なぜモバイルゲームをSwitchに移植すべき(そしてすべきでない)のか
EEDARのシニアアナリストMatt Diener氏はSwitchユーザーがモバイルでの大量出費者であることに気づいた。―これは成功したモバイル適合につながるのだろうか?
Nintendo Switchの初年度における成功に不思議はない。それは革新的なハードウェア製品であり,携帯用としてもリビングルームでゲームをするにしても同等に適しており,初年度のソフトウェアラインナップは近年類を見ないほど強力なものだった。
しかしながら,Switchで驚いたのは,そのユーザーベースのモバイルゲームでのエンゲージ率(課金率)が第8世代ゲーム機ユーザーの平均と一致して ―むしろわずかに上回って― いたことだ。彼らの課金率は北米におけるモバイルゲーマーの平均を大きく上回る。言い換えると,Switchユーザーは,現時点で最もポータブルなHDゲーム機を所有しているにもかかわらず,いまだに携帯電話やタブレットのゲームにも重課金しているのだ。
※現在のNintendo Switchユーザーがヘビーゲーマー層だというのは,4Gamerでの調査とも一致する(参考URL)
この驚くべき発見は,EEDARのPlayerPulseトラッカー ―現在も行われている調査では,毎月1500人の北米ゲーマーに彼らの習慣とモバイルでのタイトル認知度を調べている(注:以下のデータは2017年1月から2018年1月までの12か月に集計されたサンプルに基づいており,Switchのローンチ時期を含んでいる)。
上のグラフ中で(PlayerPulseより),明らかにSwitchユーザーは第8世代ゲーム機ユーザーよりも重課金傾向にあることが分かる。北米のSwitchユーザーのうち,38%がモバイルゲームでお金を使っていないと答えているのに対し,ゲーム機でモバイルゲームでお金を使っていないと答えた人は44%だった。
Switchと第8世代の両方のセグメントで,62%がお金を使っていないとする北米の広範なモバイルゲームプレイヤーより多くが投資(消費の意)されている。
Switchユーザーの消費上限も同様に第8世代ゲーム機ユーザーの平均よりも高い。12%のSwitchユーザーは月に30ドル以上を使うと回答している。それに対し,第8世代ゲーム機では8%,北米モバイルゲーマーでは6%が,同じ額を使うとしていた。
お金のことはさておき,Switchユーザーは時間の使い方についても大胆だ。Switchユーザーの1/4,25%が週に10時間以上モバイルゲームを遊んでおり,これは最もモバイルに投資しているゲーム機ユーザー層(23%。モバイルゲーマーでは21%)をわずかに上回る。
Switchユーザーは消費と投資の双方で上回っており,このパターンのエンゲージメントは,EEDARが北米ゲーマー間で観測している傾向と一致する。最もハードコアで投資の多いゲーマーは複数のプラットフォームでプレイ&課金しており,ゲームをするとき「二者択一」の選択をする必要がないのだ。
この投資パターンが示すのは,モバイルゲームをSwitchに移植することは,簡単な成功のためのレシピになるということだ。
モバイルゲームの移植がSwitchで成功するのかどうかの答えは,残念ながらもっと曖昧だ。これはSwitchユーザーが新しいハイブリッド携帯機のせいでモバイルでの消費をやめたりしないという過去の傾向が明らかだとしてもである。
Switchが完全に携帯機であっても,ポケットには全然入らないばかりか,スマホのように1〜3分でちょっとプレイするのにも向いていない。― 利便性と低コストでのエンターテイメントが主要な関心事であった場合,いまだ既存のスマートフォンのほうが勝っている。逆に言えば,Switchはゼルダの伝説(関連英文記事)やSuper Mario Odyssey(関連英文記事)といったいくつかの極度に印象的なゲームを本領としている(The Elder Scrolls V: Skyrimについては言うことはない)。
これらの50〜250時間の長大なゲームは,出先での20〜30分でのゲームプレイに適したループに落とし込むことができるとしても,これらのゲームは多くのモバイルゲームが提供するものとはまったく違った規模を持っており,簡単にプレイヤーの注意をマラソン,終夜のゲームプレイに向かわせる。これはまるで,SwitchユーザーがSwitchと携帯の両方を使って,2種類のまったく違ったゲームへの欲求を満たそうとしているように見える。しかし,これはSwitchがモバイルの移植を完全に見過ごすべきだということを意味しない。
プレイヤーに10〜20分間ずっと注意を集中させるようなセッションの長いモバイルゲームは北米では成功しない。それらはモバイルとは別の市場のものであり,Switchはそれに最適のプラットフォームになれるかもしれない。たとえば,Tencentが茂名いるように作ったMOBA「Arena of Valor」(王者栄耀)は,中国でのようには北米では業績を上げていない。そこそこヒットしたSuper Evil MegacorpのモバイルMOBA「Vainglory 」は,それはありえないことを示唆している。しかしArena of Valorは,今年末にSwitchでリリースされたときには,待望であった西洋ユーザーからの投資を得ることができるかもしれない。
Switchでの成功をあてにしているパブリッシャは,過去1年のデータを念頭においておく必要がある。Switchユーザーは,劇的なローンチと賞を取ったエクスクルーシブタイトルがあるにもかかわらず,いまだにモバイルプラットフォームでのヘビープレイヤーかつ重課金者であるということだ。
1〜2分のコアループを持つゲームをモバイルからSwitchに持ってきて大成功を期待することは,Switchユーザーが昨年どのようにゲームコンテンツを選んできたかについての根本的な誤解を露呈する可能性がある。
代わりに,モバイルにはコアすぎるブランドを持っているパブリッシャであれば,Switchを彼らのゲームにエンゲージするであろう未開拓のユーザー層と考えたがるかもしれない。
もしあなたがそういったタイトルをまったく持たないモバイルパブリッシャであっても,絶望することはない。―なんにせよ,Switchユーザーがあなたのゲームをまだプレイしているというのはよいことだから。
Matt Dienerは,文化人類学と民俗学研究を活用してEEDARのフォーカスグループ製品ラインの長を務めている。EEDARで働く前は,モバイルゲームと携帯ゲーム機に特化したジャーナリストかつレビュアーだった。EEDARのPlayerPulse評議会の調査データについてさらに知りたい人は,Cooper Waddell(cwaddell@eedar.com)にコンタクトしてほしい。
Nintendo Switchの初年度における成功に不思議はない。それは革新的なハードウェア製品であり,携帯用としてもリビングルームでゲームをするにしても同等に適しており,初年度のソフトウェアラインナップは近年類を見ないほど強力なものだった。
しかしながら,Switchで驚いたのは,そのユーザーベースのモバイルゲームでのエンゲージ率(課金率)が第8世代ゲーム機ユーザーの平均と一致して ―むしろわずかに上回って― いたことだ。彼らの課金率は北米におけるモバイルゲーマーの平均を大きく上回る。言い換えると,Switchユーザーは,現時点で最もポータブルなHDゲーム機を所有しているにもかかわらず,いまだに携帯電話やタブレットのゲームにも重課金しているのだ。
※現在のNintendo Switchユーザーがヘビーゲーマー層だというのは,4Gamerでの調査とも一致する(参考URL)
この驚くべき発見は,EEDARのPlayerPulseトラッカー ―現在も行われている調査では,毎月1500人の北米ゲーマーに彼らの習慣とモバイルでのタイトル認知度を調べている(注:以下のデータは2017年1月から2018年1月までの12か月に集計されたサンプルに基づいており,Switchのローンチ時期を含んでいる)。
上のグラフ中で(PlayerPulseより),明らかにSwitchユーザーは第8世代ゲーム機ユーザーよりも重課金傾向にあることが分かる。北米のSwitchユーザーのうち,38%がモバイルゲームでお金を使っていないと答えているのに対し,ゲーム機でモバイルゲームでお金を使っていないと答えた人は44%だった。
Switchと第8世代の両方のセグメントで,62%がお金を使っていないとする北米の広範なモバイルゲームプレイヤーより多くが投資(消費の意)されている。
Switchユーザーの消費上限も同様に第8世代ゲーム機ユーザーの平均よりも高い。12%のSwitchユーザーは月に30ドル以上を使うと回答している。それに対し,第8世代ゲーム機では8%,北米モバイルゲーマーでは6%が,同じ額を使うとしていた。
お金のことはさておき,Switchユーザーは時間の使い方についても大胆だ。Switchユーザーの1/4,25%が週に10時間以上モバイルゲームを遊んでおり,これは最もモバイルに投資しているゲーム機ユーザー層(23%。モバイルゲーマーでは21%)をわずかに上回る。
Switchユーザーは消費と投資の双方で上回っており,このパターンのエンゲージメントは,EEDARが北米ゲーマー間で観測している傾向と一致する。最もハードコアで投資の多いゲーマーは複数のプラットフォームでプレイ&課金しており,ゲームをするとき「二者択一」の選択をする必要がないのだ。
この投資パターンが示すのは,モバイルゲームをSwitchに移植することは,簡単な成功のためのレシピになるということだ。
レッドオーシャンかブルーオーシャンか?
モバイルゲームの移植がSwitchで成功するのかどうかの答えは,残念ながらもっと曖昧だ。これはSwitchユーザーが新しいハイブリッド携帯機のせいでモバイルでの消費をやめたりしないという過去の傾向が明らかだとしてもである。
Switchが完全に携帯機であっても,ポケットには全然入らないばかりか,スマホのように1〜3分でちょっとプレイするのにも向いていない。― 利便性と低コストでのエンターテイメントが主要な関心事であった場合,いまだ既存のスマートフォンのほうが勝っている。逆に言えば,Switchはゼルダの伝説(関連英文記事)やSuper Mario Odyssey(関連英文記事)といったいくつかの極度に印象的なゲームを本領としている(The Elder Scrolls V: Skyrimについては言うことはない)。
これらの50〜250時間の長大なゲームは,出先での20〜30分でのゲームプレイに適したループに落とし込むことができるとしても,これらのゲームは多くのモバイルゲームが提供するものとはまったく違った規模を持っており,簡単にプレイヤーの注意をマラソン,終夜のゲームプレイに向かわせる。これはまるで,SwitchユーザーがSwitchと携帯の両方を使って,2種類のまったく違ったゲームへの欲求を満たそうとしているように見える。しかし,これはSwitchがモバイルの移植を完全に見過ごすべきだということを意味しない。
プレイヤーに10〜20分間ずっと注意を集中させるようなセッションの長いモバイルゲームは北米では成功しない。それらはモバイルとは別の市場のものであり,Switchはそれに最適のプラットフォームになれるかもしれない。たとえば,Tencentが茂名いるように作ったMOBA「Arena of Valor」(王者栄耀)は,中国でのようには北米では業績を上げていない。そこそこヒットしたSuper Evil MegacorpのモバイルMOBA「Vainglory 」は,それはありえないことを示唆している。しかしArena of Valorは,今年末にSwitchでリリースされたときには,待望であった西洋ユーザーからの投資を得ることができるかもしれない。
他のプラットフォームを妨げることはない
Switchでの成功をあてにしているパブリッシャは,過去1年のデータを念頭においておく必要がある。Switchユーザーは,劇的なローンチと賞を取ったエクスクルーシブタイトルがあるにもかかわらず,いまだにモバイルプラットフォームでのヘビープレイヤーかつ重課金者であるということだ。
1〜2分のコアループを持つゲームをモバイルからSwitchに持ってきて大成功を期待することは,Switchユーザーが昨年どのようにゲームコンテンツを選んできたかについての根本的な誤解を露呈する可能性がある。
代わりに,モバイルにはコアすぎるブランドを持っているパブリッシャであれば,Switchを彼らのゲームにエンゲージするであろう未開拓のユーザー層と考えたがるかもしれない。
もしあなたがそういったタイトルをまったく持たないモバイルパブリッシャであっても,絶望することはない。―なんにせよ,Switchユーザーがあなたのゲームをまだプレイしているというのはよいことだから。
Matt Dienerは,文化人類学と民俗学研究を活用してEEDARのフォーカスグループ製品ラインの長を務めている。EEDARで働く前は,モバイルゲームと携帯ゲーム機に特化したジャーナリストかつレビュアーだった。EEDARのPlayerPulse評議会の調査データについてさらに知りたい人は,Cooper Waddell(cwaddell@eedar.com)にコンタクトしてほしい。
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)