「コンテンツ東京」開幕,日本のコンテンツ産業の最新情報を探る
2018年4月4日,東京ビッグサイトで「コンテンツ東京2018」が開幕した。「コンテンツ東京」というのは,コンテンツ制作に関するさまざまなものをまとめて展示するイベントの総称であり,AI・人工知能EXPO,コンテンツマーケティングEXPO,クリエイターEXPO,コンテンツ配信・管理ソリューション展,映像・CG制作展,先端デジタルテクノロジー展,ライセンシングジャパン,グラフィックデザインEXPOといった展示会が一斉に行われている。今回は,先端デジタルテクノロジー展を中心に目立った展示を拾ってみたい。
●NOZON PrezenZ
アスクブースでデモされていた開発ツールに分類されるNOZON PrezenZは,ボリューメトリックな手法によるVRビューアだった。
ボリューメトリックということで,ポリゴンモデルを点群データに変換して表示しているのだそうだ。
なぜわざわざ点群にするのかと聞くと,そのほうが高速に処理できるからであるらしい。GPU自体はポリゴン表示に最適化されているので,ちょっとどうだろうと思う説明なのだが,実際のところそれでしっかり動いているのだから,そうなのだろうか。
もう少し突っ込んで聞くと,基本的な陰影などはV-Rayでレンダリングして焼き込んでおき,それを点群に変換しているという。つまりリアルタイムのシェーディング処理はしないので,その分高速化できる。シーンの複雑性にもあまり負荷を左右されないということか。インタラクティブ性を捨てはいるものの,画質的にはレイトレーシングによるVRということにはなる。リアルにレンダリングされたVR空間の中で自由に視点を変えてVR映像を眺めることができるツールなわけだ。
元がポリゴンなので中身はないが,近づきすぎるとバラバラっとした点群の様子も窺えるが,普通に見ている分にはまったく破綻はない。
VRに展開した点群のストリーミング技術だと思えば,リアルな流体などでいろいろ面白いこともできそうだ。
●ワイヤレスVR用チップセット
コーンズテクノロジーブースでは空中触感デバイスを中心とした展示が行われいたのだが,その一角にあったのが,ワイヤレスVR用の展示だ。
ここで使用されているのはWiGigで,Intelなどが主導するワイヤレス高速通信規格である。コントローラはカナダのPeraso製が使われている。WiGigは伝送距離が10m程度と,比較的短いことでも知られているが,Perasoのソリューションはアンテナの構成次第で,10〜20m,さらに50mくらいまで延長可能だという。デモはなかったので,実際にどの程度の距離を
60GHz帯を使用するこの手の通信チップだが,現在のところ技適は取れておらず,どっちにしても製品開発者側で取得する必要があるとのこと。
一方で,先日大阪で行われていたGCC 2018では,WirelessHDを使ったTP-Castがデモされていたが,こちらはすでに技適を取得済みだそうだ。VR用ワイヤレス技術ではTP-Castが一歩先を行っている感じだ。
●ポータブル3DスキャナF6 SMART
富士テクニカルリサーチが出展していたポータブル3Dスキャナを展示していた。手持ちのスキャナで対象オブジェクト周囲を掃くように動かすと,点群としての3Dデータとオブジェクトの色が取り込まれる。1回の走査では完全なデータは取りにくいようだが,物体に向けて満遍なく走査していくと,だんだんと点群の密度が上がっていく感じだ。
本機の特徴は一度に広範囲がスキャンでき,スキャン距離も4.5mと長めになっていることだ。室内全体のスキャンもさほど苦労しないだろう。
スキャナ自体もバッテリー駆動であり,ノートPCやタブレットPCと接続して,だいたい1時間くらいはバッテリーで作業できるとのことだ。完全ワイヤレスではないのだが,持ち運んでさまざまなものをスキャンできる。点群データは,ソフトによってそのまま点群で厚かったり,STLに変換して作業ができる。
また,複数のスキャナを同期させることで,人の動きを点群で取得することも可能だという。秒間8フレームのスキャンなので,そこまで細かい動きは取れないかもしれないが,とくにマーカーなどを必要としないことから,モーションキャプチャとはまた違った活用が可能だという。純粋に3D座標を採取するものなので,ものによっては流体などの動きもスキャンできるかもしれない。なお,F6 SMARTのシステム価格は本体やタブレット,講習・サポートなどを含んで400万円ちょっととのことだった。
●CACANI
CACANIはベクトルベースの2Dグラフィックスツールだ。一般的なお絵描き機能は一通り備えているわけだが,このツールを特徴付けるのは中割り機能だ。最初のフレームと最後のフレームを与えれば,その途中は自動的に保管してくれるのだ。
また,最初の1枚を塗っておけば,続くフレームでは簡単な塗り分けを自動でやってくれるのだ。グラデーションなどの複雑な処理をしている部分は個別で手動処理になってしまうが,セルアニメ調の作品であれば,自動彩色の恩恵は計り知れないものがあるだろう。すでに現在放映中のテレビアニメにもこれを使っているものがあるという。
海外製のツールだが,クリークアンドリバーが日本代理店として国内販売することが決定したという。海外では299ドルで販売されており,国内ではおそらく3万円台で販売される模様だ
●「Mark.Space」新世代のSecond Life?
Mark.Spaceは,VRを活用したコミュニティ&Eコマースサービスだ。
ぱっと見で,3D空間にアバターが表示され,企業の作ったVRスペースを歩き回るようなモノだったのだが,Second Lifeとどう違うのかと聞いてみると,Mark.SpaceはSecond Lifeに比べてもっとリアルな企業が出展する,現実空間と仮想空間の境界のような場所になるのだという。まあSecond Lifeでもリアルな企業は多く出展していたわけだが,展示が主体で販売店舗として機能していたとは言いがたい。VRを活用したショッピングサービスが主体となるようだ。自分をスキャンしてリアルなアバターを作成し,ショップで服を試着したりといったことも可能になるという。ちなみに決済にはブロックチェーンテクノロジーが利用されている。
Second LifeをVR付きで焼き直すというのはアリではあろう。VRのコミュニティは広く求められていると思われる。また,VRのEコマース展開はかなり以前から可能性を指摘されているものの,具体的に大きな展開が行われることもなかった。そういう意味では可能性のあるサービスなのだが,どうなることだろうか。
●NOZON PrezenZ
ボリューメトリックということで,ポリゴンモデルを点群データに変換して表示しているのだそうだ。
なぜわざわざ点群にするのかと聞くと,そのほうが高速に処理できるからであるらしい。GPU自体はポリゴン表示に最適化されているので,ちょっとどうだろうと思う説明なのだが,実際のところそれでしっかり動いているのだから,そうなのだろうか。
もう少し突っ込んで聞くと,基本的な陰影などはV-Rayでレンダリングして焼き込んでおき,それを点群に変換しているという。つまりリアルタイムのシェーディング処理はしないので,その分高速化できる。シーンの複雑性にもあまり負荷を左右されないということか。インタラクティブ性を捨てはいるものの,画質的にはレイトレーシングによるVRということにはなる。リアルにレンダリングされたVR空間の中で自由に視点を変えてVR映像を眺めることができるツールなわけだ。
元がポリゴンなので中身はないが,近づきすぎるとバラバラっとした点群の様子も窺えるが,普通に見ている分にはまったく破綻はない。
VRに展開した点群のストリーミング技術だと思えば,リアルな流体などでいろいろ面白いこともできそうだ。
●ワイヤレスVR用チップセット
ここで使用されているのはWiGigで,Intelなどが主導するワイヤレス高速通信規格である。コントローラはカナダのPeraso製が使われている。WiGigは伝送距離が10m程度と,比較的短いことでも知られているが,Perasoのソリューションはアンテナの構成次第で,10〜20m,さらに50mくらいまで延長可能だという。デモはなかったので,実際にどの程度の距離を
60GHz帯を使用するこの手の通信チップだが,現在のところ技適は取れておらず,どっちにしても製品開発者側で取得する必要があるとのこと。
一方で,先日大阪で行われていたGCC 2018では,WirelessHDを使ったTP-Castがデモされていたが,こちらはすでに技適を取得済みだそうだ。VR用ワイヤレス技術ではTP-Castが一歩先を行っている感じだ。
●ポータブル3DスキャナF6 SMART
本機の特徴は一度に広範囲がスキャンでき,スキャン距離も4.5mと長めになっていることだ。室内全体のスキャンもさほど苦労しないだろう。
スキャナ自体もバッテリー駆動であり,ノートPCやタブレットPCと接続して,だいたい1時間くらいはバッテリーで作業できるとのことだ。完全ワイヤレスではないのだが,持ち運んでさまざまなものをスキャンできる。点群データは,ソフトによってそのまま点群で厚かったり,STLに変換して作業ができる。
また,複数のスキャナを同期させることで,人の動きを点群で取得することも可能だという。秒間8フレームのスキャンなので,そこまで細かい動きは取れないかもしれないが,とくにマーカーなどを必要としないことから,モーションキャプチャとはまた違った活用が可能だという。純粋に3D座標を採取するものなので,ものによっては流体などの動きもスキャンできるかもしれない。なお,F6 SMARTのシステム価格は本体やタブレット,講習・サポートなどを含んで400万円ちょっととのことだった。
●CACANI
また,最初の1枚を塗っておけば,続くフレームでは簡単な塗り分けを自動でやってくれるのだ。グラデーションなどの複雑な処理をしている部分は個別で手動処理になってしまうが,セルアニメ調の作品であれば,自動彩色の恩恵は計り知れないものがあるだろう。すでに現在放映中のテレビアニメにもこれを使っているものがあるという。
海外製のツールだが,クリークアンドリバーが日本代理店として国内販売することが決定したという。海外では299ドルで販売されており,国内ではおそらく3万円台で販売される模様だ
●「Mark.Space」新世代のSecond Life?
ぱっと見で,3D空間にアバターが表示され,企業の作ったVRスペースを歩き回るようなモノだったのだが,Second Lifeとどう違うのかと聞いてみると,Mark.SpaceはSecond Lifeに比べてもっとリアルな企業が出展する,現実空間と仮想空間の境界のような場所になるのだという。まあSecond Lifeでもリアルな企業は多く出展していたわけだが,展示が主体で販売店舗として機能していたとは言いがたい。VRを活用したショッピングサービスが主体となるようだ。自分をスキャンしてリアルなアバターを作成し,ショップで服を試着したりといったことも可能になるという。ちなみに決済にはブロックチェーンテクノロジーが利用されている。
Second LifeをVR付きで焼き直すというのはアリではあろう。VRのコミュニティは広く求められていると思われる。また,VRのEコマース展開はかなり以前から可能性を指摘されているものの,具体的に大きな展開が行われることもなかった。そういう意味では可能性のあるサービスなのだが,どうなることだろうか。
VR用シート。振動などの付加機能を持つ。手持ちの扇風機で行われている送風は別途オプションあり。69万8000円より |
空中に浮かび上がる映像。LED付きのブレードを高速回転させているのだが,遠目に見るとまったくなにもない空中に鮮やかな映像が浮いている。ちなみに写真のシャッタースピードは1/50秒 |
会場でじっと座り込むおじさんたちの図。グリーの釣りVRのデモだった |