「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第22回:時には愚にもつかない昔の話を 4


 随分と間が空きましたが,久しぶりに過去の振り返りのお話しをしてまいります。
 ここまでの経緯としましては,(1)〜(3)に当たります下記をご参照ください。

「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第14回:24Frameの1年目
「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第15回:プレゼンへの道
「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第16回:レッド・デッド・プレゼンテーション

 今回,連載にあたっての当面のネタが尽きたのか,ネタはあれど言える話題がなくなったのかは想像にお任せするとして話は唐突に,2009年に戻ります。

 さて,会社を辞めて第三惑星彷徨後,最初のプレゼンに大失敗した若造,友野祐介に明日はあるのでしょうか?
 観念的な未来としての明日はともかく,物理的な明日は割とすぐ来ます。そして明日もまた別の会社様訪問は続く。

持たざるものにもアクションしてくれる,キャトルコールの威容を見よ!
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 僕の奇特な企画書に反応してくれた稀有な会社様第2弾は,株式会社キャトルコールさん。後に一緒にメタルマックスシリーズを作っていくことになる,非常に弊社と縁の深い会社さんなのですが,今回の話はメタルマックスとはまったく関係ありません。

 むしろそれの関係でなく,こんなに初めの頃から縁があったんだな,ということに我ながら改めて驚きです。
 思えばその後の仕事のつながりって半分くらいはこの辺りで何らかの形で出会っていた人なんですよね。自分が持たざる者であるときの関係というのは実に得難くも尊きものです。

 ちなみにキャトルコールさんは自分でゲームを発売する,いわゆる「パブリッシャ」ではなく,どこかからの依頼を受けてゲームを開発することの多い「デベロッパ」という属性の会社です。

 なのでここでの僕へのアクションも「この企画書をどこかに持ち込んで,一緒に開発しましょう!」というものです。聞けば「ちょうどウチも大手への持ち込みをしに行く予定があるので,一緒に行きませんか?」という,どこの馬の骨とも分からぬ僕には幸甚を通り越して感謝感激雨あられ,な申し出をいただいたのでありました。

 なので今回はキャトルさん社屋での集合ではなく,初手からその持込み先の大会社のほど近くで担当の方とお会いする,という変則的な形。

ここスタートならやれる気がする……!?
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 前日のビッグプレゼンテーションとは違って,待ち合わせ場所はショッピングモールのコーヒーショップ,そして道行きも一人ではないとなれば,心強さと勇気は百倍。いわれのない全能感とともに待ち合わせ&パブリッシャへGO!です。

 でもまあ結局パブリッシャの社屋なんてものは大抵ものすごい建物ですから,予定調和的に圧倒はされます。しかし史上最大の失敗(前回参照)をしたあとに怖いものはありません。とにかくここでは熱弁,熱弁! です。

 僕の参加の仕方も変則的でしたが,この時の会も変則的でした。

 何人かのプロデューサーがずらりと並んで,僕の話を黙って聞いています。
 今にして思えばこれは企画審査などではなく「なんか使えそうな人間なのか?」を品定めする人間品評会であったのではないでしょうか。やはり大手の考えることは違います。

合コンの様に見えてその実は人間品評会……あれ?そもそも同義か?
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 で,品評は済んで,その後名刺交換からメールのやりとりなど始まるわけですが,これはまるで合コンさながら。大企業の皆さんは仕事だと言い張って合コンに明け暮れる,いかにもなエリートであったのだという誤解も束の間,その後みなさんから来たり,来なかったりするメールを読んでそれが大いなる勘違いであったことを思い知らされます。

 まず,その後は連絡してきてくれないプロデューサーがほとんどなのですが,してきてくれた方にはとある順番があります。
 それは何か? と聞かれれば……端的に言って「困っている順」です。当たり前ですが,問題がなければ馬の骨の力など借りるいわれはありませんからね。

 さらにいうとその「困る」という状態にも「納品が危うい」から「納品はできるがクオリティアップの決め手に欠けている」という状態まで,きれいなグラデがついています。

さぐりつつの切り合い……それはまさに居合!そこそこアドレナリンが出ます
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 そのグラデの中でも「タダで仕事を頼んでくる人」と「少額でも有償で仕事を頼んでくる人」の存在に分かれます。嘘のような話ですが,分かれます。

 ここまで来ると,もはや品評されるのはこちらだけでなく,こちらも品評する側であることに気付かされますが,そこまで冷静に品評できるようになるには,ここからさらに10年ほどの経験が必要となります。

 かくしていくつかのフラグを残しつつ会合は終了。

 高揚感の残滓を漂わせながらキャトルコールのスタッフさんと帰途についた際,特に目的もなく歩いていたら20分ほど経過してから「あの……帰り道,ご存知なんですよね?」との質問。
 「えぇ? いえ何も?」と答えた僕の返答こそ,その後の僕の経営指針が垣間見える,激ヤバな瞬間であったといえましょう。
 そんなヤバさの自覚もなく,多少の散歩を経て,我々は無事(?)帰途についたのでありました。

 さて,これにて一旦の上京は終了し,京都のあばら家での生活に戻るわけですが,まさにその京都に僕の企画書に反応してくれた最後の一社があるのでした。続く!


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