[BitSummit]スマイルブームに聞くSMILE GAME BUILDER & プチコン3号最新情報
GamesIndustry.bizでは,昨年の「デジゲー博」でSMILE GAME BUILDERのインタビュー(関連記事)を行ったが,本イベントでもその進化と新たな施策を探るため,SMILE GAME BUILDERプロダクトマネージャを務める杉内賢次氏にインタビューを行った。
プチコン3号から生まれた「ドウクツジマ」
GamesIndustry.biz:
杉内氏:
ドウクツジマは,2015年10月17日?2016年1月4日に開催した弊社主催のプログラミングコンテスト「第四回プチコン大喜利 」の自由部門で大賞を受賞した同名の作品をベースに,シークレットアイテムや隠し部屋,ゲームの攻略ヒントを加えてパワーアップさせた探査型2Dアクションゲームです。
プレイヤーは主人公のマサポンを操作して,洞窟内に待ち受けるさまざまな敵の攻撃やトラップをかいくぐり,秘宝“ダヒヤモンド”を手に入れるのが目的です。
GamesIndustry.biz:
今回の単独販売が決まった経緯を教えてください。
杉内氏:
この作品は,コンテストの審査段階で社内でも非常に評価の高い作品でした。私も高評価を付けさせてもらった一人です。
それで「この面白いゲームをプチコンプレイヤー以外の人たちにも楽しんでもらいたい!」という思いがフツフツと湧いてきまして,社長の小林(小林貴樹氏) に「プチコンのポテンシャルを多くの人に見せられるし,プチコンプレイヤーの作品がニンテンドーから販売されるなんて,みんなに夢を見せられますよね! これ商品化することを進めさせてください!」とお願いしました。小林から二つ返事でオーケーがもらえたので,作者の方にコンタクトをとり,商品化にあたっての懸念点や,アップデートのポイント,スケジュール感などの話し合いを進め,両者合意がとれたところで商品化に向けて舵を切りました。
GamesIndustry.biz:
杉内氏:
はい,もちろん。プチコンの作品だけでなく,SMILE GAME BUILDERの作品も単独で発売してみたいですね。愉快な作品ができましたら,ぜひご一報ください。
筆者補足:このインタビューのあと,「ドウクツジマ」はアワードにて「メディアハイライトアワード:ガジェット通信賞」を受賞した。
インディゲームクリエイターとのコラボレーション
GamesIndustry.biz:
御社のSMILE GAME BUILDERと,Pon Pon Gamesの「ヒーラーは二度死ぬ」によるコラボが発表されました。こちらの概要を教えてください。
杉内氏:
BitSummit 2015において「BITSUMMIT AWARD」を受賞した Pon Pon Games開発のストラテジーゲーム「ヒーラーは二度死ぬ」とのコラボDLCです。モンスターを中心とした3Dモデルリソースパックで,各モデルにはオリジナルのゲームと同様にユニークなアクションも設定されており,導入後すぐに自作ゲームで利用することができます。発売日と価格は未定ですが,近日中に発売をしたいと考えています。
GamesIndustry.biz:
今後もこうしたインディゲームとのコラボDLCは予定されていますでしょうか?
杉内氏:
インディゲームとのコラボはコープスパーティに続いて今回で2作品めとなりますが,今後もコラボDLCは定期的にリリースしていきたいと考えています。今後の展開についても,楽しみにしていただけると幸いです。また,インディゲームだけでなく,マンガ,アニメといったゲーム以外のジャンルとのコラボなんかも仕掛けていきたいですね。
SMILE GAME BUILDERの最新情報
GamesIndustry.biz:
杉内氏:
国内外含めて,一番利用されているのはG-styleさん制作の“G-Style Modern City Resource Pack Vol. 1”ですかね。名前のとおり,現代の街並みや屋内を再現できる3Dモデルリソースパックなのですが,建物よりも屋内の小物がよく使われている印象です。
GamesIndustry.biz:
今後はどのようなサウンドパック,3Dモデルリソースパックを展開していきたいですか? または,プレイヤーからどのような要望が来ていますか?
杉内氏:
GamesIndustry.biz:
デジゲー博以降に発表・追加されたSMILE GAME BUILDERの新機能追加がありましたら,教えてください。
杉内氏:
大きなアップデートは,
- 3Dバトルシステムが追加
- カメラの自由コントロールの追加
- 2Dキャラクターのグラフィックスにて,待機,走るなどのモーション(アニメーション)パターンの設定が可能になった。
- VRモードを試験的に追加
の四つです。これらを実装したことによって表現力が大幅に高まりました。ちょうど,もぐらゲームスさんでフリーゲーム作家による制作実演の連載をしているのですが,こちらで執筆を担当されている作家さんはこれらの機能を上手に利用して,イベントシーンを演出されていますね。
このほか,複雑なイベントを作成する場合,フローチャートだと全体を把握しにくいという要望に応えて,テキストモードとフローチャートモードを切り替えられるようにしたり,アイテムの3Dモデルを追加したりなど,地味なアップデートをしています。
GamesIndustry.biz:
杉内氏:
SMILE GAME BUILDERは,プレイヤーの方が自ら作品を販売されていますね。日本ではDLsite.com,海外ではSteamでいくつか作品を見たことがあります。
もちろん私たちに販売を任せてもらえるような優秀作品があれば,ぜひやらせていただきたいですね。ゲーム作品だけでなく,3Dモデルやサウンドといったリソースだけでの販売も大歓迎です。
GamesIndustry.biz:
今後の展開・展望について教えてください。
杉内氏:
よりプレイヤーの個性を作品に出せるような機能の追加をしたいと考えています。2Dと違って,3Dモデルを自作するのはやはり敷居が高いので,これをなんとかフォローする機能。例えば,デフォルトのデータを簡単操作でカスタマイズできるとか,そんなイメージです。
プレイヤーからは,アクションゲームが作りたいとか,命令のカスタマイズ機能,バトルの設定をもっと細かくできるように,など多くの要望がすでに寄せられているので,少しずつ実現させていきたいですね。モバイルプラットフォームへの出力なんていった機能も将来的にはやりたいことの一つなのですが,これはもう少し先の話になりそうです。
「ゲーム作りの喜び」をユニークなアプローチで提供するスマイルブーム
今回のインタビューで,「ドウクツジマ」のようなゲームの単独発売の可能性が,今後のプチコン3号作品にも広がっていることが分かった。ある意味ではインディゲームパブリッシャとしての動きともいえよう。
また,SMILE GAME BUILDERは,RPGの開発に適したツールだが,それ以外のジャンルでの活用事例も充実してきた。おそらくノベルゲームよりも凝ったものを作りたいが,本格的ゲームエンジンの利用まで手が届きにくいクリエイター層にフィットしていると考えられる。
3DSでどこでもゲームプログラミングができる「プチコン3号」,PCで3Dベースのゲームが簡単に作ることができる「SMILE GAME BUILDER」の両輪によって,新たなクリエイターの創出を支援するスマイルブーム。これからどんな作品が飛び出してくるか,非常に楽しみだ。