インディゲーム開発者がパブリッシャに会うときのアドバイス

EGX Rezzedへの道:Jon Torrens氏が将来の投資家に印象付ける最善の方法について語る。

本記事は,3月30日に開催されるEGX Rezzedに先立ってGames Industryをサポートする一連のシリーズ第1回である。とくに,期間中にパブリッシャや投資家がクリエイターと出会える場「Meet The Indies」に参加する読者の皆さんに向けられたものである。

 潜在的な投資家の信頼を得るためのポイントは強い印象を与えることだ。
 そのためにはこれらの重要な質問に答えられなければならない。


リサーチ:誰が,いつ,どこで?

 第一の目的は,誰に売り込むのかを知っておくということだ。相手がどれくらいの経験を持っているのか,あなたのゲームのジャンルやそもそもゲームに精通しているかどうかを知りたいだろう。LinkedInで検索し,相手がこれまで何をしてきて,どういうプロジェクトで働いてきたかを見てみよう。もしかするとあなたが楽しんだゲームタイトルを作った人かもしれない。
 もう一つすべきことは,彼らのソーシャルメディアをチェックして,彼らが興味を持っているもの,いや,もっと重要なのは彼らが何に興味を持っていないかを見ることだ。例えば,VRが大好きか?または,テクノロジー系にあまり興味がないか? などだ。

 ミーティングをセットしたら,時間をうまく構成して,物事をうまく進めよう。すでに手元にあるコードを持っていけばいいのか,または,新しい素材を作らなければならないのか決める必要がある。割当時間を確認し,見せたいものをすべて見せるだけの時間があるのかを確認しよう。
 続いて,場所の検討も必要だ。会場への最短アクセスだけでなく,使いたいものが使える環境にあるのか,電源ソケットがあるかどうかも確認しておくべきだ。


5秒で売り込んでみよう

 あなたのゲームを数秒でまとめてみよう。直感的でなく,馬鹿馬鹿しく思えるかもしれないが,出発点としては必要不可欠だ。例えば「RPG要素を備えたフルーツベースの一人称シューティングゲーム」だと不完全ではあるが,あなたが日常的に悩む枝葉末節なことにつまづくことなく,内容を伝えることができる。そのようなオープニング・ステイトメントにはたくさんの質問が寄せられるだろうが,それはいいことだ。パブリッシャや投資家と会話をしたほうがいい。

 Daniel Priestleyの著書「Key Person of Influence (影響力のあるキーパーソン)」によれば,5つのステップがある。まずはいい売り込みをすること(素晴らしいものを持っていても,誰も理解できなければ道は開けない)。

 このエクササイズは,潜在的なオーディエンスの観点から考えさせてくれるだろう。売り込みをするときに,ちょっとした共感というのは役に立つ。お金もうけだけか? そうかもしれない。


シンプルに

 5秒の売り込みはまた,あなたがやっていることについてスペシャリストでないかもしれない相手と対峙する際に,コンセプトを簡素化するのに役立つ。本質的なところまで煮詰めよう。レベルを下げるのではなく,コアが何かをはっきりさせるということだ。雄弁さで印象づけようとしてはいけない。自然で対話的なものにしておくと理解されやすい(そして覚えられやすい)はずだ。


ストーリーを伝える

 ミーティングではチームメンバーについて説明するのを忘れないように。キャラクター分けして考えてみよう。強みがあれば弱みもあるが,互いに完璧にフィットしてどんどん問題解決できる軍隊のようになる。

 ベストなストーリーには危険やリスクがつきものだ。だから,これまでの経緯と,その中で乗り越えなければならなかった障害についても話そう。

 人は世界で一番興味深いものだ。もしあまり面白いと感じなくても,投資家は,以下のように,何があなたを目立たせ,何をしているのか知りたいのだ。


共に楽しく働けるか?

 もしかするとあなたはIQ139の持ち主かもしれないが,面倒なタイプであれば,彼らは一緒にやりたいと思わないだろう。


モチベーションはどうか?

 手元のプロジェクトを心から好きか,物事がうまくいかないときに,あなたがどう対応するのかを知りたがっている。あなたと同様に,彼らもそういう事態を最小限に抑えたいと思っているのだ。

プランとプロセスを説明しよう

 あなたのチームは大規模なプランをどうやり遂げるのだろうか? どんな不測の事態に備えているだろうか? 投資家はプロジェクトを完遂させることについて現実的かどうか,予期せぬことにどう対処するのか見たいはずだ。なぜならどこにでも必ずそいういうことがあるからだ。*

 確定的な日付はいらないかもしれないがアルファ,ベーター版がいつできるか,テストプロセスが何であるかを示そう。もちろん,いつ完成すると考えるのかを示すことが大事だ。


熱意を見せよう

 プロジェクトやメディアへの愛情を見せなければ,彼らに投資対象として納得させるのは無理だろう。もし,人々の感情に訴えかけられれば,その「何か」と「どのように」をもっと簡単に売れるようになる。(Simon SinekのTED talk,「How great leaders inspire action (素晴らしいリーダーはどのように動機づけるか)」を見てみよう)

 また,全体像や,あなたにとってのモチベーションについて話そう。世界を変えたいのか,お金をたくさんもうけたいのか? 好きなのはプロセスか,成果か,両方か? もしあなたのゴールが投資家の心に響くのであれば,大きな成功を収めることができるかもしれない。


リハーサル

 わざわざリハーサルをする人はほとんどいないが,プロフェッショナルに見せ,神経を落ち着かせる手軽な方法だ。信頼できる知人に頼んで,投資家のふりをしてもらおう。実際のペースと分量で,間違えても止まらずに,一度全体を通してやって,コメントしてもらおう。残酷なまでに正直になってもらおう,投資家とはそういうものなのだから。


クモのように神経を張り巡らせる

 売り込みの間,全体がどのように進行しているかを意識してみよう。もし彼らが完全に満足しているように見えない場合は,ただちに「これでいいですか?」または「これに興味がありますか?」と聞くべきだ。彼らは特定の側面についてもっと聞きたいかもしれないが,中断したくないだけかもしれない。どんどん中断させよう,そのほうが売り込みは救われる。質問し,相手の発言をよく聞くことだ。


最後に,個人的に受け取ってはいけない

 彼らがもしあなたへの投資に熱心でなくても,ビジネスである以上,それは仕方がない。否定的なフィードバックにどのように反応するかは,予想外のことにどのように対処するかを示すことにもなり極めて重要だ。** 平静を保つことで,持っているアイデアやそれを実現する能力を,まずあなた自身が信じていると示すことになる。

* いつも通り
** 言った通り



 3月30日,GamesIndustry.bizは「Meet The Indies @ EGX Rezzed」と言うイベントを開催する。このイベントでは,有力なパブリッシャとインディペンデントのクリエイターのマッチアップが行われ,すでにRezzedに出展しているインディーズは無料で参加できる。詳細については,Charlotte Nangleにコンタクトされたい。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら