「Atlas Reactor」〜 フリーミアムからプレミアムの移行について
ここ最近,より多くのプレイヤーに注目してもらったり,セールスを向上させようとかゲームの寿命をさらに伸ばす目的で,月払いやプレミアムサービスから,Free-to-Play型へと移行することは珍しくなくなった。その逆のパターンは多くはないが,「Atlas Reactor」を運営するTrion Worldは,Free-to-Playから一括払いのビジネスモデルに転身させている。
「我々はいつも,ゲーマーの皆さんが遊んで本当に楽しいと思っていただけるようなゲームを作ろうと心掛けています。それを妙なビジネスモデルで遮らせたくはないですね」と語るのは,Trion WorldのCEO,Scott Hartsman氏だ。
「こうした変更は,もちろんファンの意思を考慮せずにいたしたりはしません」
「我々は,αテストやβテストの時点からデータを見てきましたが,そこから得られたテスターたちのフィードバックの多くは,「すべてのオプションが当初からアンロックされているゲームを一括で購入してプレイする」という意見が多く,Atlas Reactorのすべてのキャラクター,すべてのフリーランサーを最初から利用できるようにしてほしいということでした。ゲームデザインの観点から考えた場合も,より多くの人がより多くのアクセスができるということが,より良いゲーム体験を作り対戦マッチをできるわけで,どちら側に立ってもウィン/ウィンであることに気付いたわけです」とHartsman氏は続けて説明する。Atlas Reactorは現在セールス中で19.99ドルで販売されているが,近いうちに通常価格であるる29.99ドルになる予定だ。Free-to-Playとしてサービスが行われていた頃からのプレイヤーは,10ドル以上のインゲームアイテムやファウンダーズパックなどで課金を行っていた人であれば無料でゲームを譲渡されるとのことだ。
「こうした変更は,もちろんファンの意思を考慮せずに行われたりはしません。どんなに小さなことであっても,我々のゲームサービスをサポートしてくれる人がどう感じているのかを考える必要があるのです」というHartsman氏にとっては,ビジネスモデルの嗜好が変化していくというのは別に新しい概念でもないだろう。彼自身,Free-to-Play型のビジネスモデルが一般的だったe-Sports市場でも,プレイヤーの嗜好は変わってきていると感じているようだ。
「もうオンラインゲームを作り続けて25年になり,もう何世代にもわたって中心的なビジネスモデルが変わっていく様子を目の当たりにしてきました。もし,何も変わっていないことがあるとすれば,中心的なビジネスモデルは4〜5年に一度は変化していくということくらいかもしれません。今は,そういう時代の移り変わりにあるようです」とHartsman氏は語る。
「今,我々が目撃しているのは,一括払いによるBuy-to-Playともいえるビジネスモデルの復活です。e-Sportsの分野ではとくに,Free-to-Play型のゲームへの疲労感が出ているように思います。内製のプラットフォームを運営している我々にとっては,ビジネスモデルを必要に応じてカスタマイズしていくのは難しくないですので,βテストのデータからの情報を考慮した結果,プレイヤーの皆さんから支払いいただくのに最適な価格を選ぶこともできました」
「今,我々が目撃しているのは,一括払いによるBuy-to-Playとも言えるビジネスモデルの復活です」
Hartsman氏は,Trion Worldは人間関係に上下がなく,どのプロジェクトに対しても自由にフィードバックできるというシステムになっていると語る。開発の早いうちからビジネスモデルの変更に兆しについては認識していたらしく,「社内の会議で,雇用者たちがFree-to-Playが正しいビジネスモデルなのかどうかを語りあっていたことが,やがて変更の決定につながったのです」と話し,最後にこう付け加えた。「我々はビジネスモデルのことを信仰の対象として考えたりはしません。我々にとって,顧客が何を求めているのか,そのゲームに何がフィットするのか,ゲーム開発者の強みをどう引き出していけるのか,というものを論理的にゲームサービスに当てはめていっているにすぎません。我々がここ数年にわたって利用していたFree-to-Playというビジネスモデルが意味を持たなくなり,それを変更する決定を行ったのは,このAtlas Reactorが初めてとなります。それは,我々が続けてきたテスティングによって導き出された最良の答えであるのです」
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)