ガチャがFree-to-Playの現在であるなら未来はどうなるのか? LoLを作った男たちによる新作MMORPGの戦略

資金調達の新しいラウンドとともにDauntlessはオープンβテストの手はずを整えている。Phoenix LabsはFree-to-Playの新生に備えている。

 Phoenix Labsの資金調達からちょうど4年経ち,バンクーバーを拠点とするデベロッパは同社の最初のゲーム,Free-to-PlayのアクションRPG「Dauntless」のローンチ準備に取り掛かっている。

 Monster Hunterの公式にひねりを加えたようなものを提供すると思われる協力型アクションハンティングゲームDauntlessは,現在クローズドβテストを行っている。そこではデベロッパから招待されたプレイヤーか,40ドルから100ドルの範囲で「Founders」アクセスを購入した人がプレイしている。

 ゲームのオープンβ期間が急速に近づいており,Phoenix Labsは最近,Sapphire Ventures,GGV,Ridge,Signia,Next Frontier,MTGxらの参加するシリーズBの投資ラウンドを完了した。同スタジオは出資額がいくらになったのかは明らかにしていないが,共同創立者兼CEOを務めるJesse Houston氏GamesIndustry.bizに「本当に必要だけ時間がとれる」金額だと話してくれた。

 「我々は,これこれの日付とかこれこれの売り上げ目標といったことにもはやフォーカスしていません」と氏は続けた。「代わりに,準備ができたときに準備できるようになりました。そして束をより拡大できるようにもなりました」


 同社は結成以来,かなり成長している。我々が最後にHouston氏と話し合ったのは2014年のことだったが(関連英文記事),当時Phoenix Labsはわずか8人で構成されていた。最近では52人のフルタイム勤務の社員を抱えており,カリフォルニア州サンマテオに第2の拠点をオープンしている。

 このような投資と成長にもかかわらず,開発者たちはいまだスタジオの制御を維持しているという。昨年の10月に同スタジオがLoot Box(※≒ガチャ)排除のためにマネタイゼーションを改修することを決めたのはは幸運だったかもしれないとHouston氏は語っていた。

 「我々は,Battlefrontと本当にそこから知らされていたその他の人々の崩壊の波より少しだけ先に始められていました。我々は,どんな種類のものをプレイヤーは買いたがるのかについて内部的にもコミュニティとも広く話し合っています」

「私は,プレイヤーから小銭を取る方法を最適化していくよりも,素晴らしいゲーム体験を提供し,コミュニティのためのゲームを作ることに100%フォーカスしたビジネスを展開したいです」

 Free-to-Playのゲームとして,開発チームは,単純にFree-to-Playのゲームのマネタイズで一般的に受け入れられている方法のように思われたのでLoot Boxを設置した。しかし,彼らがそのシステムを繰り返しているうちに,次の事実に気づいた。プレイヤーはそれに投資したとしても,それ自体を楽しむものとして以上に,特定のアイテムを得るまでやるものとして見ていたのだ。

 Houston氏は説明する。「本当に恐ろしいLoot Boxモデルが存在します。『ポケットの中に1ドル札が2枚余ってる。これでなにかいいモノ手に入るかな?』といった考えを悪用するのです。しかし,あなたが本当に明るいピンクの染料をほしかったとしても……我々はユーザーがほしいものを正確に与える必要があるとは思っていません。ますます我々はそれを反省し続けたのです。そして,プレイヤーがお金を使うときにどう感じてほしいのか考え抜きました。我々は『私はこれがほしかったので手に入れた』といった具合に感じてもらいたかったのです」

 プレイヤーの側では,この動きはとくに波紋を引き起こすようなものには思えなかった。デベロッパは変更を予定されていた進行の抹消と結びつけたので,不公平に人を傷つけることはなかった。クローズドβテスターのほとんどがアクセスにお金を払っていると考えると,スタジオはゲーム内マネタイズオプションを強調していなかった。なぜなら彼らはアーリーアダプターから二度取りするようなことは望まなかったからだ。マネタイズの改修以前にPhoenix LabsがDauntlessのビジネスモデルを,時間短縮ブーストとファッションアイテムだと決めていたことも役立っていたかもしれない。

 「本当に我々は,戦力強化のための課金と取られそうなものからは距離を置くようにしていました。これはわれわれの仕事での難しい部分です。もしあなたがイカれたアーマーとイカれた剣のセットを持った誰かを見たとしましょう,あなたはそれがベヒモスのドロップ品で彼らがベヒモスを倒して手に入れたことを知ります。するとあなたは,なにか,彼らと足並みを揃えたいという熱望のようなものを感じることでしょう」

 氏は加えて語った。「最終的に,これは我々がどんな種類のビジネスをやりたいのかという質問への答えに行き着きます。私は,プレイヤーから小銭を取る方法を最適化していくよりも,素晴らしいゲーム体験を提供し,コミュニティのためのゲームを作ることに100%フォーカスしたビジネスを展開したいです」

 ゲームデベロッパの言葉としては非常に健全で素晴らしい。しかし,業界の収益性の低い時期と,より密接に関連付けられた単刀直入な価値ある提案として,特定のほしがられるアイテムでお金を使わせることに有利な「いまどき流行りの」ビジネスモデルを排除したとき,もう少しスタートアップの投資家がユーザー単価の最適化に関心を持つことに期待している人もいるかもしれない。それにもかかわらず,Houston氏は投資家チームは「このビジョンに本当にもの凄く支持的」だったと語る。

 Houston氏は,人々はLoot Boxにフォーカスしたビジネスモデルのゲームと同じ額をゲーム内で使ってくれると考えたいようだ。そして,氏はゲームの新しいビジネスモデルにいくつかの潜在的な利点を見出している。それはLoot Boxには適さない方法で製品をまとめ売りできるようにするものだ。実際のところ,Houston氏は投資家自身よりも,ビジネスモデルの変化がチームの投資収益率に与える具体的な影響を心配していたのかもしれない。

「Loot Boxか注文購入かで同じような購入率を得ているかどうかとか以上に,お気に入りの武器はどれでベヒモスがなんであるかといったことを知りたいと思っています」

 「我々が潜在的な投資家やその他の人々と話していると,話し相手の大多数に,とてもとても深いレベルでゲームプレイに根差したことを話します」とHouston氏は語る。「私は,Loot Boxか注文購入かで同じような購入率を得ているかどうかとか以上に,お気に入りの武器はどれでベヒモスがなんであるかといったことを知りたいと思っています」

 「我々はみんな,Free-to-Playであるか否かにかかわらず,マネタイズは一般的なゲームの中核となる要素であることを理解しています。売らないなら明かりを点けたままにはしません。彼らは,素晴らしいFree-to-Playゲームを続けている我々の積み重ねは,西洋におけるFree-to-Playゲームの未来がどのような姿になっても切り抜けていける知識を与えてくれると信じています」

 Houston氏は1年前に西洋のFree-to-Playの未来はLoot Boxのようなものだと語っていた。現在では,注文購入になったようだ。彼の投資家は細目は変わるものだということは理解している。そして彼らのビジネスモデルの些細な点を追及するよりも,むしろ明らかに開発チームのFree-to-Playの経験と(共同設立者の3人は全員League of Legendsを開発したRiot Gamesで働いていた),市場がどんな要求をしてきても適合させる能力を信用しているようだった。

 適合させる手法の経験則として,Houston氏はワールドワイドでヒットするFree-to-Playゲームにはいくつかの基準があると信じている。最も顕著なのは,人々に機能のためのお金を要求しないようなゲームのコアループを作ることだ。

 「マネタイズを後回しにしていいということではありません。それは本当に密着したように感じられるものであり,部屋の中にいる象のように誰も語りたがらないものではありません」とHouston氏は語った。「これは単にゲームの論理的な部分の話であり,それを使わなかったからといって罰せられたことはありません」

 Houston氏と彼への投資家は,今年終盤にDauntless のオープンβテストを開始するときに,このアプローチの確証が取れることを望んでいる。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら