ESRB,Loot Box論争でゲーム内購入への新たなラベル導入を回答
議員たちがLoot Boxを取り締まると脅していることに対して(関連記事),Entertainment Software Rating Board(※ESRB:日本でいうCEROに相当する機関)は本日,ゲーム内購入タイトルに対する懸念に対処するラベル(※レーティングマークに付随する新たな注記)の計画を発表した。物理的ゲーム(※パッケージ販売されるゲーム)に対して適用が開始される模様だ。
今朝開かれたジャーナリストとのラウンドテーブルで,ESRB議長のPatricia Vance氏は,新しいラベルは現在行っている「ESRBで審査されていないオンラインのやり取り」の通知のように,通常のレーティングマークやコンテンツディスクリプター※の範囲外で扱われるようになるだろうと語った。これはゲーム内でリアルマネーを消費させる可能性のあるあらゆるタイトルに適用される。Loot Box,スキン,サブスクリプション,シーズンパス,音楽,DLC,さらにはゲーム内広告を禁止するオプションなどを問わず適用される。
※「暴力」「セクシャル」「ギャンブル」など,規制の根拠を示したもの。CEROではアイコンで示されている
「私は,あなた方みんながなぜLoot Boxに対してもっと特別な規制をしないのかと問われているのを理解しています」とVance氏は語った。「我々は過去数週間,数か月にわたって,とくに保護者との間でたくさんの研究を行いました。我々が知ったのは,ほとんど大多数の保護者はLoot Boxがなんなのかすら知らないということでした。また知っているという人でさえ,実際にLoot Boxがどんなものかを理解していませんでした。ですので,我々にとって重要なのは,Loot Box自体の害を繰り返し訴えることではありません。Loot Boxだけでなく,それ以外のゲーム内のやり取りについての捕捉も確認することなのです」
Vance氏は,保護者に対してLoot Boxがどんなものであるのかを説明したときに,彼らが懸念を示したのは,子供たちがお金を使っているかどうかであり,どんなシステムでお金を使ったのかではなかったと語った。
「保護者は単純な情報を必要としています」とVance氏は語った。「たくさんの詳細事項で彼らを圧倒するのはよくありません。我々は明快で簡潔で,彼らに分かりやすいものである必要があります。保護者たちがたくさんあるシステムの違いを理解しているようには思えません。彼らは,ゲーム内にお金を使わせるなにかがあることだけを理解しているのです」
加えて,ESRBはWebサイト ParentalTools.orgをローンチした。このサイトは,さまざまなゲーム機でどのゲームを遊ぶか,どれくらいの時間遊ぶか,子供たちがいくらまでお金を使うかといった方法でペアレンタルコントロールで行う方法を段階的に示すリンクを掲載している。
「これで数歩前進しました」とVance氏は語る。「我々は業界とともに取り組みを続けています。それは一般的なゲーム内購入,とくにLoot Boxでの効果的な情報開示を確認するためのものです。ですので,我々にできることがなにかあるのなら,我々はそれを行うつもりです」
ESRBはパブリッシャにLoot Boxのドロップ率を開示するように求めるのかと聞かれたとき,Vance氏は,同団体は現時点ではそれに対してアクションを行うつもりがないと語った。
Vance氏はまた,米国上院議員Maggie Hassan氏(ニューハンプシャー州コンコード連邦裁判所)からのコメントにも対応している(関連記事)。彼女は今月初めに,ゲーム内で使われるLoot Boxを開示するようにESRBを召還していた。これは子供向けのゲーム内Loot Boxが倫理的に設計,販売されているのかを確認するだけでなく,Loot Boxの普及率とどれくらいの金額がプレイヤーによって使われているのかに関する情報を収集し公開するためのものだった。
「我々は本日申し上げた内容が彼女の懸念に対する答えになっていると信じています」とVance氏は語り,彼女が上院議員の事務所での会談を希望していると付け加えた。
本日Hassan上院議員に直接送付された書簡で,Vance氏はESRBの新ラベルとペアレンタルツールのWebサイトに触れ,彼女の懸念を前提に議論している。
「ゲーム内システムとしてのLoot Boxの去就に関するあなたの立場と懸念に感謝するとはいえ,Loot Boxに起因する『ゲーム障害』の具体的な証拠というのはなにもありませんし,Loot Boxを開けることが,とくに子供たちに対して大きな心理学的影響を与えているという価格的な証拠も知りません」とVanse氏は書き,「さらに,あなたの手紙に記載されているクレームの調査で,我々はとくに子供たちを対象としたLoot Boxというものには出会っていません」と付け加えている。「それでも,我々はこの分野での調査を監視し続けます。Loot Boxの子供たちへの潜在的影響に対する保護者の懸念に遅れを取らないようにするだけでなく,適宜保護者の指導を補助します」
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)