「愛を持つAI」とは? 実用レベルのAIやVRが勢揃いした「コンテンツ東京」レポート
●人工意識
最初はAI・人工知能ワールドからだ。
今年始まったばかりということもあって,出展企業数も少なかったのだが,ディープラーニングが実用的なレベルで活用できるようになってきていることから,今後はさまざまな分野で応用製品が展開されることが期待される。
会場で注目を集めていたのは「人工知能に心を持たせる技術」を展示していたモノゴコロのブースだ。ベースとなっている技術は自然言語会話で,音声認識で得たデータをもとに音声合成で応答するというものだ。会場ではLive2Dっぽいキャラクター表示なども行われていたが,2D・3Dのキャラクターとの相互理解を可能にするとされている。
掲げられていたのは「人工意識」という言葉だ。その根底的な技術となるのは会話の「意味理解」だという。単語の意味を理解するとはどういうことか,その認識アルゴリズムを確立したのだとのこと。
とりあえず,「BEATLESS」のレイシアさんのキャラを使ったデモの様子をご覧いただきたい。
話しかけられた音声に対して初音ミク的な音声で受け答えする様子が確認できるだろう。短文の会話なのでどの程度意味解析されているのかは分かりにくいが,文法などは適当なやり取りでもそれらしい会話が成り立っている。
CGキャラクター以外に,ロボットなどへ組み込み,育児や介護などの主にメンタルケアを行う用途やカーナビ,おもちゃや文具など幅広い応用が期待されている。
処理自体はかなり軽いとのことだったが,基本的にクラウドサーバーを利用したものとなるようだ。端末で音声認識をしてサーバーに送り,返答を音声合成するような感じになるのだろう。
実際にどの程度「意識」を感じさせるものなのか興味深いところだが,今年中にこの技術を利用したスマホアプリやVRコンテンツがリリースされる予定だとのことなので,そちらに期待しよう。
モノゴコロ公式サイト
●SIMVR
先端コンテンツ技術展の展示から,WazapplyのVRデモ用のムービングシート「SIMVR」はライド系VRアプリ全般に対応するデバイスだ。椅子の下には太いシャフトが見えており,椅子全体を動かす仕組みになっている。X/Y/Z軸回りの回転でそれぞれ10度程度の可動域を持つ。ちょっと可動域が小さいように思う人もいるかもしれないが,かなりダイナミックに動き回る。VRでは体感が増幅されるので,安全性も考慮すれば妥当なところなのだろう。
89万円という値段や設置面積からして家庭用ではないが,業務用だと思えばかなり低価格な部類かもしれない。100V電源で動作するので,扱いも簡単だ。写真では左右の手を置く部分は持ち手になっているが,操縦桿とラダーなどにカスタマイズも可能である。
SIMVR製品情報ページ
●FUN'IKI
基本的にスマートフォンと連動して使われるものであり,メールの着信でフレームを光らせて通知するなど,主に通知系の用途が想定されている。加速度センサーを内蔵しているので,身体の動きを追ったトレーニング系のアプリにも利用できる。そのほかの入出力では,スピーカーと照度センサーが搭載されているほか,レンズフレームの右上端に電源ボタンを汎用のボタン入力として使うこともできる(長押しで電源ON/OFF)。
SDKが公開されているので,アイデア次第ではいろいろな応用ができそうだ。すでに心電計と連動させて,緊張するとフレームが光るようなアプリを作っている人もいるそうだ。
なお,フレームが光っても,かけている人の視界にはほとんど影響はない。通知があれば確実に分かるが,視界に色が着くようなことはない。レンズのリムがその色で光るので,オシャレ目的で使うのもアリかもしれない。
見た目にも普通のメガネと大差なく,現状で実用的に使えるスマートグラスはこんなモノなのかなと思わせる製品だった。
FUN'IKI公式サイト
●フォトリアルVRデモ
スペースラボによる,ビジュアライゼーションでは多用されているV-Rayを使用したフォトリアルVRのデモ。室内のインテリアデザインなどをリアルに体感できる。
スペースラボ公式サイト
●きぐるみライブアニメーターKiLA
「きぐるみライブアニメーターKiLA」は,低価格なモーションキャプチャデバイスとして知られるPerception Neuronを使用し,アクターの動きに合わせてリアルタイムに3Dキャラクターを動かすシステムだ。声優さんに使ってもらえば,キャラクターのまま生配信ができるというソリューションでもある。同種のシステムに比べて低価格なのが特徴だ。
Neuronは指の動きを取ることもできるシステムなので,一般的なキャラクターモーションは過不足なく再現できる。実況配信関係では一時話題になったようなフェイシャルキャプチャでのアニメーションには対応できないものの,音声に対する自動リップシンクや,表情についてもゲームコントローラで変更するといったことは可能である。なお,本システムを提供しているlivecartoon.jpでは,キャラクターの3Dモデルデータ作成なども請け負っているとのこと。