「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第8回:そのスピードで!?


 時の流れは早いものですが,それ以上に早いのがテクノロジーの進化のスピードです。それはどれくらい早いかというと,前回の連載から現在で2週間が経過しているわけですが,その間に以下のようなことが起こりました。

(1)全世界に対し「METAL DOGS」のクローズドβが実施された
(2)想定を超えるスピードで「METAL DOGS」の調整作業が進んでいる

零細起業が世界にパブリッシュなんて,とんだ未来の話だと思ってた
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 いや〜世界にゲームを配布って,少し前は夢のまた夢,みたいな感じだったんですが,それが今やボタン一つでポチッとな,でできてしまうというこの驚異。1999年に恐怖の大王は降ってきませんでしたが,それ以外のものがここ20年で色々と降り注いでいる気がします。主にインターネット界隈で。

 全世界にβを公開したわりに,とある国からのフィードバック少なくね? と思いきや,「ああ,あの国は今真夜中なのか」と,人生初の「時差」に気づくという瞬間を迎えたりして感慨もひとしおです。

 少し前まではプロデューサーが「体験版」などと口走ろうものなら「発売直前のこのデスマーチ中にもう一本余分にROMを出せってか? それって夏休み返上ってことですか? それって労基法的に大丈夫だと思ってるんですか?」という容赦ない言葉の散弾銃に撃ち抜かれることになる,それぐらい大変な作業だったんですよ,体験版って。

 特に家庭用機では,マスターロム(完成品)を手作業で任天堂とかSIEの人がチェックする,という鬼のようなシステムが息づいていた時代が10年くらい前までは厳然と存在していたというのもあり,まさに隔世の感があります。

 (1) についてはそんな感じなのですが,(2)については,ありがたくもありつつの謝罪案件です。少し前にもここで謝罪をした気がしますが,このスパンでまた謝罪のターンが回ってくるというスピード感も,これまたデジタルの沃野に降り注いだ新しいタイプの大王と言えましょう。

やっぱ氷りっぱなしはいやだ
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 今回の謝罪の具体的な内容は「METALDOGS」における戦略的特殊効果,「凍結」についてです。これは食らうと数秒間動けなくなるという非常に強力な攻撃なのですが,前々回の連載にて「じっくり味わってもらうためにアイテムでは解除不可にした。ただし効果時間は総じて短めなのでご心配なく」と記したのも束の間,ゲーム後半の調整を進める中で「やっぱりこれアイテム有効にして,後半より長い凍結とか視野に入れたほうが後半のバランス取りにはいいんじゃないですかね」という話になって,あえなく再採用となりました。

 アイテムメニュー周りも随時更新中なので(ええかげんデータ締めろよ)変更仕様とのバランスも見つつ,晴れて復活,みなさんにより長く苦しんで,もとい楽しんでいただける仕様として,多角的にブラッシュアップされております。

 こういった速度感での作業進行は,完全リモートであることによる作業のデジタル化なしには実現不可能なことだったと思います。そもそもこの原稿だって,デジタル入稿だからこのスピードとペースが可能になっている訳ですし,後はSteamの機能で体験版までがお手軽に,ということに加え,まだまだいろんな機能があって,次はこれを使ってみよう,この次はあれを……とか,正直,ワクワクが止まりません。

こんな便利なものが無償配布!?
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 が,森羅万象は陰陽ありき,もちろんいいことばかりではなく,いわゆる陰の部分も存在するらしいです。Steamのツールとかはまあ端的にいうと「Google Analyticsじゃねえのお前」みたいな圧倒的便利さなんですが,この完璧ツールをユーザーに無償配布する,ということの意味も「便利だ!最高!」と思いつつその恩恵を全身で浴びるとともに,その先のダークエリアに存在する自己責任論とかマイクロトランザクションとかペイメントとか,その先のビリオネア頻発問題とか,ひいては気候変動とかなんか色々あるんだなあ,と思いながら,デジタルスピードに負けずに人間性を維持するのが現代人のたしなみということになりそうです。

 リモートワークの達人を自認する我々24Frameとしましては,これを機に,この新時代に降ってきた何者かが幸運の女神なのか恐怖の大王なのか,はたまた単なる犬の尻尾なのか,とりあえずその後姿を追いかけてみて,後ろ髪をひっつかみ(あれ? 幸運の女神にあるのは前髪だけだっけ)この未確認飛行物体の正体を,我々なりに考えてみたいと思います。細工は流々,あとは仕掛けを御覧じろ……というところで,今回はここまで。現場からは以上,友野でした。

こいつの正体を確かめよう!
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