も増加傾向にあった。
ゲームダウンロードは第1四半期に急増し,前四半期比で21%増え,前年同期比39%増の134億本となった。一方,プレイヤーの支出は前四半期比6.6%増え,前年同期比16%増の175億ドルと小幅な増加となった。
しかし,世界の多くの国にとって,第1四半期は世界を席巻したパンデミックの始まりとなった。
1月の中国を皮切りに,他の国でも同様にロックダウンが実施され,とくに3月はずっとロックダウンが実施されていた。第1四半期も明らかに急増していたものの,2020年第2四半期には新規インストール数と収益の両方でさらに急増し,キャッチアップを果たしている。
2020年上半期のモバイルゲーム市場に関する最新データについては,当社のGamesIndustry.biz Liveで紹介した「The State of Games in 2020 in Mobile Gaming」と題したプレゼンテーションを以下で確認可能だ。
第2四半期には,ダウンロード数が前四半期比12.2%,前年同期比44.4%と再びショットアップした。最終的にダウンロード数は2020年4月に約55億とピークを迎え,世界的なパンデミックとロックダウンのピークと重なり,その後数か月の間に複数の国で緩和が始まることになった。現在,多くの国が国レベルではなく地方レベルでのロックダウンとなっている。
プレイヤーの支出は2020年第2四半期にはさらに加速し,収益は前四半期比10.7%増,前年同期比28%増の194億ドルとなった。四半期ごとの伸びは例年よりもはるかに大きく,好調な収益は2020年7月まで続いており,世界のモバイルゲーム市場は先月68億ドルの収益を上げている。
米国市場をジャンル別に見てみると,2020年3月に屋内退避命令があったことでダウンロード数が急増し,ハイパーカジュアル,パズル,シミュレーション,ライフスタイルなどの上位ジャンルでインストール数が増加していることが分かる。
6月には,「ハイパーカジュアル」「パズル」「アーケード」のダウンロード数が1月の実績を下回った。一方,「シミュレーション」「ライフスタイル」は年初からの増加分をほぼ維持した。米国のゲームカテゴリー全体のダウンロード数は,6月までに1月の水準を下回ったものの,2月を上回る4億4570万本となった。
米国のモバイルゲーム市場の収益は,ダウンロード数の増加から数か月後にピークを迎えた。上位200本のゲームを合わせると,5月の米国ユーザーの支出は15億ドル近くに達したが,6月には上位ジャンル全体で収入が減少した。
ダウンロードと同様に,収益の伸びも上位ジャンル全体に分散しており,とくにシミュレーションゲームとシューティングゲームの伸びが高く,2020年第2四半期にはそれぞれ前四半期比で50%近くの伸びを示した。
全体では,収益のピークは2020年5月の19億ドルで,ダウンロードよりも低くなっており,全国の州がロックダウン対策を緩和したことと一致している。
2020年第2四半期の米国でのゲームの売上高トップ5は,Roblox,Candy Crush Saga,Coin Master,Fortnite,Gardencapesだった。
今,業界の誰もが疑問に思うのは,モバイルゲーム業界は,ロックダウンとパンデミックのあと,どうなるのかということだ。
厄介な質問だが,我々は最終的に,パンデミックが発生した最初の数か月間に見られたことを基に,今後数年間はダウンロード数が増加すると予想し,以前の予測と比較して収益は横ばいになると予想して,5年間の予測を修正した。
2020年のダウンロード数は前年比35.7%増の570億本となり,2019年から大幅に増加すると予想している。今後数年間,モバイルゲームのダウンロード数はアプリを上回る成長が見込まれており,消費者がこれまで以上に携帯電話を利用するようになったことで,インストール数の増加は持続すると予想されている。
プレイヤーの支出については,2020年が今後数年間で最も収益が急増し,前年比14.3%増の720億ドルになると予想している。
App Storeのゲーム収益は2024年までに51%,つまり年平均成長率(CAGR)8.5%の成長が見込まれており,Google Playのゲームカテゴリは2019年から2024年の間にCAGRが10.2%になると予測されている。
ダウンロード数はパンデミック前の前回予想よりも増加するが,世界的に経済見通しが悪化していることもあって,売上高は同様の予想となっている。
COVID-19の大流行はあらゆる産業に大きな影響を与えており,モバイルゲームもその点では変わらない。しかし,あらゆる課題にもかかわらず,他の多くの業界とは異なり,消費者が家に閉じこもり,エンターテイメントや他の人とつながる方法を求めていたため,モバイルゲームは繁栄を続けることができた。
今後数年を効果的に予測するのは難しい。経済見通しや,安全で効果的なワクチンがいつ発見されるのかなど,未知数が多すぎるからだ。しかし,これまでのところ,モバイルゲーム業界は驚異的な回復力を誇っている。
しかし,世界中の経済がどのように回復するのか,またその回復にはどのくらいの時間がかかるのかなどでは,さらなる逆風が待ち受けている。中国でも規制が強化されており(関連英文記事),Appleはすでに8月に数万本のモバイルゲームをApp Storeから削除しているほか,App StoreのIDFAが近々変更され,モバイルゲーム会社のユーザー獲得方法が変更されることになっている。
業界はここ数か月で好景気を経験しているが,デベロッパやパブリッシャは,今後数か月,数年の間に何が起こるかに注意を払う必要があるだろう。
Craig Chapple氏は,モバイルアプリのエコシステムを使いこなすために必要なデータとインサイトを提供するモバイルインテリジェンス企業Sensor TowerのEMEA担当モバイルインサイトストラテジストだ。以前はPocketGamer.bizのシニアエディターを務め,ゲーム業界で8年以上働いていた。
以前,COVID-19のパンデミックが2020年第1四半期のモバイルゲーム市場にどのような影響を与えたかを分析したところ(関連記事),インストール数が明らかに増加し,収益も増加傾向にあった。
ゲームダウンロードは第1四半期に急増し,前四半期比で21%増え,前年同期比39%増の134億本となった。一方,プレイヤーの支出は前四半期比6.6%増え,前年同期比16%増の175億ドルと小幅な増加となった。
しかし,世界の多くの国にとって,第1四半期は世界を席巻したパンデミックの始まりとなった。
1月の中国を皮切りに,他の国でも同様にロックダウンが実施され,とくに3月はずっとロックダウンが実施されていた。第1四半期も明らかに急増していたものの,2020年第2四半期には新規インストール数と収益の両方でさらに急増し,キャッチアップを果たしている。
2020年上半期のモバイルゲーム市場に関する最新データについては,当社のGamesIndustry.biz Liveで紹介した「The State of Games in 2020 in Mobile Gaming」と題したプレゼンテーションを以下で確認可能だ。
第2四半期には,ダウンロード数が前四半期比12.2%,前年同期比44.4%と再びショットアップした。最終的にダウンロード数は2020年4月に約55億とピークを迎え,世界的なパンデミックとロックダウンのピークと重なり,その後数か月の間に複数の国で緩和が始まることになった。現在,多くの国が国レベルではなく地方レベルでのロックダウンとなっている。
プレイヤーの支出は2020年第2四半期にはさらに加速し,収益は前四半期比10.7%増,前年同期比28%増の194億ドルとなった。四半期ごとの伸びは例年よりもはるかに大きく,好調な収益は2020年7月まで続いており,世界のモバイルゲーム市場は先月68億ドルの収益を上げている。
カテゴリーの内訳
米国市場をジャンル別に見てみると,2020年3月に屋内退避命令があったことでダウンロード数が急増し,ハイパーカジュアル,パズル,シミュレーション,ライフスタイルなどの上位ジャンルでインストール数が増加していることが分かる。
6月には,「ハイパーカジュアル」「パズル」「アーケード」のダウンロード数が1月の実績を下回った。一方,「シミュレーション」「ライフスタイル」は年初からの増加分をほぼ維持した。米国のゲームカテゴリー全体のダウンロード数は,6月までに1月の水準を下回ったものの,2月を上回る4億4570万本となった。
米国のモバイルゲーム市場の収益は,ダウンロード数の増加から数か月後にピークを迎えた。上位200本のゲームを合わせると,5月の米国ユーザーの支出は15億ドル近くに達したが,6月には上位ジャンル全体で収入が減少した。
ダウンロードと同様に,収益の伸びも上位ジャンル全体に分散しており,とくにシミュレーションゲームとシューティングゲームの伸びが高く,2020年第2四半期にはそれぞれ前四半期比で50%近くの伸びを示した。
全体では,収益のピークは2020年5月の19億ドルで,ダウンロードよりも低くなっており,全国の州がロックダウン対策を緩和したことと一致している。
2020年第2四半期の米国でのゲームの売上高トップ5は,Roblox,Candy Crush Saga,Coin Master,Fortnite,Gardencapesだった。
成長予測
今,業界の誰もが疑問に思うのは,モバイルゲーム業界は,ロックダウンとパンデミックのあと,どうなるのかということだ。
厄介な質問だが,我々は最終的に,パンデミックが発生した最初の数か月間に見られたことを基に,今後数年間はダウンロード数が増加すると予想し,以前の予測と比較して収益は横ばいになると予想して,5年間の予測を修正した。
2020年のダウンロード数は前年比35.7%増の570億本となり,2019年から大幅に増加すると予想している。今後数年間,モバイルゲームのダウンロード数はアプリを上回る成長が見込まれており,消費者がこれまで以上に携帯電話を利用するようになったことで,インストール数の増加は持続すると予想されている。
プレイヤーの支出については,2020年が今後数年間で最も収益が急増し,前年比14.3%増の720億ドルになると予想している。
App Storeのゲーム収益は2024年までに51%,つまり年平均成長率(CAGR)8.5%の成長が見込まれており,Google Playのゲームカテゴリは2019年から2024年の間にCAGRが10.2%になると予測されている。
ダウンロード数はパンデミック前の前回予想よりも増加するが,世界的に経済見通しが悪化していることもあって,売上高は同様の予想となっている。
今後の逆風
COVID-19の大流行はあらゆる産業に大きな影響を与えており,モバイルゲームもその点では変わらない。しかし,あらゆる課題にもかかわらず,他の多くの業界とは異なり,消費者が家に閉じこもり,エンターテイメントや他の人とつながる方法を求めていたため,モバイルゲームは繁栄を続けることができた。
今後数年を効果的に予測するのは難しい。経済見通しや,安全で効果的なワクチンがいつ発見されるのかなど,未知数が多すぎるからだ。しかし,これまでのところ,モバイルゲーム業界は驚異的な回復力を誇っている。
しかし,世界中の経済がどのように回復するのか,またその回復にはどのくらいの時間がかかるのかなどでは,さらなる逆風が待ち受けている。中国でも規制が強化されており(関連英文記事),Appleはすでに8月に数万本のモバイルゲームをApp Storeから削除しているほか,App StoreのIDFAが近々変更され,モバイルゲーム会社のユーザー獲得方法が変更されることになっている。
業界はここ数か月で好景気を経験しているが,デベロッパやパブリッシャは,今後数か月,数年の間に何が起こるかに注意を払う必要があるだろう。
Craig Chapple氏は,モバイルアプリのエコシステムを使いこなすために必要なデータとインサイトを提供するモバイルインテリジェンス企業Sensor TowerのEMEA担当モバイルインサイトストラテジストだ。以前はPocketGamer.bizのシニアエディターを務め,ゲーム業界で8年以上働いていた。
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)