「MONSTER HUNTER: WORLD」海外評価のまとめ

カプコンの看板タイトルは見事に任天堂独占の10年以上のものをもたらす結果となった。

 任天堂のゲーム機以外でも最新のMONSTER HUNTERをプレイできていた頃は,世界はずいぶん違った様相だった。Facebookは一般公開されたばかりで,iPhoneはまだ存在しなかった。そして日本ではニンテンドーWiiが発売準備をしていた。

 実際,PlayStation 2とPSPで2本のヒットを飛ばして以降は,MONSTER HUNTERの熱狂的なファン層は,続く3作をWiiかより重要な3DSでのみプレイできた。両システムは,日本ではカプコンの看板タイトルを大ヒットさせるだけの十分なユーザー数を抱えていたが,現実的にどのゲームも,任天堂の最新ハードからは2,3歩引いたハードの傾向に縛られていた。

 MONSTER HUNTER: WORLDは,最先端のゲーム機でならカプコンはどれほどのことを成し遂げるだろうかと考えていた人への,強烈な回答となっている。 ― このシリーズが12年ぶりにPlayStationに戻っていたというだけでなく,Xboxシステムすべてでのデビューとなるという意味においてもだ。複雑なデザインで評判のシリーズでのPS4 Proのようなゲーム機による飛び抜けて華麗なビジュアル表現は,味わい深いものとなる可能性があった。

「ビジュアル的に,これはパワフルなハードウェアで解放されたゲーム内でトップのアーティストチームです」
-The Daily Telegraph

 何十ものレビューが現在発表されている。カプコンが単に同シリーズで最高に技術的かつ先進的なゲームを出したのみならず,過去最高の作品になっているのは明らかだ。MONSTER HUNTER: WORLDに最高点を与えたThe Daily Telegraphによると(参考URL),その評価の決め手になったのは,ありあまる馬力とビジュアルの輝きは,単に驚嘆させるだけでなく同シリーズの根本的な強みを強化・拡大している。

 「WORLDの無数のエリアは驚くほどリアルで,自然のままに多様性に満ちています」とThe Telegraphは語っている。(多くの批評家と同様)ローディング画面は歓迎されていない。「ビジュアル的に,これはパワフルなハードウェアで解放されたゲーム内でトップのアーティストチームです」

 「MONSTER HUNTERは伝統的に携帯ゲーム機用に作られていました。それに伴うさまざまな制約のうえでです。しかし,制約は時として発明を生み出します。最新の家庭用ゲーム機技術が巧みに組み合わされており,これ以上の望めないほど豪華で印象的なものになっています。
とくにThe Coral Highlandsは幻想的な輝きの傑作です。字かな色彩と深い海の質感の多様性を広大で眩暈がするような崖面へと運んでいます」


 「これは単に珊瑚礁の間を織り成す柔らかく青い帯が弾力性としなやかさを示しているだけではありません。もしも,ネズミの顔をしたパオルムそれを叩き付けたときにあなたがその上に立っていたら,あなたは飛んでいってしまうでしょう。もしくは,もしかしたらその真ん中に頭を詰まらせて数発殴り放題にできるかもしれません。……戦闘している特定のモンスターと環境をできるだけうまく組み合わせること,学習と地形の活用は戦闘の中心部分となります」

 任天堂プラットフォームと諸々に別れを告げて,もっとパワフルなハードウェアへの切り替えはレビュアーの大多数に注目され,そしてその誰からも大いに賞賛されていた。MONSTER HUNTER: WORLDへのポジティブな感情は,それに同意しないものをまとめても10点中8点になるほどだ。最も多く見られた批判は,これまでこのシリーズに出会っていなかったゲーマーによる,MONSTER HUNTER: WORLDには独自のモンスターや10年間にわたるクセ,そして移植されたプラットフォームが受け取る知識が多すぎるというものだった。

「カプコンはまだまだチュートリアルと一般的な学習曲線を直すべきです」
-Push Square

 Push Squareはこれを憂慮している(参考URL)。それにもかかわらずPlayStationのWebサイトは,事実上高得点を取得したレビューでのあらゆる礼賛の声を繰り返している。MONSTER HUNTER: WORLDによる多くの進化にもかかわらず,シリーズの古い慣習はなかなか消えないとPush Squareは語る。

 「カプコンはまだまだチュートリアルと一般的な学習曲線を直すべきです。おそらく,これは現状で最も重要な問題です。これは多くの人にとって最初のMONSTER HUNTERになるでしょう。これでは基本的に,すべてあまりにも簡単な(all-too-brief 原文ママ)チュートリアルに続いて深淵に押し込まれるようなものです」

 「実際,これは20時間も練習すれば実現可能な問題です。システム全体は依然としてつかめないかもしれませんが。ゲーム中にNPCからなにかすることを求められることがあるかもしれませんが,おそらくどこから始めていいのかすら分からないでしょう。楽しみ方の一つとして,すべてを把握するというのがあります。そうですね。支援なしでモンスターをうまく捕まえられることをお祈りします」

 「もしあなたがMONSTER HUNTERをプレイしたことがないのであれば,あなたには周知の知識を詰め込むためにたくさんの初心者ガイドが必要になります。最初は圧倒されるほどたくさんの学ぶべきシステムがあります。あなたはその大半をゲームしながら学ぶことができるでしょう。それは本作の魅力で大きな部分を占めます。しかし,チュートリアルでできるはずのこともいくつかあるのです」


 これに根ざした不満は,多くのレビューでかなり違った形で表面化している。事実上,すべてのレビューは,MONSTER HUNTER: WORLDがシステムのすべてを説明していないということを認めており,長年にわたり熱心で忠実かつ完全にハマっているユーザーのために蓄積された荷物のほんの少ししか運んでいないとしている。しかし多くの人にとって,カプコンがまだ進化を示していること,その進化は,同作の根幹を成す非常に単純で習慣性の強いループに関して妥協していない。

 珍しく"Essential"レビューを持ち出したEurogamerでは(参考URL),モンスターを狩ってその死体から次の敵に取り組むための装備を作るプロセスは「ゲームでめぐり合う最も魅力的なループの一つ」だとしている。「まずなによりも,MONSTER HUNTER: WORLDはシリーズの基本的な魅力を損なっていません。そしてこれはユーザー体験に『深い』違いを作りながらも行われています」

「ほとんどすべての変化がよい方向です。そしてほぼどれもが魔法を妥協していません」
-The Verge

 「非常にコアな部分で,これはまさにMONSTER HUNTERです。多くの部分で近年我々が慣れ親しんでいたものより洗練された作品になっています」とEurogamerは語っている。「MONSTER HUNTERクロス ―これ自体はMONSTER HUNTERの第4世代を締めくくるコンピレーションのようなもの― のクラっとするような幅広い多様性のあとでは,相対的に提供物は少なめである。狩技はなくなり,14の剛種武器に新しい武器の追加はない。MONSTER HUNTER: WORLDでは,シリーズの本当に革新的な部分にはほとんど手がつけられていない。

 「実際のところ,核心部分がどんなに素晴らしいかを考えれば十分すぎるくらいです。MONSTER HUNTER: WORLDは,少なくともすべての人にそれを広めようという努力はしています。言わせてもらえば,アクセスしやすさについては,少し細かすぎかもしれません。新人プレイヤーに膨大なアクションを身につけさせるには手っ取り早いのですが,それでもまだ数時間後には叩きのめされるでしょう。重要なシステムのいくつかはまったく説明されないままなのです。 ― ですので,おそらく,大量の近代化は施されていると表現するのが最善でしょう。現在では時代からほんの少し遅れているだけです」

 MONSTER HUNTERでは,進化やアクセスしやすさといった概念は相対的な言葉だった。数百万本を売り上げた過去のシリーズ作との比較というよりも,自身の過去との相対という意味だ。Dark Soulのように,経験を通して自分のやり方を見つけることは,なぜ人々がとにかくプレイしているのかの理由の根底となる。初心者にとって,新人プレイヤーに不可解だと思えるものというのは,すでに勝ち取った公式への,小さいが重要な変更が無数にあることを示している。

 「バカとはほど遠いMONSTER HUNTERはグローバルなメインストリーム市場を目指しています。カプコンは驚くほどの自信と,WORLDのデザインで自己認識を示しています」とThe Vergeは自身の白熱したレビューで語っている(参考URL)。「ほとんどすべての変化がよい方向です。そしてほぼどれもが魔法を妥協していません。……わずかながらもそれなりに魅力的なストーリーは,クエスト構造の連続組織として機能するようになりました。構造は再構成され,シングルプレイヤーとマルチプレイヤーでクエストの区別はなくなりました。そして次の進化に必要なものは常に明解です」

 「賢明で,実用的な調整がたくさんあります。ランダムにぶつかることに期待するのではなく,足跡を探すことで目的のモンスターを見つけるのに役立つ新しいシステムができました。西洋風ゲームのスタイルに合わせるオプションもあります。― たとえば放射状のメニューでアイテムを選んだり,左アナログスティックをクリックして疾走したりといった具合です。アイテム製作システムはほとんど全自動に洗練されました。HPポーションを飲むときその場で立って苦悩するほど長時間バンザイをしなくなり,攻撃の幅が広がりました」

 「私は,あなたがMONSTER HUNTER: WORLDを好きになるかどうか,さらにMONSTER HUNTERの西洋進出に十分なものだったのかについては答えることができません。このシリーズは決してあらゆる人々に向いたものではありません……。それでも私に言えるのは,あなたはMONSTER HUNTER: WORLDを試してみるべきだということです」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら