「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第19回:年末を振り返りすぎるの巻


 時に西暦2022年。あけましておめでとうございます。

立場上,本来はインディゲームのランキングを一番意識すべきなのでしょうが……
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 基本的に人生における多くの時間を無為に過ごしている僕ですが,年末年始はそれが加速します。
 何をするかというと,具体的には年末のよくある「自分的ベストテン」の作成です。メディアさんがやる分にはいいんですけど,自分で自分のために作るランキングの無益さは,世の中のやくたたずランキングでも上位入賞が見込めますし,僕はゲーム屋ですが一番時間を掛けるジャンルが「音楽」というところも,重要な無益ポイントの一つとなっております。

 さらに本連載でもその「俺的音楽ベスト50」を公開して終わろうかとも思ったのですが流石に新年一発目からそれでは無益度がカンストして担当ストップが入るは必定……という予感をリスクヘッジして,今回はその深淵の周縁部について語ろうと思います。

思い出される売り込み行脚の日々
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 この場合の「周縁部」とはなにか?
 音楽というジャンルにおいては,ストリーミングサービスの趣味嗜好予測AIによるサブスク天国が完成しており,もはや大きなランキングなど必要なく,ユーザー各々が永遠に自分的ランキングを煮詰めていく世界に突入しています。

 とはいえ僕は元90年代,00年代の住人ですから,昔の癖で書店に行って雑誌を買い,その各雑誌のランキングと自分ランキングを比較しながら再発見と補正を繰り返す,なんてことをしてしまうのです。習慣というのはおそろしいものです。

 話はそれますが20年前はネットこそあったものの,主な情報源は雑誌でしたから僕も自分の映画の売り込み先はまず主に雑誌だったものです。
 各雑誌に「プレスリリース」をFAX(!)で送り,リアクションを待つ……なんてことをしていたなあ,と懐かしく思って当時の資料を掘り返してみたら,まあ意外と頑張ってますね,一人でやってたにしては。

 ちなみにここでやってたことを今現在の世の中でやるとどうなるか? を部分的にテストしたのが「METAL DOGS」での広報活動であったりします。
 ネットの恩恵でFAXするためにいちいちコンビニに行かなくて良い,料金もかからない,など色々な技術革新を経て,プレスリリースにおいては圧倒的な数を世界に対しばらまけるようになりました(とはいえまあ,やたらめったらのバラマキにあまり意味はないのですが)。

 20年前に僕が映画公開のためのコメントを求めた際のやりとりはすでにメールでしたし,個人である程度多人数とのやり取りが可能であるという恩恵は,この時すでに受け始めていたものではあります。

無茶な学生を応援してくれる方の存在に感謝しかありません
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 ちなみに音楽雑誌にもこれを持ちこんで,実際にいくつかの編集部にお邪魔したりしたものの,そこでは流石に掲載はならず(相手は映画じゃなくて音楽雑誌ですしね,そもそも)……というのも今ではいい思い出。

 そんな過去を懐かしむのはこれぐらいにして話を戻しますと,僕はなぜか音楽メディアへのオブセッションが強いので奇妙にそこに時間を費やしたりしているのですが,さすがにここでは今年の俺的音楽ベストをやる意味は改めて絶無,ということで……。

 各雑誌の出したランキングを比較してそのズレを位相化し,来るべき2022年というパラダイムにアングルを定義する,ということをやってみたいと思います。(それはそれで無益度は高めなのですが,お目溢しください)

RS,NMEの他にはこんなのもありますね
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 さて,そもそも国内音楽雑誌のランキングというのは洋楽歴史観の殿堂たる「ローリングストーン(RS)」や「New Music Express(NME)」を参照しつつ,ランキング1位の選定にあたっては「とはいえうちはこうなんだよね」という自己主張を潜ませていくものだと僕は勝手に思っていて(個人の感想です),そういった意味では日本語の音楽雑誌というものがそもそも減っていますし,最近独自進化の果てのフリークアウト甚だしいボカロ界隈や邦楽(という言葉があったんです,昔)は自動的に無視されます(これらの高度性について論じるには改めて一章を設ける必要があるレベルですのでここでは触れません)。

 ということで早速各誌見てまいりましょう……と思いましたが,ここから新規の話題をぶっこむには残り文字数がヤバい。映画芸術に初の原稿を依頼されたときから変わらずの分量で運行しております当連載,音楽雑誌各誌(といっても今回対象にしようと思っているのは2〜3誌ぐらいですが)の実情をカバーするのは次回にして,新年のご挨拶がこの様にロクでもないものに仕上がったことをお詫びしつつ,これが僕にとっても書き初めとなります本年,どうぞよろしくお願いいたします。

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