[GTC Japan]現実の素材からデータを取り込むマテリアルスキャナとは?
なお,アスクというのはゲーマーにも聞き覚えのある会社かもしれないが,PCパーツや周辺機器などを扱っているアスクで間違いはない。卸売り以外にもさまざまなことをやっているという例でもある。
ゲームグラフィックスでも物理ベースレンダリングが主流となり,リアルな光源でリアルな質感を持った映像をレンダリングできるようになってきた。リアルな質感を出すには,設定された素材がリアルでなくてはならない。ではどうやってリアルな素材を調達するのかというのが,このセッションのテーマとなっている。ゲームなどのリアルタイムグラフィックスを前提にしたものではないが,根本となる問題は共通しており,参考になる部分もあるだろう。
そこで白澤氏が勧めたのがNVIDIAが提供しているVMaterialなどに使われるMDLファイルだ。これはMDLという言語で記述された素材の形式でできており,テキストファイルなのでメモ帳があれば記述できないこともない(現実的ではないが)。
これを使う方法としては,
- ライブラリを使う
- ノードエディタなどを使う
- スキャンする
といった方法があるとした。今回テーマとなるのは,最後のスキャンを利用する方法だ。
ここで素材のBRDFパラメータなどを取得するハードウェア,すなわちマテリアルスキャナとして紹介されたのが,S-OGMとX-Rite TAC7の2種類だ。
さて,どちらのもの凄い精度でデータを取れそうなのはよいのだが,資料をセットする必要があるため,どうしても手軽とはいえないように思われる。たとえば,クラシックカーなどを完全再現したいとなったとしても,クルマを切り刻むわけにはいかないようなこともあるだろう。実は,この講演を聴くまで,このセッションではハンディタイプのOPTIS OMS2(公式サイト)が紹介されるのだろうと思い込んでいたのだがちょっと違った。これのファイルコンバータはないんだろうか。
テクスチャ関連ではデファクトスタンダードとなりつつあるSUBSTANCE Designerを使うことで,単に取り込んだだけのデータに対して,模様を付けたり,色を変えたりといったさまざまな加工が行えるのでさらに応用が広がるとのこと。SUBSTANCEで扱えるならむしろ歓迎する向きも多いだろう。
色などを変えた場合,ほかのパラメータとの整合性は保証されるんだろうかというのはちょっと気になるところではあるが。
講演では,実際に取り込んだ例や,取り込んだ素材使ってV-Rayをでレンダリングするまでの過程などが示された。具体的なやり方については,講演のムービーが公開されるはずなので,興味のある人はそちらを参照するといいだろう。