モバイルゲームの口コミを最大化するデザイン手法とは

Facebookがアプリの招待を規制したことを受け,GetSocialのCOO Viral Patel氏は,ほかのチャンネルから自然にユーザー獲得するためのTipsを提供している。

 今年初めまで,Facebookを使ったUser-get-User紹介マーケティングは,ユーザー獲得で人気のある自然(オーガニックな)流入源として証明されていた。モバイルゲームをする人なら誰でも友達のリストを見てゲームに誘うことは当たり前のことだった。彼らがさらにほかの人をパーティに加えた場合には,ライブないしその他のボーナスさえ支払われる。

※マーケティングでは,オーガニックは「なにもしなくても」手に入るものの意で使われる。化学肥料や農薬を使わない農業を意識した用法のように思われるが,一般的に言ってオーガニックな農業は無茶苦茶手間がかかっている。

 残念ながら,Facebookはこの類のユーザー獲得に対して死の鐘を鳴らした。今年の2月5日にアプリの招待を非推奨としはじめた。Facebookはさらに4月4日にはInvitable Friends APIをほとんど告知のないままに廃止予定とした。これはクリックするだけでプレイヤーが何百人もの友達に招待を送れる機能であり,ゲームはこの機能に大きく依存していたのだ。

 これらのAPIを廃止することは,単にバイラリティ(※口コミ)に影響するだけではない。ゲームはソーシャルなエンゲージメントの点で実質的な打撃をこうむっている。

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 これらの展開を考えると,モバイルゲーム開発者にとって,Facebookのような単一プラットフォームへの依存性を減らしつつ,ソーシャルやバイラルのチャネルでさまざまな方法とシステムを駆使して,ユーザー獲得手法に多様性を持たせることが重要になってくる。バイラルによるユーザー獲得効果測定でとくに重要な変数となるのは,―K-factorとして知られる― バイラル係数だ。

 バイラル係数(K-factor) = i × c

 モバイルゲームのバイラル係数は2つの尺度から成っている。

 i :ユーザーごとの招待を送った数
 c :招待でのコンバージョン率


バイラル係数を上げる方法


 以下は,バイラル係数を上げるためのベストプラクティスである。

  • 最初は共有機能を使う
  • 見つけやすくする(設定の中に入れたりしない)
  • 共有と招待をゲームのコアループの一部にする
  • プレイヤーの好みのチャネルを使って,友達を招待できるようにする
  • 友達を招待することのメリットを分かりやすく説明する
  • 招待のためにインセンティブをつける

 6000万人のゲーマーに対する我々自身の分析では,これらのベストプラクティスを実装後に,招待の送付で2.7倍,送付からインストールのコンバージョン率で5.3倍となっている。我々は誰しも,労力がかかりすぎる仕事はスキップしてしまう傾向がある。友達を招待しようと思っているユーザーにとってもそれは同じだ。より簡単に共有できるシステムは,より多くの招待(変数 i)をもたらす。

 人気ゲームでの,招待を増やすためのボタンの配置をいくつか以下に示す。

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 可視性は,まさに紹介キャンペーンの一つの側面だ。その鍵となるのは,招待のプロセスをスムーズにすることだ。招待のプロセスをアプリに実装するほかのやり方としては,

  • ネイティブシェアリング:PaypalやBluetoothなど,共有に関係ないアプリを含む
  • Facebookゲームリクエスト:Facebookとゲームリクエストをミュートしていない受信者の認証が必要
  • 紹介コード:紹介コードのユーザーによるコピー/ペーストが必要

といったものがある。

 これらのシステムは共有プロセスに摩擦を発生させる。たとえば,いくつかのeコマース企業は,招待コードを使うと30〜40%の中断が見られるとしている(受信者が初回コードを入れ忘れる)。我々も,ネイティブシェアリングからキュレートされたチャネルリストに変更したところ,招待の送付で100%以上の増加が認められたという例を見ている。

モバイルゲームの口コミを最大化するデザイン手法とは
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 これらの問題を回避するためには,有名ソーシャルメディアチャネルでカスタマイズされた招待プロセスを作ることが重要になる。WhatsApp,Messenger,SMS,Email,KakaoTalkなどのチャネルだ。同様に,アトリビューションテクノロジーを使って,

  • 招待コードの使用を避けるためにDeferredないしContextualなディープリンク(※アプリを直接起動するリンク)をハンドルする
  • カスタムドメインでリンクのカスタマイズをサポートする
  • クロスプラットフォームをサポートする
  • インストール詐欺を防ぐ

こともできる。

※Deferredディープリンクは通過した経路によって処理を変えることができるディープリンク。Contextualディープリンクはコンテキストを渡して状況によって処理を変えられるディープリンク

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インセンティブ付きの共有


 友達への招待が成功したユーザーに対して報酬を与えることは,招待送付を増やすためのもう一つの手口となる。インセンティブの価値が高いほど,参加する人は増えてくる。報酬を機能させるためには,Deferredと。Contextualの両方のディープリンクをサポートした,デバイスの個体識別によるアトリビューションテクノロジーを活用する必要がある。

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時期を計れ


 紹介プログラムを成功させるためには,時期を計る必要がある。ユーザーが友達をゲームに招待することでなにが提供されるのかを分かっていないうちは,あまり期待してはいけない。ユーザーに招待を問う正しいタイミングは,ユーザーに「わお!」と言わせるような体験をさせたときである。もしくは彼らに共有する価値のあるような面白いコンテンツを提供したときだ。

 Doomsday Clickerというゲームがよい例となるだろう。このゲームはゲームの進行度を友達と共有するかを聞いてくる。面をクリアすると,次の面に進む前に画面の右側に「Share this Chaos?」というボタンがポップアップする。この配置とタイミングはユーザーにとってニュースを友達と共有するのに自然である。

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導入時のコンテキストで「c」を増加


 バイラリティとは単にユーザーの友達に大量の招待を送ってユーザーをより多く獲得することだけではない。参照したユーザーが招待を受け入れたあとにあなたがやるべきことは,そのループが続くようにすることである。あなたは推薦を受けたユーザーが何を期待しているのかを確認する必要がある。さらに重要なのは,彼らを招待した友達とつながりを持つことだ。

 ほとんどのゲームはいまだにFacebookのGraph APIに依存している。これは両方のユーザーがFacebook上で結合されていなければならず,上記で示したような摩擦を加えるものでもある。

 ゲームデベロッパとして,コンバージョン(変数c)を上げるためにあなたはスムーズな参加プロセスを確立する必要がある。たとえば,UbisoftのFaceUpはスマートな招待プログラムを有している。ユーザーは友達と招待をあらゆるソーシャルチャネルないしチャットアプリ経由で共有できるのだ。

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 招待を受け取ると,招待された人は単にリンクをクリックするだけでゲームをインストールし,そのまま友達と一緒にプレイできる。上に示した属性リンクはContextualとDeferredのディープリンクを持っており,招待された人に送信者の情報とゲームに関連したその他のカスタムデータをインストール後に送っている。


継続的最適化


 現状の基盤上でテストと最適化を行っていないのであれば,あなたは決してアプリ招待マーケティングキャンペーンを完成できない。あなたの招待マーケティングキャンペーンが成功するかどうかを知る最良の方法は,現存のユーザー,潜在的新規ユーザーがどれくらい以下のものを使ってくれるかを見守ることである。

  • 招待メッセージ
  • インセンティブ
  • 招待/共有ボタン配置

 一例としては, Super Evil MegacorpのVaingloryが挙げられる。これはゲームのメッセージと画像に手を加えることで,元のメッセージに比べて3倍のコンバージョンを達成したという。同様に,デベロッパのFluffy Fairyは単に招待メッセージに手を加えるだけで28%高いコンバージョンを得ている。

モバイルゲームの口コミを最大化するデザイン手法とは

 Facebookがその最もよく使われているバイラリティの機能を終了予定としてデベロッパに不利益をもたらしているとしても,バイラル経路にはまだ多くの多様化と最適化のための方法が残されている。鍵となるのは,徹底したアプローチを取ることと,それがあなたのゲーム全般に適合しているかを確認することだ。簡単に言えば,あなたのゲームの招待プログラムへの積極的な参加を確認する唯一の方法は,

  • 友達の招待をできるだけ自然なゲーム体験の一部にすること
  • ソーシャルメディアやチャットツールでプレイヤーに招待を送ることをできるだけ簡単にすること
  • アクティブな参照者のやる気を保つために報酬を与えること
  • そしてもちろん,招待プログラムの効果を追跡すること

である。


Viral Patel氏はGetSocialの創設者兼COOである

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら