開発者はOculusよりもHTC Viveに関心を寄せている−VRDCの調査より

VR開発者のうち78%は排他的なプラットフォームに「NO」。

 今年11月2日〜3日にサンフランシスコのパーク・セントラル・ホテルで開催される「Virtual Reality Developers Conference(VRDC)」に先がけ,拡張現実(AR,Augmented Reality),仮想現実(VR)のゲームや体験の開発に関わる500人以上のプロの開発者に対し,急速に発展しているVR/ARにおけるより深い洞察を得るため,また,ゲームを作る人々が現在のマーケットをどう捉えているかを把握するための調査が行われた。
 面白いことに,(とくにFacebookによる20億ドルの買収で)VRにスポットライトが当たることに貢献したのがOculus VRのRiftである一方,より多くの開発者は今,RiftではなくHTCのViveに取り組んでいる。それはまた,彼らが次にどのプラットフォームを目指しているかということにもつながる。

 その調査によれば,RiftとViveは,現在開発中のゲームについては互角である。Rift用ゲームを作っているのが43.2%に対してViveでは48.6%の回答を集めた。
 だが,その次のタイトルに関しては,34.6%がVive,23.4%がRiftを選ぶとした。ただし,多くの回答者がこの質問に無回答であったことには注意が必要だ。選択肢に「その他」「該当なし」がなかったということを踏まえて,多くのVR/AR開発者は,次のプロジェクトはどのプラットフォームに向けて注力するのか,さらにいうなら,そもそもそれらでやるのかということについて確信を持っていないことを示唆すると報告している。

 Googleもまた,「Cardboard」のような低コストのオプションがあるため支持率が上がっているようである。開発者のうち「Gear VR」を支持したのはわずか10.3%であるのに対し,14%が次のタイトルはCardboardに乗せるとした。また,現在の開発でイニシアチブをとるものとして,29.16%が現在Cardboardのために何かしらを開発しており,14.58%がGoogleのモバイル上で動くVRプラットフォーム「Daydream」のために開発していると回答した。

 ちなみに,ソニーの「PlayStation VR」(以下,PSVR)はどのあたりに位置付けられるかというと,現在,開発者のうちのたった12.9%がこのプラットフォームに取り組んでいるにすぎない。これはおそらくリリース前だからであろう。さらに少数の3.7%のみが次のタイトルはPSVRのために開発すると回答した。
 とはいえ,回答したうち78.1%の開発者が次のVRタイトルはいずれのプラットフォームにも独占的なものではないとしたことに留意すべきだろう。Oculusのコンテンツ・ヘッドを務めるジェイソン・ルービン氏がE3で我々に説明したように,Oculusの排他的な取引は,資金援助なしでは作られなかったであろうVRのタイトルを実現させた。
 だがしかし,インストール・ベースの観点からすれば,可能であるなら開発者は,より多くのプラットフォームをターゲットにするほうがいいのは明白だ。

 実際,VRゲームのためのほとんどの資金は開発者自身が拠出しているとVRDC報告は指摘している。49.7%は個人資金を使い,33.4%は既存の会社の資金,その他,クライアント(16.7%),エンジェル投資家(13.3%),ベンチャーキャピタル(10.6%)または外部のパブリッシャ(4.7%)と続き,これらは資金調達としてあまり一般的な方法ではない。

 設問は,市場の成長を阻害する要因にも及び,開発者からは一般価格とVR酔いの指摘があった。「価格。もし4人家族が一緒に一つのゲームをするために4000ドルを出さなければならないとしたら,広く受け入れられることはない」「コスト。より多くの人々が良質なHMDを買えるように大幅に価格を下げるのは,ハードルとしては高い」「PSVRのような製品がリリースされるのは正しい方向性だ」と回答者達は記載している。

 「没入感の高い移動はまだ完全には実現していないうえ,魅力あるキラーアプリがまだ存在しないという事実もまた問題かもしれない」と開発者たちは述べた。それでも彼らは既出の初期コンテンツに勇気づけられてもいる。NEAT Corporationのステルスのアクションゲーム「Budget Cuts」はGoogleの「Tilt Brush」と同様に言及されていたし,Microsoftが手がける「HoloLens」がもたらすであろう可能性に興奮しているようだ。

 「ARそのものからはあまり多くは見えてこない。しかし,「HoloLens」で開発されているものを見るとかなりクレイジーだ」と,ある回答者は書いていた。「空間デザインから不動産を購入する,車を見るなどのバーチャルウォークスルーまで,すべてのものが素晴らしいことになるだろう。例えばよりよい学習経験を学生や医療専門職に提供するために,ARを使って人体をのぞけるようになることも想像している」

 「私がこれまで見た中で最も革新的なAR技術は「HoloLens」だ」とまた別の回答があった。「それはマーカーなしのトラッキングや,現実世界に仮想要素が合成されているのだから,素晴らしい進歩だ」

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