東京おもちゃショー2018開催,教材用ロボットなど最新玩具が一堂に
全体的に見て,一時話題になったVRなどはほぼ姿を消し,AR系はいくつか見られるという程度か。2020年の小学校でのプログラム必修化をにらんでか,主にロボットを使ったプログラミング教材的なものがいくつか見られた。量は多くないがトレンドは少しずつ変わりつつあるのかもしれない。
ということで「ゲーム関係ないだろ」「おもちゃも関係ないだろ」というような話題もいくつかあるが,広くエンターテイメントの動向ということで軽く気になった展示を紹介してみたい。
●カードでピピッとはじめてのプログラミングカー(学研ステイフル)
基本的にはプログラムの命令をカード化し,1ステップずつコマンドをクルマにかざすことで記録させていく。付属するマップは,課題用で,「ケーキやによっておうちにかえる」のような出題に使われる。
コマンドは10種類で,前進,後退,右90度,左90度,停止,ヘッドライト点灯,ハザード点灯,クラクション,ゴール演出,ループがある。プログラミング要素としては,順次処理とループ処理を学習できる。
ちょっとややこしいのは,プログラムを行うカード自体と,クルマに記憶させるタグが別になっていることだ。非接触で情報を伝達できるタグはコマンドごとに1つずつしか付属しないが,カードは全部で60枚付属し,長いプログラムも構築できる。組んだプログラムを見ながら,カードと同じタグを使って記憶させていく流れになる。また,登録時に「はんぶんボタン」を使うことで半歩前進や45度回転などを指定できるが,カードとしては用意されていない。
Amazon価格で4727円という低価格さはいいのだが,もう少し機能がほしかった感じだ。
●alillo(アーテック)
●Mabot/Rebot(Shezen Bell Creative Science)
Rebotは,鉄骨風(?)のフレームを組み立て,モーターやアクチュエーターを使ったロボット製作キットで,歯車などを組み合わせた,よりプリミティブな工作を楽しむことができる。メカトロ風味ではあるが,STEM(Science,Technology,Engineering,Mathematics)教育用の教材という位置づけでもある。自由度は高いがその分,扱いの難度は少し高そうだ。
●ラジオコントロール プログラミングテトラル(シー・シー・ピー)
通常のラジコン操作のほか,スマートフォンなどからアイコンを使ったビジュアルプログラミングや,画面上で軌跡を指定して飛ばすなどの処理ができる。
プログラムは,時間軸に沿って15種類のアイコンを置いていくだけの簡単なものだが,「前方宙返り」「螺旋状に上昇」なども1コマンドで用意されているので,動きとしてはそれなりに複雑なこともできる。カメラを搭載しており,ドローンのカメラ画像を見ながらコントローラで操縦することも可能だ。
●ガンシェルジュ ハロ(バンダイ)
さて,ガンシェルジュ ハロの直径は19cm程度なので,ほぼハンドボールサイズ,おそらく本物よりはひとまわりくらい小さい(公式設定だと直径40cmという巨大鉄球なのだが,そんなのを信用している人はいないだろう)。
なにができるかというと,ガンダムネタをしゃべりかけると,それに対する薀蓄を音声で語ってくれる。その他の動作としては目が光ったり,揺れたりする。
AIは日本アイ・ビー・エムの技術が使われているとのことで,もしかしなくてもIBM Watsonだろうか? 使用するにはネットワーク接続が必要となる。初年度の接続料は無料とのこと。つまり2年目からは有料のようだ。
雑音の非常に多い会場内ではマイクを使っても音声認識精度はいまひとつだったが,このあたりは静かなところで試せばおそらく問題はないのだろう。データについてはまだ暫定的な実装とのことだったが,ファーストガンダム関係の固有名詞は一通り入っているようで,いろんな問いに対応してくれる。声はさすがに井上 瑤というわけにはいかず,最近のハロ役である新井里美嬢のものをベースに音声合成が行われている。
お値段は税別で13万8000円。大半の処理はクラウドで行われているだろうことを考えると,少しお高い気はする。ソフト開発費はかかっているだろうが,スマホアプリにでもすればそっちで回収できそうだしなあ……。製造がVAIOってことはもしやWindowsベースとかなのだろうか。せめて,スマートスピーカー機能くらいはほしいかもなあ……。
●Bank Wan/Bank Nyan(タカラトミー)
もちろん,ただの貯金箱ではない。世界初のIoT貯金箱だそうで,貯金状況を記録したり,お金を出すと残念がったり,天気予報を教えてくれたりといった機能を持っている。人の気配を察知し,約10個のワードに反応して会話することもできるという。ネットワークに接続しなくても利用できるが,ネットワーク接続した場合には天気予報やニュースを聞くこともできる。あれ? IoTって?
しかし,世の中的に今年あたりはもっとスマートスピーカーぽい製品は出ていてもおかしくないと思っていたのだが,意外とそれっぽいものは少なかった。日本の玩具メーカーが苦手とする分野なのだろうか。
●X-Base(ハピネット)
ビーズは非常に小さく,おそらくLEDとコイルと少々の回路で,ベースからの電磁誘導による起電力だけで点灯させているものと思われる。台の上に置いてなくても,ある程度近くなら十分によく光る。つまり,プラモデルやフィギュアなどにこのビーズを仕込んでおくことで,ライトや目を光らせるといった演出でのディスプレイが可能になるのだ。配線が必要ないというのは大きなメリットであろう。
現在のところビーズのLEDは単に点灯するだけなのだが,周期の違う点滅なども加わるとミニチュアクリスマスツリー作りが捗りそうなのだが。
●スプラッシュライト(鈴木ラテックス)
電気を使わない光モノというと,希土類や重金属,放射性物質などなんとなく危ないモノというイメージがあるのだが,ここで使われるのは夜光虫などの発光と同じ有機的なバイオルミネセンスである。とはいっても夜光虫そのものが入っているわけではない。そういった発光するプランクトンの発光メカニズムの部分を使って水を光らせるのだ。具体的には,ルシフェリンとルシフェラーゼ,そして酸素が結合することで発光が行われる。
発光物質(レリューム)は2個の錠剤で提供される。それを水に溶くと自発光するようになるのだ。紫外線などが必要な蛍光ではなく,自発光する夜光なので光る水以外に用意すべきものはなにもない。水鉄砲に水を入れ,2個の錠剤に合わせた2個の投入口に錠剤を入れて,しばらく錠剤が溶けるのを待って,よく振ってから使用する。
成分は平たく言うと「たんぱく質と塩」なので衣服についても大丈夫。皮膚につくとちょっとベトベトすることはあるようだが,さらに言えば口に入っても問題はないとのこと。バーなどでこれを入れて光るお湯割(酵素なので少し温かいほうがいい)を飲んでみせると非常に驚かれるのだそうだが,まあ驚くだろうなあ。
「子供が夜中に灯りがないところで水鉄砲の撃ち合いをするか?」と言われるとシチュエーション的に微妙ではあるのだが,キャバクラでヒーローになるアイテムとしてのほうが需要がありそうな気もする。入浴剤にすると面白そうなのだが,追加レリュームは2回分で1825円(※Amazon価格)なので,ちょっと高くつきすぎるか……。
●Ultra Putty(イーストパール)
通常状態のPuttyは柔らかい粘土状の物体であり,そのまま粘土として遊べる。時間を置いても乾いたりはせず,液体の物性を見せるようになる。会場では非常にゆっくり滑らかに流れ落ちる様子が示されていた。液体のような挙動をするのだが,丸めるとボールのように弾む。ゆっくり引き伸ばすと細く長く伸び続け,強く引っ張るとブチっと千切れるという面白い性質なので,スライム系の扱いをされることも多いが粘ついたりはしない。
色のバリエーションというか質感のバリエーションも非常に多い。透明なものを標準として,各種色つき,メタリックなモノ,メタリックながら見る方向で色が変わるもの,透明の粘土にキラキラした金属箔(?)が混ぜ込んであるものなど,非常に派手な展開をしている。
今回の展示の中心はさまざまなフレーバーの香りをつけた製品だった。ブルーベリー,ストロベリー,カスタードクリームなどだ。匂いをつけると本当においしそうになるので子供用玩具としては不安もあるが,それには苦味成分を入れてあるとのことだった。一応「ガムと同じ」で飲み込んでもとくに問題はないそうだ。ガムとは違う気はするのだが。
●マイクロラゲッジ(マイクロスクーター・ジャパン)
荷物が重いときはこういうものを使っても移動は結構面倒だ。片側だけ引き手に荷重がかかるというのもよくない。とくに重いとバランスを崩しやすい。そこにこのキックボードがあれば非常に楽チンな移動ができるのは説明するまでもないだろう。
旅行用の大きなスーツケースには静音・高性能な医療用キャスター付きのものを使っているので「このまま乗っていけたら楽じゃね?」というのはよく考えることだった。ちょっと小さいが,それを実現しているのがこの背負い品だ。
キックボードの格納分だけラゲッジスペースは凹んでおり,搭載量は少なそうだ。もちろん重さも増えているだろう。さらに日本の道交法的には微妙なモノなので広くお勧めもしにくいのだが,ちょっと試してみるのもアリかなと考えている。とりあえずもっと大きいのはないのかと聞いてみたが,ないそうだ。
●ナノブロック(カワダ)
ナノブロックはボクセル化した2.5〜3次元の立体表現媒体として普通のブロックとは違う存在になっているようにも思われる。理論的にはLEGOなどでもできるのだが,大きさとコストがまったく変わってくる。
なお,ボクセルということで非常に相性がよさそうなポケモンクエストのキャラクターも参考出展されていた。監修中とのことで写真が一切掲載できないのが残念だが,再現度が高くなるのは当然だろう。
こちらが最新版「人生ゲームタイムスリップ」 |
タカラトミーブースは順路も人生ゲームだった |