Xbox One X:アナリストは499ドルでは「タフな販売になる」で同意

「価格は最も明らかな弱点だ。ソニーにPS4 Proを350ドルに値下げして掛け金を上げさせる隙を与える」

 日曜日(北米時間)にMicrosoftはついにXbox One Xの最終デザインと発売日,価格のヴェールを上げた。11月7日に消費者はスーパーパワーのゲーム機を499ドルで購入できるようになる。しかし,ほとんどのアナリストは,ハードウェアに多くのお金をかけさせることは,消費者へのアピールを著しく制限することに同意している。

 「予想通り,新機種の価格は最も明らかな弱点になりました。ソニーにPlayStation 4 Proの価格を350ドルに下げて掛け金を上げさせる隙を作るかもしれません」とSuperDataのJoost van Dreunen氏は語る。

 Wedbush SecuritiesのMichael Pachter氏も同意する。「私も価格が高すぎると思います。ゲーム機は歴史的にこの値段では失敗しています。消費者は399ドル以上では受け入れようとしないでしょう。Xはさらなるトラブルを抱えるかもしれません。なぜなら,SとPS4は249ドルだからです。消費者はSとPS4の両方をXの値段で購入できるのです。ですので,これは価格を重視していたり予算に限りのある人にとっては選択を難しいものにさせるでしょう。この値段を高すぎるとは思わない少数の裕福な人には響く製品だと思いますよ」

 NewzooのPeter Warman氏も「消費者を納得させるのが難しくなるので,競合のPlayStation 4より著しく高価な価格」でいくのは間違いだと思っている。「これまでのインストールベースで負けている場合は」とくにそうだという。

 EEDARのSartotri Bernbeck氏はゲーム機に詰め込まれたテクノロジーを考慮すれば499ドルは「適正価格」だと認めている。しかし,それでもなお「Xbox Oneをまだ持っていない多くのゲーマーに売るのは難しい」と感じている。

 しかし,IHSMarkitのPiers Harding-Rolls氏は「Xbox信者は最新最高のゲーム機を手にするために大枚をはたくだろう」と反対意見を表明した。Harding-Rolls氏はかつてXbox One Xは今年の年末商戦で全世界50万台を売り上げると予測しており,第4四半期におけるXbox Oneハードウェア売り上げの10%を占めると信じている。

 IDC ResearchのディレクターLewis Ward氏はHarding-Rolls氏に同調する。さらに一歩踏み込んで「スペックを考えれば非常にお手ごろな価格」とまで言っている。

 氏は,「同等のPCをイチから組み立てれば簡単に700ドルを超えてしまいます。彼らは最初に示唆されていた価格を500ドルにまで下げてきたという事実からも,Microsoftがコンポーネント業者になどにねじを巻いてきたというのが分かります。今年,そしておそらく2018年もMicrosoftにはXbox One Xのハードウェアでの利幅はほとんどないと思います。私が見る限りこれはとてもアグレッシブな価格設定であり,ソニーにプレッシャーを与えるものです」

 ゲーム機のライフサイクルの観点から,Harding-Rolls氏は,Microsoftが現金化を基礎とした賢い動きをしていると考えている。「Xbox One Xは,高めの価格も合わせてMicrosoftにXboxユーザー中期的なマネタイズを提供します」と氏は語る。「もし価格に販売マージンが設定されているのであれば,これは収益性を向上させます。この戦略はソフトウェアではあまり効果がありませんが,One Xでサポートされるゲームのカタログセールスを進めるかもしれません」

 もちろん,プレスカンファレンスでのMicrosoftの大きな焦点だったのは,「True 4K」とHDRのビジュアルをお披露目することだった。しかし,そこにゲーマーにとって十分な多様性はあっただろうか? アナリストたちはラインナップに過度の信用は置いていないようだった。

 「AC: OriginsやMetro: Exodus,そしてBioWareの新作Anthemのようなファンにすごく気に入られるようなものを公開することは,Microsoftがそれ自体を,飽くことを知らないゲーマーのための頼りになるデバイスと位置づけていることを実によく納得させる。文明崩壊後の世界でのシューティングゲームを強調することには,もっと広い機会のあるコンテンツはなかったのだろうかと思ってしまいます」とSuperDataのvan Dreunen氏は語った。

 Pachter氏は加えて「カンファレンスでは大量のコンテンツがありました。しかし魅力的なエクスクルーシブタイトルはあまり多くありませんでした。ファーストパーティタイトルはだいたい「良い,最高ではなく」 といった感じです。Forzaが最もよいように見えました。私は Crackdownについて詳しくないのです(秀作なのかもしれませんが)。Sea of Thievesはまったく並といった感じでした。さらに多くの独立系タイトルがあり,2本の作品(Shadow of Warと Anthem)がベストに思えましたが,マルチプラットフォームになる可能性が高いでしょう。それらの中で大勝利しそうな唯一のゲームはPlayerunknown's Battlegroundsでしたが,おそらく期間限定のエクスクルーシブに留まるでしょう」

 EEDARのBernbeck氏も似た感想で,「ソニーが現世代のゲーム機で築き上げた勢いをMicrosoftが打倒するかどうかについて,直ちに明快な答えをくれるような発表はとくにありませんでした」とコメントしている。

 VR/ARの議論がなかったことも注意すべきだろう。とはいえ最悪というわけではない。van Dreunen氏によると「昨年,MinecraftのARデモを見て,昨日はなにも見ませんでした。これはMicrosoftがまず新テクノロジーを披露する前にユーザー層を倍増させる賭けに出ていることを示唆しています。兵器競争では,ときとしてじっくり着実なアプローチのほうが凝集性を高くでき,結果としてよりパワフルなものを提供できることもあるのです」

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