よいマネタイズが悪い倫理と出会うとき
Riot GamesのLeanne Loombe氏は,規制を回避するためには業界が収益以上のものによって推進される必要があると語る。
今後数年間繰り広げられるであろう収益化の手法やゲーム中毒の概念との戦いが終わったあとには,ゲームの倫理が近い将来の焦点となる可能性がある。
これらの話題に対する議論は,先月ラスベガスで開催されたDICE Summitでも続いていた。Riot Games Riot Labsの責任者であるLeanne Loombe氏は,倫理的な価格設定とビジネスニーズに沿ったマネタイズ設計のバランスについて二つのラウンドテーブルを開催している。
その後,Loombe氏はGamesIndustry.bizとその話題について話してくれた。話は「倫理的な価格設定」が実際に何であるのかということから始まった。
「これは価値と密接に関係していますよね?」とLoombe氏は尋ねた。「ゲームであれ,技術であれ,あなたが販売しているものはすべて,なんらかの価値をプレイヤーに提供しています。しかし,その価格はプレイヤーの視点から見て知覚価値に合致するものでなければなりません。期待を設定する必要があります。これがいかなる場合にも正しいとは言いませんが,あなたがどうしてもほしい伝説のカード,チャンピオン,キャラクター,または衣服があったとしましょう。その価格が,あるプレイヤーではうまくいかなくても,別のプレイヤーではうまくいくことがあります。それは大丈夫ですか?」
「その答えは分かりませんが,とても興味深い会話です。世界には他人よりもお金がある人がいます。それは私たちがそれらの人々にそれを使うための道を提供するべきであるということでしょうか,それともすべてのプレイヤーの間でバランスをとるように努めるべきでしょうか?」
それでは,Loombe氏はマネタイズ設計がどこで境界を越えて倫理的に疑われるようになる考えているのだろうか?
「プレイヤーが望んでいること,実際にプレイヤーにどのような価値を提供しているのかを忘れた場合」だと彼女は答えた。「収入だけで動いていて,それがあなたにとって唯一重要なものであるならば,それが価値あるものになったときに,プレイヤーが実際に求めているものがなにかを見失うことになります」
Loombe氏は,それを自動車ディーラーで見かけるかもしれない,一種の利益相反に例えた。
「あなたは車を買いに行きますが,彼らは最もお金が儲かる車をあなたに買わせようとします。しかし,それはあなたが望む車ではありません」とLoombe氏は語る。「価値が適切に認識されていない場合や,購入しようとしているものから正しい価値を得られるとプレイヤーが感じない場合は,倫理の問題になります」
Loombe氏は,顧客がバリュープロポジションをどのように認識しているかは,経験からくる彼らの期待によっても影響されると述べている。
「プレイヤーと一緒に期待を設定しましょう。そうすれば彼らは最初から得られる価値を理解し,驚きが少なくなります。明らかに,その中にはもっと微妙なニュアンスがあります。なぜなら,外目には公平に見えても,経験してみるとそうではないかもしれないからです」
彼女が提議したもう一つの一般的な問題点は,開発者がゲームの進行をスピードアップするためにプレイヤーにお金を使わせることについてだった。
それは設計上稼げる選択かもしれないが,Loombe氏はスキルによる進歩と持続性による進歩とを慎重に検討する必要があると強調している。
「もしゲームがプレイヤーにお金を使わせることに集中しすぎてしまい,時間やスキルがないと目的が達成できないようになってしまうと,それは非倫理的になります」と彼女は語った。「そこにはバランスがあるはずです。代金を払う,十分なスキルを身につける,または十分な時間プレイすることでコンテンツを入手できるべきです。そしてそこにはバランスがあります。これら二つの無償オプションの一つが欠けていると,それが議論のポイントになります。これがプレイヤーが不満を持っている理由です。なぜならゲームデザインの中にそれが見えるからです」
搾取的なマネタイズに対する懸念は,ゲーム中毒に関する懸念にも結び付いている。多くの無料ゲームは,多額のお金を使う比較的少人数のプレイヤーに頼っており,比較的少数のプレイヤーが自己破壊的なレベルを超えたゲーム問題を抱えていることを考えると,他人の問題を利用したビジネスを構築しないようにするにはデベロッパはどうすればいいのだろうか。
「それは本当に難しいものです。獲得したプレイヤーの構成比率によっても変わってきます」とLoome氏は語る。「あなたは自発的でお金を持っているプレイヤー,自発的ですがお金を持っていない人たち,そして自発的でないプレイヤーを手に入れます。その構成比率のバランスをとることは非常に重要です。
「無料ゲームを運営してデータを調べ,プレイ人口の5%が収入の90%を生み出していることを確認した場合……,その5%以外に誰がお金を使う余裕があるのか分かりません。あなたは個人的に彼らが誰であるかを知りませんし,彼らが中毒なのか,実際に害されているのかどうかも分かりません。なので,プレイヤーが実際に自由に意見が言える環境でそれについて話し始めている場合を別にすると,その観点からでは,私たちがプレイヤーにそのような影響を与えているかどうかを知ることすら非常に困難です」
決して倫理と法律が結びついているわけではありませんが,非倫理的な行動をとると見なされている業界は,立法者の注意を引く可能性がかなりあります。Loot Boxのようなゲームの収益化スキームは世界中の多くの規制当局によって精査されている。Loombe氏はそれも理由がないことではないと信じている。
「私は間違いなくそこで起こっているもののなかにはいくつか有効なものがあると思います」と彼女は語った。「ベルギーは今,それを規制するたくさんの法律をまとめたところです。そして,それが今後の起点になってくれればと思います。賭博は国ごとに違いますが,参加しているすべての人のために『これはギャンブルです』と言うのは一つの国だけになると思います」
「その中には有効なものがあると思います。なぜなら,本当にLoot Boxのデザインがないゲームというものもあるからです。そうしているものもあれば,明らかにプレイヤーを搾取しているものもあるので,我々は本当に注意して修正する必要があるものです。そして残念なことに,ある会社が変なことをするとすぐに,たとえ他社が実際に倫理的に正しいやり方でやっているとしても,それはほかのすべての人をその議論に巻き込みます」
それでは,ゲーム業界は,規制当局や立法府による収益化手法の取り締まりをどうやって避けることができるのだろうか。
「私たちは何らかの方法で自己調整できると思います」とLoombe氏は語る。「それは難しいでしょうが,ガイドラインを作成することはできます。倫理的に優れていながら利益も生み出せるビジネスモデルを,実際にどのように作成するかについてのワークショップを開くことができます。なぜなら,それをしている会社もあるからです。そして,それらの会社のやり方を共有できれば,ほかの誰もがそれらの会社から学ぶことができます。私たちは,業界に関する委員会のようなものを持つことができます。そこではみんなが集まって情報を共有し,悪いやり方を取り除くようにしていきます。少なくとも,教えるか,彼らが正しいやり方でそれをできるように知識を共有することができます」
Loombe氏は,自己規制は難しい問題になるだろうことを認めている。なぜなら,ビジネスモデルと体験がジャンルからジャンルそして個人から個人へと大きく変化する業界で,何が倫理的で何がそうではないかについて合意を得ることが必要になるからだ。そして,この業界が倫理的に行動していることを世界の人々に納得させる唯一の方法は,その課題に適切に取り組むことである。
「行動がすべてですよね? お金を使うことが,ゲームを愛し,情熱を注ぎ,ゲームを楽しむことの自然な副産物になるなら,それが私たちのプレイヤーに感じてほしいやり方です」とLoombe氏は語る。「我々は,何らかの形で強制されていると感じるからではなく,本当にゲームを愛しているという理由でお金を使ってほしいのです。我々がプレイヤーを納得させるには,一貫して正しくしていくしかありません。なぜなら,ひどい業者が出るやいなや,みんなに被害が及ぶからです」
今後数年間繰り広げられるであろう収益化の手法やゲーム中毒の概念との戦いが終わったあとには,ゲームの倫理が近い将来の焦点となる可能性がある。
これらの話題に対する議論は,先月ラスベガスで開催されたDICE Summitでも続いていた。Riot Games Riot Labsの責任者であるLeanne Loombe氏は,倫理的な価格設定とビジネスニーズに沿ったマネタイズ設計のバランスについて二つのラウンドテーブルを開催している。
その後,Loombe氏はGamesIndustry.bizとその話題について話してくれた。話は「倫理的な価格設定」が実際に何であるのかということから始まった。
「これは価値と密接に関係していますよね?」とLoombe氏は尋ねた。「ゲームであれ,技術であれ,あなたが販売しているものはすべて,なんらかの価値をプレイヤーに提供しています。しかし,その価格はプレイヤーの視点から見て知覚価値に合致するものでなければなりません。期待を設定する必要があります。これがいかなる場合にも正しいとは言いませんが,あなたがどうしてもほしい伝説のカード,チャンピオン,キャラクター,または衣服があったとしましょう。その価格が,あるプレイヤーではうまくいかなくても,別のプレイヤーではうまくいくことがあります。それは大丈夫ですか?」
「その答えは分かりませんが,とても興味深い会話です。世界には他人よりもお金がある人がいます。それは私たちがそれらの人々にそれを使うための道を提供するべきであるということでしょうか,それともすべてのプレイヤーの間でバランスをとるように努めるべきでしょうか?」
それでは,Loombe氏はマネタイズ設計がどこで境界を越えて倫理的に疑われるようになる考えているのだろうか?
「プレイヤーが望んでいること,実際にプレイヤーにどのような価値を提供しているのかを忘れた場合」だと彼女は答えた。「収入だけで動いていて,それがあなたにとって唯一重要なものであるならば,それが価値あるものになったときに,プレイヤーが実際に求めているものがなにかを見失うことになります」
Loombe氏は,それを自動車ディーラーで見かけるかもしれない,一種の利益相反に例えた。
「あなたは車を買いに行きますが,彼らは最もお金が儲かる車をあなたに買わせようとします。しかし,それはあなたが望む車ではありません」とLoombe氏は語る。「価値が適切に認識されていない場合や,購入しようとしているものから正しい価値を得られるとプレイヤーが感じない場合は,倫理の問題になります」
Loombe氏は,顧客がバリュープロポジションをどのように認識しているかは,経験からくる彼らの期待によっても影響されると述べている。
「プレイヤーと一緒に期待を設定しましょう。そうすれば彼らは最初から得られる価値を理解し,驚きが少なくなります」
「私たちは最近60ドルするプレミアム商品をいくつか見てきました。そのときの期待というのは,完全なゲームのために60ドルを支払うことで,ゲームがプレイできるようになることです」と彼女は言った。「それがプレイヤーの期待です。それから彼らがゲームを購入しますが,進行状況をロックしたり,彼らが60ドルで支払ったと思っていたコンテンツへのアクセスを阻止する,ある種のLoot Boxやマネタイズ戦略があるのを見ると,反発が起こります。その期待の不一致は,本当にプレイヤーに疑問を投げかけます……」「プレイヤーと一緒に期待を設定しましょう。そうすれば彼らは最初から得られる価値を理解し,驚きが少なくなります。明らかに,その中にはもっと微妙なニュアンスがあります。なぜなら,外目には公平に見えても,経験してみるとそうではないかもしれないからです」
彼女が提議したもう一つの一般的な問題点は,開発者がゲームの進行をスピードアップするためにプレイヤーにお金を使わせることについてだった。
それは設計上稼げる選択かもしれないが,Loombe氏はスキルによる進歩と持続性による進歩とを慎重に検討する必要があると強調している。
「もしゲームがプレイヤーにお金を使わせることに集中しすぎてしまい,時間やスキルがないと目的が達成できないようになってしまうと,それは非倫理的になります」と彼女は語った。「そこにはバランスがあるはずです。代金を払う,十分なスキルを身につける,または十分な時間プレイすることでコンテンツを入手できるべきです。そしてそこにはバランスがあります。これら二つの無償オプションの一つが欠けていると,それが議論のポイントになります。これがプレイヤーが不満を持っている理由です。なぜならゲームデザインの中にそれが見えるからです」
搾取的なマネタイズに対する懸念は,ゲーム中毒に関する懸念にも結び付いている。多くの無料ゲームは,多額のお金を使う比較的少人数のプレイヤーに頼っており,比較的少数のプレイヤーが自己破壊的なレベルを超えたゲーム問題を抱えていることを考えると,他人の問題を利用したビジネスを構築しないようにするにはデベロッパはどうすればいいのだろうか。
「それは本当に難しいものです。獲得したプレイヤーの構成比率によっても変わってきます」とLoome氏は語る。「あなたは自発的でお金を持っているプレイヤー,自発的ですがお金を持っていない人たち,そして自発的でないプレイヤーを手に入れます。その構成比率のバランスをとることは非常に重要です。
「無料ゲームを運営してデータを調べ,プレイ人口の5%が収入の90%を生み出していることを確認した場合……,その5%以外に誰がお金を使う余裕があるのか分かりません。あなたは個人的に彼らが誰であるかを知りませんし,彼らが中毒なのか,実際に害されているのかどうかも分かりません。なので,プレイヤーが実際に自由に意見が言える環境でそれについて話し始めている場合を別にすると,その観点からでは,私たちがプレイヤーにそのような影響を与えているかどうかを知ることすら非常に困難です」
「賭博は国ごとに違いますが,参加しているすべての人のために『これはギャンブルです』と言うのは一つの国だけになると思います」
Loombe氏はまた,より多くの支出をさせるために,プレイヤーにラウンドテーブルで議論されたようなものを与えるインセンティブゲームを検討することを提案していた。支出がマイルストーンになったときに特別なアイテムを渡すのは大したことではないかもしれませんが,おそらくデベロッパは,ぷれいやーがなんらかのマイルストーンに到達したほかのプレイヤーになにかを贈れるようにできるでしょう。プレイヤー自身ではなくコミュニティに利益をもたらすのです。決して倫理と法律が結びついているわけではありませんが,非倫理的な行動をとると見なされている業界は,立法者の注意を引く可能性がかなりあります。Loot Boxのようなゲームの収益化スキームは世界中の多くの規制当局によって精査されている。Loombe氏はそれも理由がないことではないと信じている。
「私は間違いなくそこで起こっているもののなかにはいくつか有効なものがあると思います」と彼女は語った。「ベルギーは今,それを規制するたくさんの法律をまとめたところです。そして,それが今後の起点になってくれればと思います。賭博は国ごとに違いますが,参加しているすべての人のために『これはギャンブルです』と言うのは一つの国だけになると思います」
「その中には有効なものがあると思います。なぜなら,本当にLoot Boxのデザインがないゲームというものもあるからです。そうしているものもあれば,明らかにプレイヤーを搾取しているものもあるので,我々は本当に注意して修正する必要があるものです。そして残念なことに,ある会社が変なことをするとすぐに,たとえ他社が実際に倫理的に正しいやり方でやっているとしても,それはほかのすべての人をその議論に巻き込みます」
それでは,ゲーム業界は,規制当局や立法府による収益化手法の取り締まりをどうやって避けることができるのだろうか。
「私たちは何らかの方法で自己調整できると思います」とLoombe氏は語る。「それは難しいでしょうが,ガイドラインを作成することはできます。倫理的に優れていながら利益も生み出せるビジネスモデルを,実際にどのように作成するかについてのワークショップを開くことができます。なぜなら,それをしている会社もあるからです。そして,それらの会社のやり方を共有できれば,ほかの誰もがそれらの会社から学ぶことができます。私たちは,業界に関する委員会のようなものを持つことができます。そこではみんなが集まって情報を共有し,悪いやり方を取り除くようにしていきます。少なくとも,教えるか,彼らが正しいやり方でそれをできるように知識を共有することができます」
Loombe氏は,自己規制は難しい問題になるだろうことを認めている。なぜなら,ビジネスモデルと体験がジャンルからジャンルそして個人から個人へと大きく変化する業界で,何が倫理的で何がそうではないかについて合意を得ることが必要になるからだ。そして,この業界が倫理的に行動していることを世界の人々に納得させる唯一の方法は,その課題に適切に取り組むことである。
「行動がすべてですよね? お金を使うことが,ゲームを愛し,情熱を注ぎ,ゲームを楽しむことの自然な副産物になるなら,それが私たちのプレイヤーに感じてほしいやり方です」とLoombe氏は語る。「我々は,何らかの形で強制されていると感じるからではなく,本当にゲームを愛しているという理由でお金を使ってほしいのです。我々がプレイヤーを納得させるには,一貫して正しくしていくしかありません。なぜなら,ひどい業者が出るやいなや,みんなに被害が及ぶからです」
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)