オーストラリアの開発者が学生にアドバイス。専門化しつつお気に入りを捨てる勇気を
Melbourne Games WeekでBlake Mizzi氏とChris Wright氏は学生が卒業後に犯しがちな2つの主要な過ちについて語った。
ゲーム開発のキャリアを築くうえで大学での学位の価値というのは,常に業界での論点となっている。Melbourne International Games WeekでのパネルディスカッションでFellow Traveller創設者のChris Wright氏とLeague of Geeksの共同設立者Blake Mizzi氏が,卒業者たちに持続的なキャリア形成のための機会を改善する方法に関する率直なアドバイスを提供した。
Wright氏とMizzi氏がオーストラリアのゲーム業界における彼らの広範なキャリアをまとめた90分のセッションの終わりに際し,二人は学生からの質問を受け付けた。
「これはビジネスの学位かなにかを取らない限り,大学では教えてもらえない類のことです」とある学生はセッションでもたらされた洞察に対しての感謝を伝えた。「ですので,これは素晴らしいフォーラムです」
彼の質問はおそらくゲーム開発に関連したコースの多くの学生が卒業時に感じる不確実性に関するものだったのだろう。彼が尋ねたのは,大学卒業後の若者たちが最もよくする過ちはなにかというものだった。
「私が卒業生たちを見て確実に言えることは,あまりにも幅広いということです。つまり十分に専門化されていません」とMizzi氏は答えた。「大学からデビューすることは大変です。あなたはプログラムかモデリングの学科を取っており,誰もがゲームデザインの学位を持っています」
「しかし,私は思うのです。もし学生たちが最初からなにかしら本当に興味があるものにフォーカスしていたら,その分野のスキルセットについて,なにか深いスキルを育てていたら素晴らしかっただろうなと」
これはJohn Warner氏の論説「It's time we stopped encouraging indies.(インディーズを勧めるのはもうやめよう)」などに見られるものと同様の考え方だ。氏はゲーム常会のキャリアに興味持っている学生に,学校は一般的に価値があるが,「ゼネラリスト向けのプログラムには気をつけましょう」と警告している。
League of Geeksが成長するにつれて定期的に人を雇ってきたMizzi氏にとっては,学位を持った志願者というのは,本質的に,特定の分野にフォーカスして独学で専門化した人ほど魅力的ではない。実際,氏は,前者は後者を模倣することで恩恵を受けるだろうと示唆している。
「実際,なにかをかなり上達するまで学ぶのに,それほど時間はかかりません。しかし,しばらくの間は集中していなくてはなりません。これは大学で週に2時間講義を受けるのとは大きな違いがあります」
Mizzi氏は,学生が最終年度のプロジェクトを披露する卒業イベントではいつも"興奮"させられると付け加えた。「2,3,際立った作品があります。そこには技能と才能があるといってもよいでしょう」しかし,Fellow TravellerのChris Wright氏のアドバイスは,プロジェクトをつぶして先へ進めることに関するものだった。たとえその作品が大学の授業の文脈では賞賛されていたとしても,学生の間に不本意さが広がってもそれが必要になるのだ。
「私はかなり足しげく大学に行っていました。そしてプロジェクトを見て彼らにアドバイスなどをしていたのです」と氏は語る。「2年後に同じチームを見かけました。PAXかどこかで展示をしていたのですが,なんと彼らは以前と同じプロジェクトに取り組んでいたのです。それは大学のプロジェクトとしては悪くありませんが,とくに注目に値するようなゲームでもなかったにも関わらずです」
これは最初の質問に対する直接的な回答になるもので,主にインディーズスタジオで構成された競争の激しい業界に入る前準備として,生徒に対して行われるべき実際的なアドバイスが欠けていたことを示している。Wright氏にとっては,卒業後の数年は新しいアイデア(比較的簡単なものであったとしても)を試すための絶対的に重要な機会である。しかし,彼らにはすでに窮屈になっているのにグズグズと続けているプロジェクトがあまりにも多いのだという。
数年間報酬なしでプロジェクトに取り組むことで,それを手にすることができるでしょう。ただし,プロジェクト自体には価値はありません」
「なぜなら,誰もそれをやらないほうがいいと言わないからです。誰もあなたにやる価値がないなどとは言いません。さらに,あまりお金を使っていないので,まったくコストがかかっていないように感じられます。私は,多くの学生がそのようなプロジェクトで大学の学位後の数年を無駄にしているのを見てきたような気がします」
「そういうのはしないほうがいいでしょう。なぜなら,あなたはその時間を取り戻すことはありませんので。生活にお金がかからない時期というのは本当に貴重です。それからあなたは働くべきであり,あなたが手がけるプロジェクトが時間をかける価値のあるものかを実際に確認する必要があります」
「4年間続いたチームが,最終学年なのにまだ同じゲームを出そうと作業しているのを見ると悲しくなります。彼らはそれをボツにして,経験を使って何かもっといいものを提出することもできたのです。しかし彼らは単に感情的にそのプロジェクトに固執して手放すことができなかったのです」
率直で正直なアドバイスの重要性は,ビジネスをしようとするすべての人にとって価値のあるものだということは何度も語られている。「自分自身とパートナーのために,残酷なくらい正直になりましょう」とMizzi氏はセッションの冒頭で語っていた。「たくさんのものがその過程で生まれてきます」しかし,その論点が確立された開発者を対象としているのに対して,Wright氏は,それが卒業生の誰にも等しく適用されることを示していた。
「誰か正直にそれにそれだけの価値があるのか教えてくれる人が,あなたにいるのかどうかを確認しましょう」と氏は語る。「ちょっと厳しいフィードバックをもらいなさい。なぜなら,多くの人はゲームが素晴らしいとあなたに言うでしょうから。それは夢を生きることです。しかし歳が若ければ夢を生きるのも,ハードルが低いのです。チャンスを無駄にしてはいけません」
「しかし,あなたの3年間は必ずしもあなたのスキルを改善するわけではありません。そのときあなたは立ち去り,別の職を探さなければなりません。チャンスは去ってしまったのです」
ゲーム開発のキャリアを築くうえで大学での学位の価値というのは,常に業界での論点となっている。Melbourne International Games WeekでのパネルディスカッションでFellow Traveller創設者のChris Wright氏とLeague of Geeksの共同設立者Blake Mizzi氏が,卒業者たちに持続的なキャリア形成のための機会を改善する方法に関する率直なアドバイスを提供した。
Wright氏とMizzi氏がオーストラリアのゲーム業界における彼らの広範なキャリアをまとめた90分のセッションの終わりに際し,二人は学生からの質問を受け付けた。
「これはビジネスの学位かなにかを取らない限り,大学では教えてもらえない類のことです」とある学生はセッションでもたらされた洞察に対しての感謝を伝えた。「ですので,これは素晴らしいフォーラムです」
「業界で会った最高の人々の何人かは,実は独学でした」-Blake Mizzi氏
彼の質問はおそらくゲーム開発に関連したコースの多くの学生が卒業時に感じる不確実性に関するものだったのだろう。彼が尋ねたのは,大学卒業後の若者たちが最もよくする過ちはなにかというものだった。
「私が卒業生たちを見て確実に言えることは,あまりにも幅広いということです。つまり十分に専門化されていません」とMizzi氏は答えた。「大学からデビューすることは大変です。あなたはプログラムかモデリングの学科を取っており,誰もがゲームデザインの学位を持っています」
「しかし,私は思うのです。もし学生たちが最初からなにかしら本当に興味があるものにフォーカスしていたら,その分野のスキルセットについて,なにか深いスキルを育てていたら素晴らしかっただろうなと」
これはJohn Warner氏の論説「It's time we stopped encouraging indies.(インディーズを勧めるのはもうやめよう)」などに見られるものと同様の考え方だ。氏はゲーム常会のキャリアに興味持っている学生に,学校は一般的に価値があるが,「ゼネラリスト向けのプログラムには気をつけましょう」と警告している。
League of Geeksが成長するにつれて定期的に人を雇ってきたMizzi氏にとっては,学位を持った志願者というのは,本質的に,特定の分野にフォーカスして独学で専門化した人ほど魅力的ではない。実際,氏は,前者は後者を模倣することで恩恵を受けるだろうと示唆している。
「4年間続いたチームがいまだに同じゲームを出そうとしているのを見ると悲しくなります」-Chris Wright氏
「私がこれまで業界で出会った最高の人たちの何人かは実際に独学でした」と氏は語る。「これは大学教育を否定しているわけではありません。そちらも素晴らしいものになりえます。しかし,私が見てきたそういった人たちは,部屋に閉じこもって6か月間も引き篭もったり身を潜めたりしていましたが,最高のキャラクターモデラーないし最高のプログラマになりました」「実際,なにかをかなり上達するまで学ぶのに,それほど時間はかかりません。しかし,しばらくの間は集中していなくてはなりません。これは大学で週に2時間講義を受けるのとは大きな違いがあります」
Mizzi氏は,学生が最終年度のプロジェクトを披露する卒業イベントではいつも"興奮"させられると付け加えた。「2,3,際立った作品があります。そこには技能と才能があるといってもよいでしょう」しかし,Fellow TravellerのChris Wright氏のアドバイスは,プロジェクトをつぶして先へ進めることに関するものだった。たとえその作品が大学の授業の文脈では賞賛されていたとしても,学生の間に不本意さが広がってもそれが必要になるのだ。
「私はかなり足しげく大学に行っていました。そしてプロジェクトを見て彼らにアドバイスなどをしていたのです」と氏は語る。「2年後に同じチームを見かけました。PAXかどこかで展示をしていたのですが,なんと彼らは以前と同じプロジェクトに取り組んでいたのです。それは大学のプロジェクトとしては悪くありませんが,とくに注目に値するようなゲームでもなかったにも関わらずです」
これは最初の質問に対する直接的な回答になるもので,主にインディーズスタジオで構成された競争の激しい業界に入る前準備として,生徒に対して行われるべき実際的なアドバイスが欠けていたことを示している。Wright氏にとっては,卒業後の数年は新しいアイデア(比較的簡単なものであったとしても)を試すための絶対的に重要な機会である。しかし,彼らにはすでに窮屈になっているのにグズグズと続けているプロジェクトがあまりにも多いのだという。
「それは夢を生きることです。しかし歳が若ければ夢を生きるのも,ハードルが低いのです。チャンスを無駄にしてはいけません」
「卒業したとき,あなたのコストが非常に安い時期がチャンスだと思います」と氏は語る。「数年間報酬なしでプロジェクトに取り組むことで,それを手にすることができるでしょう。ただし,プロジェクト自体には価値はありません」
「なぜなら,誰もそれをやらないほうがいいと言わないからです。誰もあなたにやる価値がないなどとは言いません。さらに,あまりお金を使っていないので,まったくコストがかかっていないように感じられます。私は,多くの学生がそのようなプロジェクトで大学の学位後の数年を無駄にしているのを見てきたような気がします」
「そういうのはしないほうがいいでしょう。なぜなら,あなたはその時間を取り戻すことはありませんので。生活にお金がかからない時期というのは本当に貴重です。それからあなたは働くべきであり,あなたが手がけるプロジェクトが時間をかける価値のあるものかを実際に確認する必要があります」
「4年間続いたチームが,最終学年なのにまだ同じゲームを出そうと作業しているのを見ると悲しくなります。彼らはそれをボツにして,経験を使って何かもっといいものを提出することもできたのです。しかし彼らは単に感情的にそのプロジェクトに固執して手放すことができなかったのです」
率直で正直なアドバイスの重要性は,ビジネスをしようとするすべての人にとって価値のあるものだということは何度も語られている。「自分自身とパートナーのために,残酷なくらい正直になりましょう」とMizzi氏はセッションの冒頭で語っていた。「たくさんのものがその過程で生まれてきます」しかし,その論点が確立された開発者を対象としているのに対して,Wright氏は,それが卒業生の誰にも等しく適用されることを示していた。
「誰か正直にそれにそれだけの価値があるのか教えてくれる人が,あなたにいるのかどうかを確認しましょう」と氏は語る。「ちょっと厳しいフィードバックをもらいなさい。なぜなら,多くの人はゲームが素晴らしいとあなたに言うでしょうから。それは夢を生きることです。しかし歳が若ければ夢を生きるのも,ハードルが低いのです。チャンスを無駄にしてはいけません」
「しかし,あなたの3年間は必ずしもあなたのスキルを改善するわけではありません。そのときあなたは立ち去り,別の職を探さなければなりません。チャンスは去ってしまったのです」
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)