「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?

 おそらく本サイトをご覧になる皆さんは「Surgeon Simulator 2013」をご存知だろう。Global Game Jam 2013での登場以降,世界中で大ヒットした「ゆるゆる物理」系ゲームだ。のちにSteamで完全版が公開され,実に多くのプレイヤーがその奇想天外な残虐性に大笑いした。

 先日,開発チームであるBossa Studiosは正当続編として「Surgeon Simulator 2」を発表した。小規模なチームから始まったBossaも,現在はこうした規模の大きなゲームを作るスタジオに成長し,投資家からの支援も多数受けている。


 そんなBossa StudiosのCo-Founder & Gamer-in-ChiefであるHenrique Olifiers氏に,Bossaの成功とSurgeon Simulator 2についてインタビューを行った。Bossaの沿革をはじめ,投資企業からのサポートや英国のゲーム産業への支援,インディコミュニティや最大4人のマルチプレイとレベルエディタを搭載して大きく変貌を遂げたSurgeon Simulator 2での技術的な挑戦について,じっくりヒアリングした。


Bossa Studiosが成功するまでの道のり


Henrique Olifiers氏
「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?
――Bossa Studiosの沿革を教えてください。

Olifiers氏:
 Bossa Studiosは2010年にRoberta Lucca,Henrique Olifiers,そしてImre Jeleによりクリエイティビティを最優先にしたゲーム開発をするという理念をもとに設立されました。80年代や90年代に心から楽しんだ,可笑しくて,ルールに縛られないゲームを作るのがその目的です。たとえば,我々がMSX時代に楽しんだゲームは,ペンギンがお姫様を救うためにドラゴンと戦う「夢大陸アドベンチャー」や,「Qバート」「パックマン」など,よく考えれば不思議なキャラクターが活躍するゲームだったわけです。
 最近のゲーム業界は少しシリアスになりすぎており,そこに風穴を開けてみたかったのです。

 Bossa Studiosとして初めて作ったゲームはマルチプレイヤーの「Monstermind」で,これはSNSにおいてリアルタイムで遊べる最初のゲームであり,BAFTA(英国アカデミー賞:ヨーロッパで最も権威のある賞)を含むいくつもの賞を受賞しました。このサンドボックスタイプのゲームは,プレイヤーが自分たちの都市を作り,B級映画に付きものの巨大なゴジラやキングコングのような怪獣を育て,その怪獣で友達の都市を攻撃して,その防衛網を破壊しまくるというものです。
 Monstermind後はSNSプラットフォームから離れ,最初のPCゲーム,「Surgeon Simulator」を作りました。その後,それほど時期を置かずにパンがトーストになるために冒険する「I Am Bread」を作り,そのどちらも販売数累計数百万を超える大成功をしたのです。
 Bossa Studiosの特徴は,どのゲームも奇想天外で,他で見かけることのない独自路線のクリエイティブなゲームであることだと思います。Surgeon Simulatorがリリースされた当初,このようなゲームはありませんでした。今でもI Am Breadのようなゲームはありません。我々は,新しくて,ちょっと変わったゲームを作り,ゲーム業界を少しでも変えていけたらと思っています。

「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?

――Bossa Studiosが今の人数まで成長するにあたり,どのような道をたどりましたか。

Olifiers氏:
 この会社の創業時には,創業者と4人の従業員しかいませんでした。創業チームメンバーの1人は「Thomas Was Alone」や「Volume」を作ったMike Bithellです。MonsterMindのリリース時には,それが12人に増えました。2013年にSurgeon Simulatorがリリースされた時にはそれが35人になっていましたが,Surgeon Simulatorのチーム自体はたった4人で構成されていました。Global Game Jam 2013にはスタジオから2チーム送り,そのうちの1チームが作ったのがSurgeon Simulatorでした。
 クリエイティブが中核となっているスタジオですから,我々は毎月社内か,あるいはGlobal Game Jamのような社外でゲームジャムを行っています。年に100程度(毎月7から10)新ゲームのプロトタイプが作られますが,プロダクションに乗るのはそのうち2,3のゲームで,最終的なリリースに繋がるのは1つか2つのゲームだけです。
 こういったゲームジャムを通して,多くのアイデアをテストし,人々にユニークだと思われる楽しいゲームを作り出しています。今ではスタジオは100人体制となり,3つのプロジェクトを同時に動かしています。


――会社を大きくしていく中で,英国政府や地域,業界団体などからのサポートは受けましたか。

Olifiers氏:
「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?
 イギリスには,「VGTR(Video Game Tax Relief)」という税金扶助があり,これにより開発コストを20%削減できます。また,UKIE(The Association for UK Interactive Entertainment)という組織が政府や政策担当者と掛け合い,業界をきちんと認めてもらえるようサポートしてくれています。政府が法令や政策を決めるうえでこの業界の必要事項を認識してもらうためにも,これは非常に大切なことです。


――BossaにはベンチャーキャピタルのMakers Fundが投資しています。どのようなきっかけで投資が決まったのでしょうか?

Olifiers氏:
 Makers FundのJayson ChiさんとMichael Cheungさんには,「Worlds Adrift」という壮大なサンドボックスMMOを開発していた2017年に初めてお会いしました。これはUGC(ユーザー制作コンテンツ)を基本とするゲーム戦略としては最初のもので,他のプレイヤーと共にゲームの未来を作っていくゲームでした。

 ゲームのリリース前に,ゲームプラットフォーム上に空に浮かぶ数千もの島を用意し,プレイヤーがそのプラットフォームやツールを駆使してゲームの世界を作れるようにしました。

 このUGC戦略が成功した背景にはBossa Studiosの方向性を信じてくれたMakers Fundが大きく貢献しています。このゲームで得た戦略や技術は,次にリリースするSurgeon Simulator 2にも引き継がれており,このゲームでは4人までのプレイヤーが協力し合ってレベルやゲームメカニクスを同じ環境で同時に制作できるようになっており,UGCがさらにレベルアップされています。


――ベンチャーキャピタルからは資金提供のほか,どのようなサポートがありましたか?

Olifiers氏:
「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?
 Bossa Studiosの投資家たちは,ゲーム業界での経験値の高いプロフェッショナルで,投資家である以前にアドバイザーとしていろいろと相談に乗ってくれています。彼らが窓口となり,いろいろな人に紹介してもらったり,戦略やプラットフォーム,市場に関するアドバイスなどももらっています。スタジオとしての大きな決断をする前には彼らにもその情報を共有していますが,それは彼らが会社に出資しているからではなく,ゲームや業界のことを熟知しており,洞察力のある方々だからです。

 投資家とそういった関係を保っていられるのは,珍しいことなのかもしれませんが,投資家のMakers Fund, LVP, Atomico,そしてNetEaseは常にその洞察力を駆使して相談に乗り,サポートしてくれています。取締役会もいつもスムーズに運び,さらにスタジオを良い方向に導くための話し合いを行う良い機会となっています。


――VCからの投資を受けるまでに,どのくらいピッチを行いましたか? 

Olifiers氏:
 Bossa Studiosではたいてい,提案から6か月以内に出資を受けています。最初のゲームがリリースされる前に,すでに多額の出資を受けることができました。これはクリエイティビティを中核にする方向性と創業者チームの過去の成功を認めてもらったからだと思っています。Bossa Studios の創業者1人1人の過去の実績が,最初のシードラウンドを受ける際には役に立ちました。

 今までの出資を受けるまでのサイクルは早く,だいたい開始してから3〜4か月で出資を受けています。

 出資を受けるための売り込みには労力がいります。毎回,まず40社ほどの投資家たち1人1人に売り込み,その中から会社に合う投資家を選んでいきます。自分達にマッチし,会社の理念を理解し,長期にわたって協力してもらえるパートナーを探すには,多くの時間を割く必要があります。そのためにはたくさんの人と会っていくことになります。


――英国にはインディのためのコミュニティでどのようなものがありますか。また成長中のスタジオがあれば教えてください。

Olifiers氏:
 イギリスには世界で最大規模のインディゲームのエコシステムがあります。たとえば,Team17がリリースしている「Overcooked」のGhost Townや「The Escapists」のMouldy Toofなど,そのほとんどが地元のインディスタジオにより開発されています。ほかにもよく知られたスタジオとしては,FacePunch(「Garry's Mod」や「Rust」)やHello Games (「No Man’s Sky」)などが挙げられます。

 イギリスのインディコミュニティのネットワークは広く張り巡らされていますが,一大「ハブ」があるわけではなく,小さなコミュニティが会う機会を作ったり,GDCなどのイベント参加の際に落ち合ったりしています。誰もがいつも仲良く,機会があれば協力したり,サポートし合ったりしています。これはおそらく80年代にいわゆる「ベッドルームコーダー」と言われていたクリエイターたちが,少しでも良いゲームを開発するためにノウハウなどを共有し合ってきた過去に帰するものだと思います。


大幅な進化を遂げた「Surgeon Simulator 2」


「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?
――今回は「マルチプレイ」という大きな変化がありました。技術的なチャレンジは大変でしたか?

Olifiers氏:
 最初に作ったゲーム,Monstermindがマルチプレイヤーであったこともあり,Bossa Studiosではマルチプレイヤーゲームには長く携わってきました。ですが,Surgeon Simulator 2は,マルチプレイヤーであるだけでなく,物理演算も関わってくるため,複雑な要素が加わっています。プレイヤーがハチャメチャなプレイをし,数千ものモノが動き回っている中で,物理演算をシンクロさせるのはとても難しいチャレンジでした。

 Surgeon Simulator 2では,そのゲームデザインを実装できる他社ソリューションがなかったため,マルチプレイヤーのスタックはゼロからの自社開発となりました。これには莫大な投資と作業が必要となりましたが,数千のプレイヤーが同時にプレイできる安定したスケーラビリティのあるシステムを開発することができました。

 信頼できる会社が作った既存の技術システムがあるのなら,それを実装することで,技術ではなくゲームを作ることに専念したいというのが会社の基本方針ですが,どうしても既存のシステムが見つからない場合,Surgeon Simulator 2のように自社開発することになります。

「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?

――レベルエディタも大きなフィーチャーです。開発で苦労した点はありますか?

Olifiers氏:
 レベルエディタに関しては,すでに数年前にWorld Adriftで作られたものがあったため,その基礎はありましたが,今まで1人のプレイヤーでしか作成できなかったレベルを複数のプレイヤーが同時に制作に関われるエディタを作るのはゲーム業界でも初めての試みだったのでないかと思います。こういったツールにはレベルのオーナーが誰か,誰が制作物を投稿するのか,またそれを変更できるのは誰かなどのロジカルな問題を解決する必要があります。

 このエディタを作るのは大変でしたが,Surgeon Simulator 2でプレイヤーたちが,友達と一緒にクリエイティビティを存分に発揮しながら,楽しく,質の高いコンテンツを制作しているのを見ていると,努力した甲斐があったと思います。将来的に,マルチプレイヤーのUGCがゲーム開発の大きな柱となっていくと信じていますので,その一石を投じることができたことを誇りに思っています。


――発表当時からストリーマーによる動画放送を歓迎しているようですが,動画配信者との付き合い方をどう考えていますか?

Olifiers氏:
 ゲーム実況者や配信者とはSurgeon Simulator 2013のリリースから,とても良い関係を築いてくることができていました。すでに7年が経過した今も,毎日40万人もの人々がYouTubeでSurgeon Simulatorのビデオを視聴しています。Surgeon SimulatorとI Am Breadのビデオは合わせて50億回以上視聴されており,これは長年実況者や配信者と築きあげてきた関係の賜物だと思っています。
 実況者や配信者には,ゲーム開発の初期段階から協力してもらっています。ゲームのアイデアを共有し,意見交換し,彼らのコンテンツやIP を参照し,彼らからの興味深いアイデアをゲームに取り入れていきます。このような関係を築くことで,プレイするだけでなく,視聴するにも楽しいゲームの開発が可能になり,より視聴者に近づいたゲームを作ることができるようになります。また,視聴者に近づくことでゲームのプロモーションに繋がります。
ゲーム開発者以外の方々から意見を収集するというのは今に始まったことではなく,以前は雑誌の編集者やジャーナリストなどとのプレビュー時に多くの意見交換を行い,ゲーム開発に反映させてきました。ですから,新メディアの台頭と共に,伝統的なメディアから,より視聴者に近い実況者や配信者へと協力体制が変わっただけなのです。


――TwitchやYouTubeなどの動画プラットフォームとは,何か協業やマーケティングの協力をしていますか?

Olifiers氏:
「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?
 TwitchとYouTube はゲームの成功には欠かせないパートナーであり,良い協力関係を築いています。彼らをもってしても面白くないゲームを成功させることは難しいですが,すでに好評を博しているゲームをさらに拡散させるためには彼らのサポートは欠かせません。
 Bossa Studiosのマーケティングチームは通常のゲームパブリッシャとは異なり,元ゲーム実況者,ソーシャルメディアのエキスパート,ゲーム開発者などで構成されています。そのためパートナーや情報を受け取る側に応じて臨機応変に応対することができます。ゲームをサポートしてもらうためには,その応対が重要なため,このチームはゲームを成功に導く「潤滑油」であると思っています。


――日本では通常の動画ストリーマーに加え,Virtual YouTuber(VTuber)と呼ばれるアニメスタイルのLet’sPlayが非常に盛んです。そのような文化に興味はありますか?

Olifiers氏:
 Vtuberとは,実況者が自分ではない特別なジャンルやスタイルの他の「誰か」になり切り,視聴者にアプローチする手法だと思います。これは「現実」の実況者が自分では表現しにくい,新しいアイデアや考え方を実況者とキャラクターの間に距離を置くことで表現しているため,ある意味健康的であり,興味深いと思います。
 開発の観点から言っても,彼らは,例えば,ゲーム内キャラクターになりやすいため,協力しやすいように思えます。もし日本のVtuberでBossa Studiosのゲームに興味ある方がいらっしゃるようでしたら,ぜひお声掛けください!


――今作のPC版はEpic Games Storeから発売されます。プラットフォーマーからのサポートはいかがですか?

Olifiers氏:
「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?
 Epic Gamesからは「ゲームの売り上げの前払い」というビジネスモデルを提示され,その予算を使って開発チームがゲームをより良いものにすることができました。このビジネスモデルはインディゲームの開発者にゲームリリース時のマーケティング予算を確保する術を与えるため,業界を変革させる素晴らしいモデルだと思います。

 このモデルは家庭用ゲーム機器のパブリッシャから提示されることはありましたが,PCのプラットフォームでは皆無でした。このようなモデルが普及すれば,ゲーム開発者はさらにリスクを取ったり,野心的になることが許容されるため,ゲームの質も上がり,プレイヤーにも喜ばれる結果になると思います。


――新型コロナの状況下で,開発現場はどう変わりましたか。

Olifiers氏:
 このパンデミックは我々のスタジオや会社の文化を根本的に変え,今でもそれは変わり続けており,最終的にどうなるのかまったく分かりません。
 4か月以上にわたり,100人の全社員が在宅勤務を続けています。社員からはすでに,皆がスタジオ内で作業するという形態には戻りたくないという声が上がっており,在宅勤務と出社を用途に合わせる形態になりそうです。プロジェクト開始といった開発時の大事な段階には全員が出社し,その後は必要に応じて要員が出社したり在宅勤務を行ったり,という形態になるのではないでしょうか?

 そのためのツールや規則,働き方など,まだトライアルの段階ですが,これを問題とは考えずに良い機会だと思うようにしています。例えば,今までイギリスに引っ越して来ることを前提に考えていた採用を変えることはできないか,また,日々のアウトプットを上げていくコラボレーションのソフトウェアやアプローチはないか,などです。
 答えが出るのはまだ先のことになるとは思いますが,働き方の変革が起こっているのは明らかです。


――実地開催のゲーム展示会がなくなった今,どうやって作品をアピールしていますか。オンラインイベントによってプレイヤーからの関心はどう変わりましたか。

Olifiers氏:
「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?
 展示会からオンラインイベントに移行するのは難しいことです。展示会開催者の中でも,上手く移行できたケースとそうでないケースが見受けられます。

 残念ながら,今の私たちには選択肢はありません。オンラインに移行するしかないのです。しかし,そういったイベントの内容は開催者任せになるため,自分たちで変えられることは限られており,今まで開催されたイベントでも結果は展示会より良かった場合と悪かった場合に分れています。

 オンラインイベントの良いところは,展示場に実際に行ける人々だけでなく,興味のある人すべてにアプローチできることです。悪いところは,開催者がそのノウハウをオンラインに移行するためにはまだ時間がかかりそうだということです。

 今月末にはGamescomが開催されますが,彼らはオンラインイベントに精通した The Game Awardsに協力を要請しており,それがどう転ぶか興味深いところです。展示会開催者がオンライン開催者と手を取り合っていくのが,今後の手法になるのかもしれません。

――以前の作品I AM BREADでは,日本のクリエイターによる「DEEEER Simulator」とのコラボレーションがありました。Surgeon Simulator 2も,こうした日本のインディとのコラボレーションを望みますか?

Olifiers氏:
「Surgeon Simulator 2」を生み出したBossa Studiosはどんな開発チームなのか?
 DEEER SimulatorのKickstarterを初めて目にした直後に,開発者(たった1人で開発されていました)に何かサポートできないか連絡を取りました。何をできるか,何をするか,などまったく見当もつかなかったのですが,何らかの協力をしたいと思ったためです。

 今までも,さまざまなインディスタジオと協力しあってきましたが,すべて欧米のスタジオで,日本のパートナーと協力したのは初めてのことでした。

 私たちの大好きなゲームの多くは日本で作られており,日本人のクリエイティビティや開発力には常に尊敬の念を覚えています。今後ももっといろいろと協力関係を築いていけたらと思っています。


――最後に我々日本のクリエイターにアドバイスをください。日本でもさまざまなインディスタジオがあります。成長を目指すスタジオは,作品作りのほかに,どのようなアクションを起こすとよいと思いますか?

Olifiers氏:
 失敗するならなるべく早くに,そして最小限に抑えること,です。アイデアは次から次へと湧いてくるものですが,最初の(または10番めの)アイデアが「絶対に成功する」わけではないため,それにすべてを賭けてはいけません。いくつかのアイデアをプロトタイプとして検証し,その中に宝物を見つけたら,それにすべてを賭けるのです。

 紙に書かれただけのものや頭の中にある素晴らしいアイデアの大半は良いゲームにはなりません。そのアイデアの良し悪しを証明するために開発を開始してしまったら,そのゲームを「素晴らしい」ものにする時間の代わりに「そこそこ良い」ものを作るために時間をかけることになってしまします。

 Bossa Studiosでは,1つの良いゲームを見つけるために,少なくとも100のプロトタイプを作ります。プロトタイプを作る前には,それら100のアイデアは素晴らしいものに見えますが,最終的に製品化できるゲームのみに時間を投じるべきです。

 Surgeon Simulator 2013をある程度まで遊べるプロトタイプにするまでに,4人が48時間を費やしました。そのプロトタイプが楽しかったため,世界中のYouTuberがプレイし始めました。ゲームの開発を正式に始めた時点で,すでにこのゲームが大きな成功を収めることは分っていたのです。

 インディゲームのスタジオが必要なのは,ゲームを開発する前から確実にそのゲームが成功するという確信なのです。

――ありがとうございました。