カプコン「モバイルゲームのガチャ要素を最小限に抑えます」

同社は,今後数年間でデジタル販売比率が80?90%に上昇すると予想している。

 カプコンは,最近の統合レポートで(参考URL),Loot Boxに対する懸念の高まりに対処しており,モバイルゲームの「ガチャ要素を最小化」しようとしていると述べている。

 同社の2019年の統合報告書は,カプコンの現在のビジネスと将来の計画を詳細に示している。Loot Boxの問題は,「お客様との関わり」というタイトルのセクションで取り上げられており,「ゲーム開発における配慮」として小見出しになっている。

 「日本のゲーム市場では,数年前からモバイルゲームを中心に 「ガチャ」に伴う課金問題が議論されており,海外市場においても, 同様の「ルートボックス」について一部において禁止されるなどの 措置がとられています。

 「当社は『遊文化』を創造する会社として,ゲームはくじ引きの ような射幸心を満たすものではなく,あくまで遊んで楽しむもの だと考えています。本来,遊んで幸せになっていただくためのゲーム で過度な課金により,かえって不幸になってしまうのは当社の望む ところではありません。そのため,当社が開発するモバイルゲーム では原則的にガチャ要素は控え,家庭用ゲームにおいても少額の 追加要素は配信しつつも,ゲーム本編を楽しむうえで必須となる ようなコンテンツは無料で配信するなど,全てのユーザーに平等 で安全に楽しんでいただけるよう努めています」

 これは,近年を見る限りほとんどの場合,真実だった。カプコンの最近公開されたモバイルゲームの大部分は,先行費用があり,マイクロトランザクションがまったくないかほとんどない有料タイトルであり,「Mega Man」や「Ace Attorney」ゲームなど,ほかのプラットフォームで利用可能なタイトルが多く含まれている。同社の最新のモバイルリリースである「Shinsekai Into the Depths」は,広告なし,マイクロトランザクションなしのサブスクリプションサービスであるApple Arcadeで開始されている。

 マイクロトランザクションを備えたカプコンの数少ない無料プレイモバイルゲームの1つである「ブラックコマンド」は,「外部条件の変化」により9月に閉鎖されている。

 ガチャの仕組みとLoot Boxについての言及に加えて,このレポートでは,デジタル販売のシェアの増加にも焦点を当てている。前年度のカプコンのデジタル販売比率は53.3%だったが,2020年には75.4%になると予想されている。

 「この主要因は,新作大型タイトル『モンスター ハンターワールド:アイスボーン』を,従来のような 独立した1本(フルプライス)の新作としてではなく, 『MH:W』の超大型拡張コンテンツ,すなわち新作並み にボリュームのある追加DLCとしてデジタル販売を 中心に投入することです」とレポートは語っている。 「言い換えれば,ゲームコンテンツは新しいタイトルと同等のボリュームになりますが,主にデジタル販売チャネルを通じて追加コンテンツとして販売および配信しています」

 「グローバル でのユーザー動向を踏まえ,新たな販売方法にチャ レンジすることで,全体の販売単価は低下し,次期の コンシューマは減収となる見通しですが,同時に利益率 は一段の上昇を見込んでいます」

 また,カプコンは,レポートの別の場所で,デジタル販売率が引き続き増加し,「中長期」で80?90%に達すると予想していると注記している。

 同社は,前年度に2530万本のソフトウェアを出荷したが,そのうち1000万本は物理的なメディアによるものだった。これらの物理的な売上のうち,半分以上(650万)はPlayStation 4で,5分の1(195万)はNintendo Switchでのものだ。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら