EA,我々は多くのプレイヤーに自己実現の場を提供している
自分の潜在能力を引き出すために,「NFL Madden」をプレイしたり,「Star Wars: Battlefront」で対戦したりしてみただろうか? Electronic Artsが投資家に向けに先ごろ開催した株主総会で,同社のCEOであるAndrew Wilson氏は株主に向けて,心理学者マズローの理論について言及しながら,同社のフランチャイズは自己実現の一つの道であることを解説した。
「人間は,空気,食料,水,そして寝床を確保できたなら,社会的なつながり,つまり自分がどこかに所属しているのだという感覚を求めるようになるのです」と語るWilson氏は,「自尊心,挑戦に打ち勝っていくこと,そして自分の価値を高めていくことを欲求し,さらには自分が生きている世界に創造を加える自己実現を行うのです。これらすべては,エンターテイメントによって表現することができます」と続ける。
「しかし,我々Electronic Artsは,こうした人間の欲求を実現させることが可能なエンターテイメントの中でも,ゲームに最も価値があると信じています。我々のゲームが,多くのゲーマーにとっての主要な社会的なつながりの場を提供しているというのは以前からお話ししているとおりです。我々は,自分たちの作るゲームでプレイヤーの皆様にチャレンジを提供し,プレイヤーはその中で成長できるのです。デジタルコンテンツや,ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツの世界においては,我々は多くのプレイヤーに自己実現の場を提供しているのです」
株主総会でのプレゼンテーションは,もちろんこうした荘厳な口調だけで進められたわけではなかった。2015年度は驚異的な会計年度(英語記事)であったのは事実だが,Wilson氏は企業としての目標や顧客との持続的な創造,異なるゲームデバイスへの参加,そしてさらに市場の牽引を加速させていくデジタルコンテンツへの業界のシフトなどについて,多くの時間を割いて説明した。
Wilson氏は,「こうしたことは,すべて連動して進行中なのです」と語り,「音楽であれ,テレビコンテンツであれ,書籍であれ,世界中のほぼすべてのメディアやエンターテイメントビジネスにおいて統合が進んでいます。ゲームも同じ状況にあり,ゲーム市場の大半をトップの数タイトルが動かしているという意味で,ゲーム業界にも統合が図られつつあります。こうしたトップタイトルを生み出せるのは,一握りのパブリッシャや開発会社であり,我々Electronic Artsの未来を考えると,我々のプロダクトを通したネットワークの有効需要が増加していく乗数効果の機会があると考えられます」と続けた。
過去,この業界では新しいハードウェアが6年に一度リリースされてきました。それが現在のリフレッシュレートは6か月になっており,必ずしも自分のゲーム仲間の買い替えと同期にはならないのです
Wilson氏はまた,自身のプレゼンテーションを,数年後のゲーム業界がどのような姿になるのかを予言して締めくくっている。「さらに多くの人がゲームをプレイしているであろう将来のことを考えたとき,私の考えるいくつかのことは現実になると思います。一つめは,ゲーマーである私個人としても,複数のデバイスで自分の好きなゲームをプレイしているだろうということです。実際,私はそれぞれのデバイスで,それぞれにお気に入りのゲームをプレイしていることでしょう。こうしたハードウェアは,今よりも速い速度で進化し,それに合わせて買い替えていくことになるかもしれません。過去,この業界では新しいハードウェアが6年に一度リリースされてきました。それが現在のリフレッシュレートは6か月になっており,必ずしも自分のゲーム仲間の買い替えと同期にはならないのです。スマートフォンやテレビをみんな同時に買い替えないのと同じことです」
Wilson氏は,こうしたハードウェアの進化が頻繁になるにつれ,プラットフォームを超えてゲーム仲間やゲームそのものをつなぎ合わせるインフラストラクチャーがさらに大きなビジネスチャンスになるとも語っている。彼は,Electronic Artsはそのネットワークを生み出せる良いポジションにあると話していた。
「Electronic Artsは,ゲーム業界でも最高の人材を抱えていると思いますし,現在あるソフトウェアフランチャイズ,そして現在開発中のフランチャイズを合わせたIPのポートフォリオも非常に厚い。我々はこれまで,その中核となるデジタルプラットフォームやゲームエンジンといったテクノロジーに大きな投資を続けてきました。また,ゲームをどれだけ販売したかではなく,どれだけの時間をプレイヤーに遊んでもらっているかを重視するようになっています」
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)