子供の安全と楽しさを両立する「k-ID」とは。CEOにその概要を聞く
スマートフォンの普及にともない,オンラインゲーム/ソーシャルゲームをプレイする年齢層も幅広くなってきた。スマホを持つティーンエイジャーも増えてきたなか,子供達をいかに守るかも重要になってきているだろう。
ゲームをプレイする消費者側の意識も高まってきてはいるが,開発社側も子供達に安全な環境を提供するため,さまざまな施策を実施している。だが,小さなデベロッパでも世界展開しやすくなってきた昨今,各国の法規制に合わせて対応していくとなると,コスト的に厳しくなる会社もあるだろう。
そんななか,「k-ID」というサービスに注目が集まっている。これは,ゲームの楽しむ体験はそのままに,子供達のプライバシーや安全性を確保するという複合サービスだ。今回はそのサービス内容をより詳しく理解するため,GamesIndustry.biz Japan Edtionではk-IDでCEOを務めるKieran Donovan氏にインタビューを行い,その理念やサービス内容を聞いた。
GamesIndustry.biz:
よろしくお願いします。はじめに,k-IDの説明をお願いします。
Kieran Donovan氏(以下,Donovan氏):
はい。k-IDは子供たちがゲームを安全に楽しむため,親が迅速かつ透明性をもって承認できるようにしたシステムです。ゲーム開発者は,プライバシーと安全性に関する規制すべてに1つのSDKで対応できます。
GamesIndustry.biz:
コンテンツが適切な年齢層向けであるかを判定するプロセスについて教えてください。
Donovan氏:
ユーザーが登録する国や地域によって,子供の定義が異なります。アメリカでは13歳未満が子供,オーストラリアでは15歳未満と定義されています。SDKはその国の法律に合わせて,子供達の体験を調整できるようになっています。
規制対応は大変な課題ですが,k-IDはその複雑さを1つのSDKで解決します。子供向けに必須の機能をゲームに適切に組み込むことで,リスクを心配せずに若年層をターゲットにできるのです。SDKが子供に合わせて機能を調整するため,安全で楽しい体験を手軽に提供できるというわけです。
GamesIndustry.biz:
k-IDが取り組む最大の課題とは具体的に何でしょうか。
Donovan氏:
子供と親が簡単かつ安全にゲームにアクセスできる選択肢がなかったことが最大の課題です。現状では子供がゲームに登録するプロセスが複雑で,体験も制限されがちです。ですがk-IDはその問題を解決し,子供はすぐゲームを始められ,親も関与できるようになります。
GamesIndustry.biz:
では,どのようにk-IDの技術が業界の標準を形作っていくと考えますか。
Donovan氏:
これまで業界全体で子供/ティーンエージャー対応を標準化する試みはなく,各社が個別に対応しています。k-IDは業界横断的なフレームワークを初めて実現し,親と子供の体験を大幅に改善する機会を作り出しています。
GamesIndustry.biz:
k-IDが特に効果的だと思う地域はありますか。
Donovan氏:
日本,韓国,アメリカ,欧州,オーストラリアなど,ゲーム規制が厳しい国で需要がありますが,k-IDはグローバルで展開できるように設計しています。
GamesIndustry.biz:
k-IDのプライバシーとセキュリティ面での強みは何でしょうか。
Donovan氏:
子供のデータを一切処理せず,親とはメールでのみ対応するプライバシー保護設計が強みです。この方法により子供のプライバシーを完全に保護できます。
GamesIndustry.biz:
開発者と親にとってのデータ保護の課題は何でしょうか。
Donovan氏:
各国で規制が異なり,ユーザーエクスペリエンスを統一するのが大きな課題です。同意の取り方,データ転送ルール,承認プロセスなどさまざまです。ですがk-IDはその複雑さを1つのSDKで解決できるわけです。
GamesIndustry.biz:
新しい規制への対応はどのようにしていますか。
Donovan氏:
私達は規制に精通した専門家チームとアドバイザーネットワークを持ち,データベースで最新の規制を常にトラッキングしています。その中には規制策定に関わった人もいます。
GamesIndustry.biz:
コンプライアンスデータベースの具体的な機能を教えてください。
Donovan氏:
ゲーム開発者向けのワンストップ参照ポータルとして設計しています。また,規制データだけでなく,市場実態のデータも統合しています。さらに,ベンチマークツールなども提供し,規制と市場動向の両面で自社ゲームを評価できる仕組みですね。
GamesIndustry.biz:
ゲーム業界におけるデータ保護の将来をどう見ますか。
Donovan氏:
プライバシーと安全性の2つの規制に対応する必要があり,その交差点が今後の課題と言えるでしょう。単にデータ保護だけでなく,チャット,広告,コミュニティ機能など安全面の規制も重要になってきます。複数の規制に世界中で対応するのは困難ですので,より良くなる方法を考える必要があります。
GamesIndustry.biz:
子供のオンライン生活を今よりも保護するために,次は何が必要だと考えていますか。
Donovan氏:
今は業界全体で子供/ティーンエージャー向けの標準的なフレームワークを構築する好機だと考えています。現在の規制を受けてそうしたフレームワークを作ることで,子供とゲームをより良い形で結びつけられるでしょう。親と子供,開発者の双方から期待されている課題解決につながります。
GamesIndustry.biz:
k-IDが特に誇れるコンプライアンスソリューションはありますか。
Donovan:
ESRBプライバシー認証,KidSeal,そして世界で初めてGDPRの年齢に適したデザイン認証を取得したことが誇りです。アメリカとEUの双方で,前例のない認証を得られたことは大きな自信になっています。
GamesIndustry.biz:
では,最後に読者へのメッセージをお願いします。
Donovan氏:
k-IDのようなシステムを通じて,より楽しく安全なゲーム体験が提供されることを期待しています。私たちはこの分野での先駆者として,業界全体でこうした取り組みが広がっていくことを願っています。
GamesIndustry.biz:
ありがとうございました。
k-IDは,オンラインゲームにおける子供のプライバシーと安全性を確保しながら,楽しいゲーム体験を提供することを目指すサービスだ。Donovan氏は,同社の技術がゲーム業界全体の標準になる可能性を示唆していた。また,k-IDにはコンプライアンスデータベースやプライバシー認証取得などの強みもあり,今後も新たな規制への対応を続けながら,子供とゲームをより良い形で結びつけていく考えだという。
ゲーム業界が直面する子供向けコンテンツの課題に対し,k-IDは画期的なソリューションを提案している。Donovan氏の言葉からは,この領域でさらなるイノベーションが期待できそうだった。子供と親,開発者すべての立場を考慮したうえで,安全性とエンターテイメントを両立させる挑戦が続いていくだろう。
ゲームをプレイする消費者側の意識も高まってきてはいるが,開発社側も子供達に安全な環境を提供するため,さまざまな施策を実施している。だが,小さなデベロッパでも世界展開しやすくなってきた昨今,各国の法規制に合わせて対応していくとなると,コスト的に厳しくなる会社もあるだろう。
そんななか,「k-ID」というサービスに注目が集まっている。これは,ゲームの楽しむ体験はそのままに,子供達のプライバシーや安全性を確保するという複合サービスだ。今回はそのサービス内容をより詳しく理解するため,GamesIndustry.biz Japan Edtionではk-IDでCEOを務めるKieran Donovan氏にインタビューを行い,その理念やサービス内容を聞いた。
「k-ID」公式サイト
GamesIndustry.biz:
よろしくお願いします。はじめに,k-IDの説明をお願いします。
Kieran Donovan氏(以下,Donovan氏):
はい。k-IDは子供たちがゲームを安全に楽しむため,親が迅速かつ透明性をもって承認できるようにしたシステムです。ゲーム開発者は,プライバシーと安全性に関する規制すべてに1つのSDKで対応できます。
GamesIndustry.biz:
コンテンツが適切な年齢層向けであるかを判定するプロセスについて教えてください。
Donovan氏:
ユーザーが登録する国や地域によって,子供の定義が異なります。アメリカでは13歳未満が子供,オーストラリアでは15歳未満と定義されています。SDKはその国の法律に合わせて,子供達の体験を調整できるようになっています。
規制対応は大変な課題ですが,k-IDはその複雑さを1つのSDKで解決します。子供向けに必須の機能をゲームに適切に組み込むことで,リスクを心配せずに若年層をターゲットにできるのです。SDKが子供に合わせて機能を調整するため,安全で楽しい体験を手軽に提供できるというわけです。
GamesIndustry.biz:
k-IDが取り組む最大の課題とは具体的に何でしょうか。
Donovan氏:
子供と親が簡単かつ安全にゲームにアクセスできる選択肢がなかったことが最大の課題です。現状では子供がゲームに登録するプロセスが複雑で,体験も制限されがちです。ですがk-IDはその問題を解決し,子供はすぐゲームを始められ,親も関与できるようになります。
GamesIndustry.biz:
では,どのようにk-IDの技術が業界の標準を形作っていくと考えますか。
これまで業界全体で子供/ティーンエージャー対応を標準化する試みはなく,各社が個別に対応しています。k-IDは業界横断的なフレームワークを初めて実現し,親と子供の体験を大幅に改善する機会を作り出しています。
GamesIndustry.biz:
k-IDが特に効果的だと思う地域はありますか。
Donovan氏:
日本,韓国,アメリカ,欧州,オーストラリアなど,ゲーム規制が厳しい国で需要がありますが,k-IDはグローバルで展開できるように設計しています。
GamesIndustry.biz:
k-IDのプライバシーとセキュリティ面での強みは何でしょうか。
Donovan氏:
子供のデータを一切処理せず,親とはメールでのみ対応するプライバシー保護設計が強みです。この方法により子供のプライバシーを完全に保護できます。
GamesIndustry.biz:
開発者と親にとってのデータ保護の課題は何でしょうか。
Donovan氏:
各国で規制が異なり,ユーザーエクスペリエンスを統一するのが大きな課題です。同意の取り方,データ転送ルール,承認プロセスなどさまざまです。ですがk-IDはその複雑さを1つのSDKで解決できるわけです。
GamesIndustry.biz:
新しい規制への対応はどのようにしていますか。
Donovan氏:
私達は規制に精通した専門家チームとアドバイザーネットワークを持ち,データベースで最新の規制を常にトラッキングしています。その中には規制策定に関わった人もいます。
GamesIndustry.biz:
コンプライアンスデータベースの具体的な機能を教えてください。
Donovan氏:
ゲーム開発者向けのワンストップ参照ポータルとして設計しています。また,規制データだけでなく,市場実態のデータも統合しています。さらに,ベンチマークツールなども提供し,規制と市場動向の両面で自社ゲームを評価できる仕組みですね。
GamesIndustry.biz:
ゲーム業界におけるデータ保護の将来をどう見ますか。
プライバシーと安全性の2つの規制に対応する必要があり,その交差点が今後の課題と言えるでしょう。単にデータ保護だけでなく,チャット,広告,コミュニティ機能など安全面の規制も重要になってきます。複数の規制に世界中で対応するのは困難ですので,より良くなる方法を考える必要があります。
GamesIndustry.biz:
子供のオンライン生活を今よりも保護するために,次は何が必要だと考えていますか。
Donovan氏:
今は業界全体で子供/ティーンエージャー向けの標準的なフレームワークを構築する好機だと考えています。現在の規制を受けてそうしたフレームワークを作ることで,子供とゲームをより良い形で結びつけられるでしょう。親と子供,開発者の双方から期待されている課題解決につながります。
GamesIndustry.biz:
k-IDが特に誇れるコンプライアンスソリューションはありますか。
Donovan:
ESRBプライバシー認証,KidSeal,そして世界で初めてGDPRの年齢に適したデザイン認証を取得したことが誇りです。アメリカとEUの双方で,前例のない認証を得られたことは大きな自信になっています。
GamesIndustry.biz:
では,最後に読者へのメッセージをお願いします。
Donovan氏:
k-IDのようなシステムを通じて,より楽しく安全なゲーム体験が提供されることを期待しています。私たちはこの分野での先駆者として,業界全体でこうした取り組みが広がっていくことを願っています。
GamesIndustry.biz:
ありがとうございました。
k-IDは,オンラインゲームにおける子供のプライバシーと安全性を確保しながら,楽しいゲーム体験を提供することを目指すサービスだ。Donovan氏は,同社の技術がゲーム業界全体の標準になる可能性を示唆していた。また,k-IDにはコンプライアンスデータベースやプライバシー認証取得などの強みもあり,今後も新たな規制への対応を続けながら,子供とゲームをより良い形で結びつけていく考えだという。
ゲーム業界が直面する子供向けコンテンツの課題に対し,k-IDは画期的なソリューションを提案している。Donovan氏の言葉からは,この領域でさらなるイノベーションが期待できそうだった。子供と親,開発者すべての立場を考慮したうえで,安全性とエンターテイメントを両立させる挑戦が続いていくだろう。