World of Warcraftはどうやってプレイヤーを継続的に満足させるのか

BlizzardのデザイナーIon Hazzikostas氏が考える数百万人規模のオーディエンス管理のベストプラクティスとは。

 今でも「World of Warcraft」の有料会員数は500万人を超えているが,Blizzardはそのコミュニティが互いに異なる小さなグループの集まりであることを理解し,そのように対処している。

 WoWフォーラムの投稿で,デザイナーのIon Hazzikostas氏は,あるゲーム内アイテムの価値についてのコミュニティ内の意見の相違について,Blizzardはこの問題を解決することに興味がないと回答した。Hazzikostas氏の回答は,開発者によるオーディエンスの理解と,オーディエンス自身の理解との間にある緊張を強調するものだった。

 Hazzikostas氏の投稿は,明白でありながら間違いなく正しい「誰もが同じものを望むというのは非常にまれな出来事です」という一文から始まる。この基本的な真実は,多数のプレイヤーを抱えたゲームにおいては見失われがちである。プレイヤーの大半は,自分の体験や好みが誰にとっても等しいゲームの客観的な価値であると考えている。

「WoWのあらゆる側面のほぼすべてが,一部のプレイヤーのためのアクティビティです」とHazzikostas氏は言う。「WoWは自由度の低いゲームではありません。むしろ,非常に多岐にわたるプレイスタイルを持つ人々が,無数の楽しみ方をできるゲームです」

 「レイドに参加するのは一部のプレイヤーだけです。PvPに参加するのも一部のプレイヤーです。Mythicレイドに挑戦するのはごく一握りですし,レートありのPvPを行うプレイヤーもわずかです。複数のキャラクターをカンストさせているプレイヤーは少数ですし,ペットバトル,ロールプレイ,オークションハウスへのアイテムの出品,チャレンジモードのダンジョン,などを楽しむプレイヤーもまた限られています。実際のところ,明らかに大半のプレイヤーが参加しているアクティビティは,クエストとレベルアップダンジョンだけですが,それですらかなりの数のプレイヤーにとっては,目的とする遊び方のためにやらざるを得ない面倒な作業となっています」

 「World of Warcraft」は,このような主観的な体験すべての集合体だが,プレイヤーは,自分の体験が最も普遍的なものだと考えがちだ。この傾向は,ゲームのソーシャルで協力的な側面により一層強まる。つまり同氏によれば「プレイヤーは似たプレイスタイルを好むほかのプレイヤーとつながる傾向にあります(中略)ですから,変更や機能の追加があったときに,自分のプレイスタイルと関係のない部分を狙いとしたものであれば,誰もがその機能を望んでいない,と感じるのはよくあることですし,実際のところ自然なことです」

 「最後に,皆さんが往々にしてBlizzardはプレイヤーの声に耳を傾けてくれない,と感じていることを知っていますが,私たちは皆さんの意見を聞いています。ただ,意見というものは非常に多く,内容も異なるのです」

 投稿の全文(英語)は,「World of Warcraft」のフォーラムで読むことができます。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら