VAQSO,B2B向け「匂いVR制作(仮)」サービスを開始
これは,同社のデバイス発表以来,あちこちから使いたいといった協業の話があり,それに応えてB2B向けの展開を始めた形となる。B2C向けには秋にセミプロトタイプの先行販売が行われ,正式リリースは2018年2月が予定されている。
今回発表されたB2B向けのサービスは,VAQSOがVRコンテンツ制作を請け負う形のものから,APIを提供してゲームなどに組み込めるようにするものなど,多彩な状況に対応するものとなっている。すべてのコンテンツをVAQSOが制作する場合の価格は,基本パッケージで250万円からとなっている。コンテンツ制作に160万円,匂いの開発に90万円といった内訳だ。VRヘッドセットやVAQSO VRデバイスはレンタルとなる。コンテンツ部分は自前で開発する場合は,匂い開発と機材レンタルの部分だけにすることも可能だ。
想定されるコンテンツは,VRを使ったミニゲームや360度映像などがあるという。以前のデモで行われたような,飛んでくるモノを撃ち落すと匂いが漂ってくるといった感じのものを,食品などの製品で展開したり,映画の予告編などに匂いをつけたり,災害時のシミュレータで煙の匂いなどを加えることでリアリティを増すといった展開例が紹介された。
利用形態としては,数日から1週間程度のイベントでの使用を想定しているとのことだが,これはカートリッジの容量を考慮したものとのこと。本来,カートリッジは1か月程度もつとされているものだが,イベントでは使用頻度が高くなるため余裕を見たものだろう。
使用するデバイス自体は現在Ver.2になっており,匂い漏れなどが改善されているとのこと。カートリッジを交換しやすくするなどの改良を経て市販版に近づけていくことになるという。
ウエルインベストメントによると,今後,VRを補完する五感の再現に注目しており,触覚については,すでに多くの企業が参画しており,味覚はハードルが高い,嗅覚しかないと思っていたところに,VAQSOの発表会で同社がまさにその方向を目指していることを知り,すぐにコンタクトを取ったという。
AOI ProのWONDERFUL WORLDは以前紹介したこともあるが(関連記事),VRヘッドセットFOVE0を使った360度映像を主体としたコンテンツだ。すでに360度映像,立体音響,歩行の体感,手の触感など多くの要素を備えているのだが,さらに嗅覚を加えることでリアリティを向上させることを目的としている。
本来は筑波大学のトレッドミルを使った大掛かりなものなのだが,会場では簡易版のデモが公開された。試したところ,香りがイマイチ情景とマッチしていない感じではあった。人によって感じ方も違うので難しいところなのだろう。
今回はイリュージョンのVRカノジョのデモは行われなかったのだが,こちらはUniteのイベント会場で体験しているので概要を紹介しておこう。
目の前に出てくる女の子の胸のあたりで女の子の匂い,太腿のあたりで汗の匂いなどが漂ってくるという仕様だ。「女の子の匂い」といわれても想像がつかない人もいるかもしれないが,女子高生あたりが好む化粧水の香りなどをベースにしているとのことだった。割と爽やかな香りである。ちょっと期待外れだった人もいるかもしれない。太腿からはなんとなくしょっぱい感じの匂いが漂ってくる。塩に匂いはないのだが,なんとなく分かるのがすごい。
同社ではVR展開に匂いという要素を重要なものとして捉えており,今後も匂いVRを展開していくようだ。
海辺にいる大きなカタツムリをテーマに水彩画の世界をVR化したというデモなのだが,どんな感じのものなのかちょっと想像がつかない。
B2B向けサービスを開始により,今後はなにかのイベントで同社のデバイスを使ったプロモーションなども行われることがあるだろう。嗅覚の付いたVRがどんなものになるのか体験できる日も遠くないのかもしれない。