任天堂はまだモバイル市場を諦めていない

アニュアルレポートでは,モバイル事業を長期戦略の重点ターゲット分野と位置づけている。

 任天堂は,モバイル事業への関心が薄れているように見えるが,少なくとも株主には,任天堂はまだこの分野から抜け出したわけではないことを伝えている。

 任天堂は,同社のアニュアルレポートの事業概要と長期的な企業事業戦略のセクションで,モバイル事業にかなりの量の費やしており,とくにモバイル事業は,コアとなるゲームプラットフォーム事業以外にも任天堂のIPへのアクセスを拡大するための「ターゲット分野」の1つとして言及している。

 「当社は,ゲームプラットフォーム事業以外の分野でも,任天堂IPへのアクセスを拡大していきます」と報告書は語っている。「モバイル事業もその対象分野の1つだ。世界中に豊富なインストールベースを築いているスマートデバイスを通じて,消費者の皆様が任天堂IPと出会う機会を創出することで,事業領域の拡大を目指します」

 「上記に加えて,IP拡大事業では,テーマパーク事業や映画,マーチャンダイジングなど,企業パートナーとのコラボレーションにより,さまざまな分野での任天堂キャラクターの活用を増やしていきます。これにより,消費者の皆様が日常生活の中で任天堂のIPを目にする機会を増やし,競争力の源泉である任天堂のIPの価値を高めていきたいと考えています」

 今年の初め,任天堂の古川俊太郎社長はモバイルへの関心を冷めさせようとしているように見え,Bloombergは古川社長が「任天堂は必ずしもモバイル市場向けに多くの新しいアプリケーションをリリースし続けることを望んでいるわけではありません」と発言したと報じていた(参考URL)。

 任天堂のモバイル事業は,2020年3月31日に終了する会計年度に4億8100万ドルの収益をもたらしていることを考えれば(関連英文記事),この発言は当然のことのように思える。

 また,Sensor Towerによれば(参考URL),任天堂のモバイルポートフォリオは,2020年の開始時までに累計収益で合計10億ドルをもたらしていたとのことだが,この数字は同社の競合他社のほとんどとは比較にならないほどのものであり,圧倒的に1つのタイトルに牽引されていた。Fire Emblem Heroesだ。

 現時点では,任天堂は現在発表されているモバイルタイトルを持っておらず,主要なモバイル開発パートナーであるDeNAは(Bloombergの翻訳によると),今年度末までは新しいアプリが出てこないと述べている。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら