【月間総括】日本のスマホゲーム市場はパチンコの展開を踏襲するのか
今月は,スマートフォン用ゲームアプリの動向に触れてみたい。
前回も指摘したが,10-12月のゲームアプリ売上高は7-9月と比較して減少した企業が多い。要因はイベントのタイミング,休みの並び,大型アップデートの有無など各社さまざまである。しかし,全体で減少した可能性が高いということは,これまで成長一辺倒だったスマートフォン用ゲームアプリ市場が曲がり角を迎えた可能性もあると考えている。
日本のスマートフォン用ゲームアプリは,創生期からデジタルガチャ(ガチャ)を収益の源泉としてきた。現在も,アップストアの売上ランキングで多数を占めるのはガチャを用いたタイトルである。
このビジネルモデルは,ゲーム専用機のパッケージ販売や,パソコン用オンラインゲームの初期に多かった月額定額モデルよりも,課金顧客当たりの単価(ARPPU)を大きく増やすができるため,非常に優れたビジネスモデルだと思われている。
ただ,このビジネスモデルにも問題がないわけではない。一番は,パラメータのインフレ問題である。スマートフォン用ゲームアプリの典型的なパターンでは,非常に強いキャラクター(仮にAとする)を設定し,ガチャで引いてもらうようにするわけだが,このキャラクターAがある程度プレイヤーに普及すると,それよりも強い敵が設定されるようになり,それに勝てるキャラクターBが投入される。これが際限なく続くため,理論的には永続できるように思えるが,プレイヤーのAに対する思い入れが強かったりすると,Bへの興味が失せ,コンテンツから離脱してしまう危険性がある。新規プレイヤーも入るタイミングが難しいと感じてしまい,アクティブプレイヤーが減る結果,収益がどうしても逓減してしまうのである。
つまり,投資家から見ると,プレイヤーの増加や単価の上昇で収益が青天井で拡大し続ける期待を持つが,長期的には減少してしまうということである。
スマートフォンゲームアプリの本格的な隆盛は,2012年のパズル&ドラゴンズ(パズドラ)が嚆矢であるが,すでに登場から6年が経過し,スマートフォン販売の拡大ペースも鈍化するなか,新規プレイヤーを獲得することが難しくなっている。
しかも,ゲーム内容が複雑化しており,追随できなくなったプレイヤーのゲーム離れが生じているようにも見える。
スマホ市場では後発となった任天堂は,このような状況に早くから警鐘を鳴らしており,さまざまな課金システムを試しているが,現状では2018年第3四半期までのスマートデバイス・IP関連収入が291億円と,日本のトップコンテンツが年間1000億を超える規模になっていることを考えると,ワールドワイドで展開していてこれでは残念ながら成功しているとは言えない。
成功しているのは,同社のスマートフォンゲームアプリではなく,Nianticの「Pokemon GO」だけである。
ガチャビジネスのモデル市場となっているスマートフォンゲームは,ほかのプラットフォームで成功したIPでないと普及が難しい市場になってきているように見える。オリジナルのIPが成功しないとは言わないが,成功が困難な市場になっていると,ゲームアプリメーカーはコメントすることが多くなっている。
実際,コロプラの2018年9月期第1四半期の売上高が123億円とピークの2017年3月期第1四半期の232億円とから40%以上落ち込んでいる。
既存タイトルの黒猫・白猫の落ち込みを新規タイトルで投入したドラプロ,プロ野球VS,PaniPaniで埋めることが出来なかった。マーベラスも同様で,ログレスの落ち込みをカバーすべく投入した千銃士,ORDINAL STRATAも今一つとなっている。
このような状況下で,スマートフォンゲーム専業だったグリーは「釣りスタ」をNintendo Switchに投入する。今後のタイトルはマルチで対応する可能性もありそうだ。任天堂と特許を巡って係争しているコロプラも,Nintendo Switchを含むコンシューマゲーム機に進出したい意向を持っている。
以前は,スマートフォンゲームアプリ市場の隆盛で,コンシューマゲーム市場はなくなるとの見方が優勢であったが,ゲームアプリ市場の停滞,Nintendo Switchの成功,カプコンのモンスターハンターワールドの大ヒットもあって,日本ではコンシューマゲーム機がなくなるという推論はほぼ鳴りを潜めたようだ。
エース経済研究所では以前から,コンシューマゲーム市場とスマートフォンゲーム市場は共存可能としてきたが,かなり特異な主張であると指摘されていたと承知している。しかし,現実には可能であることが明らかになってきたわけだ。
おそらく今後は,コンシューマゲーム市場でIP確立→スマートフォンゲーム市場で収益化というパチンコ・パチスロ業界で定番となっている外部IP(アニメ・コンシューマIP)→パチンコ・パチスロ化という動きが進むはずである。スマートフォンゲーム市場はIPを創出する場ではなく,収益化する巨大市場であるとの認知が一層顕著になるだろう。
前回も指摘したが,10-12月のゲームアプリ売上高は7-9月と比較して減少した企業が多い。要因はイベントのタイミング,休みの並び,大型アップデートの有無など各社さまざまである。しかし,全体で減少した可能性が高いということは,これまで成長一辺倒だったスマートフォン用ゲームアプリ市場が曲がり角を迎えた可能性もあると考えている。
日本のスマートフォン用ゲームアプリは,創生期からデジタルガチャ(ガチャ)を収益の源泉としてきた。現在も,アップストアの売上ランキングで多数を占めるのはガチャを用いたタイトルである。
このビジネルモデルは,ゲーム専用機のパッケージ販売や,パソコン用オンラインゲームの初期に多かった月額定額モデルよりも,課金顧客当たりの単価(ARPPU)を大きく増やすができるため,非常に優れたビジネスモデルだと思われている。
ただ,このビジネスモデルにも問題がないわけではない。一番は,パラメータのインフレ問題である。スマートフォン用ゲームアプリの典型的なパターンでは,非常に強いキャラクター(仮にAとする)を設定し,ガチャで引いてもらうようにするわけだが,このキャラクターAがある程度プレイヤーに普及すると,それよりも強い敵が設定されるようになり,それに勝てるキャラクターBが投入される。これが際限なく続くため,理論的には永続できるように思えるが,プレイヤーのAに対する思い入れが強かったりすると,Bへの興味が失せ,コンテンツから離脱してしまう危険性がある。新規プレイヤーも入るタイミングが難しいと感じてしまい,アクティブプレイヤーが減る結果,収益がどうしても逓減してしまうのである。
つまり,投資家から見ると,プレイヤーの増加や単価の上昇で収益が青天井で拡大し続ける期待を持つが,長期的には減少してしまうということである。
スマートフォンゲームアプリの本格的な隆盛は,2012年のパズル&ドラゴンズ(パズドラ)が嚆矢であるが,すでに登場から6年が経過し,スマートフォン販売の拡大ペースも鈍化するなか,新規プレイヤーを獲得することが難しくなっている。
しかも,ゲーム内容が複雑化しており,追随できなくなったプレイヤーのゲーム離れが生じているようにも見える。
スマホ市場では後発となった任天堂は,このような状況に早くから警鐘を鳴らしており,さまざまな課金システムを試しているが,現状では2018年第3四半期までのスマートデバイス・IP関連収入が291億円と,日本のトップコンテンツが年間1000億を超える規模になっていることを考えると,ワールドワイドで展開していてこれでは残念ながら成功しているとは言えない。
成功しているのは,同社のスマートフォンゲームアプリではなく,Nianticの「Pokemon GO」だけである。
ガチャビジネスのモデル市場となっているスマートフォンゲームは,ほかのプラットフォームで成功したIPでないと普及が難しい市場になってきているように見える。オリジナルのIPが成功しないとは言わないが,成功が困難な市場になっていると,ゲームアプリメーカーはコメントすることが多くなっている。
実際,コロプラの2018年9月期第1四半期の売上高が123億円とピークの2017年3月期第1四半期の232億円とから40%以上落ち込んでいる。
既存タイトルの黒猫・白猫の落ち込みを新規タイトルで投入したドラプロ,プロ野球VS,PaniPaniで埋めることが出来なかった。マーベラスも同様で,ログレスの落ち込みをカバーすべく投入した千銃士,ORDINAL STRATAも今一つとなっている。
このような状況下で,スマートフォンゲーム専業だったグリーは「釣りスタ」をNintendo Switchに投入する。今後のタイトルはマルチで対応する可能性もありそうだ。任天堂と特許を巡って係争しているコロプラも,Nintendo Switchを含むコンシューマゲーム機に進出したい意向を持っている。
以前は,スマートフォンゲームアプリ市場の隆盛で,コンシューマゲーム市場はなくなるとの見方が優勢であったが,ゲームアプリ市場の停滞,Nintendo Switchの成功,カプコンのモンスターハンターワールドの大ヒットもあって,日本ではコンシューマゲーム機がなくなるという推論はほぼ鳴りを潜めたようだ。
エース経済研究所では以前から,コンシューマゲーム市場とスマートフォンゲーム市場は共存可能としてきたが,かなり特異な主張であると指摘されていたと承知している。しかし,現実には可能であることが明らかになってきたわけだ。
おそらく今後は,コンシューマゲーム市場でIP確立→スマートフォンゲーム市場で収益化というパチンコ・パチスロ業界で定番となっている外部IP(アニメ・コンシューマIP)→パチンコ・パチスロ化という動きが進むはずである。スマートフォンゲーム市場はIPを創出する場ではなく,収益化する巨大市場であるとの認知が一層顕著になるだろう。
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