ユーザーメイドのゲームプラットフォーム「Core」で「アイデアの市場」を管理する

ユーザーメイドのゲームプラットフォーム「Core」で「アイデアの市場」を管理する
Manticore Gamesの共同創業者Frédéric Descamps氏が,ゲームのYouTubeになることを約束した新しいプラットフォームの課題と可能性について語る。

 Manticore Gamesは,新しいゲーム開発,パブリッシング,プレイプラットフォーム「Core」で多くのことを約束している。

 このプラットフォームは無料で自由にプレイでき,意欲的なデベロッパは事前の経験がなくても,どんな種類のゲームでも気の向くままに作ることができる。

 2017年以降,ManticoreはCoreの開発のために約4500万ドルの投資を集めている。4か月ほど前にアルファが稼働して以来,数万人がプラットフォームに参加しており,先週Manticoreは100万ドルのクリエイターファンドを立ち上げることを発表した(関連英文記事)。

 最近までManticoreはプラットフォームをどのように収益化するつもりなのかを明らかにしていなかった。しかし,ここで収益分配モデルとマネタイズプログラムを導入することを明らかにした。Manticoreは広告については言及していなかったが,クリエイターはマイクロトランザクションやパトロン,バトルパスを通してゲームを収益化できるという。

 今年初めにGamesIndustry.bizとのインタビューで,共同設立者兼CEOのFrédéric Descamps氏は,Coreをゲームの制作と配信における「真の意味での公平な競争の場」と表現していた(関連英文記事)。Coreは,ゲーム開発において,YouTubeが動画に対して行ったことと同じように,非常にアクセスしやすいプラットフォームとして設計されている。

デベロッパは,事前に生成されたアセットパックとコードを使用することも,スクラッチからゲームを構築することもできる
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 これはYouTubeに対する見方によっては,複雑な心境になるかもしれない。YouTubeは,クリエイターのバックグラウンドやトレーニングに関係なく,動画コンテンツを作り,自由に配信できるオープンなプラットフォームだ。コミュニケーションや芸術表現のための強力なツールであることは間違いない。

 しかし,YouTubeはまた,犬笛政治(※差別用語を使わず,分かる人にだけ分かるヘイトスピーチをすること)を通じて憎悪を伝播するネオナチスたちがほとんど偽装せずに活動するプラットフォームでもある。そこでは,地球の形や気候変動に関する荒唐無稽な陰謀論が,プラットフォームのアルゴリズムに乗ったコンテンツ制作者によって執拗にプッシュされ,利益を生むという悪評を得ている。

積極的なアプローチは早い段階から必要で,既存のコミュニティから始めます。我々のDiscordでさえ,何が許容できるか,何が許容できないかを明確にしています

 莫大な資金が浮いていて,高尚な目標が掲げられているが,ManticoreはYouTubeのような他のプラットフォームが直面しているのと同じコンテンツやコミュニティのモデレーションの問題にどのように対処するのか,という点で疑問が残る。

 「何だと思いますか? それは新しいことではありません」とDescamps氏は付け加える。「YouTube,Twitch,Discord,Steam…………これは新しいものではありません。UGCプラットフォームの運営には,それが伴うものです……。何が受け入れられ,何が受け入れられないのかを早い段階で定義するのは,あなたの責任です」

 「白か黒かは簡単ですが,それよりもグレーのほうが重要です。早い段階から積極的なアプローチが必要で,それは既存のコミュニティから始まります。我々のDiscordでさえ,何が受け入れられ,何が受け入れられないのかを非常に明確にしています。我々は,非常に支持的で,オープンで,協力的で,ポジティブで,建設的なコミュニティを作りたいと思っています」

 どのようなコンテンツがコアで受け入れられるかを決定する際に,Descamps氏は「自由主義者ではなく,絶対的な言論の自由の立場ではありません」と述べている。氏は,そのような妥協のないアプローチは,コミュニティを最も「インターネットの好ましくない部分」に引きずり込むことになると主張している。

 「我々は非常に積極的で,ツールを持っています。我々はソニーやSecond Lifeでも働いていた顧問弁護士を雇っています。彼女は,この種の UGC コミュニティと彼らの行動をよく知っています」

「すべてのUGCプラットフォームは,このような問題に直面しています。しかし,我々はそれを甘く見ているわけではありません」

 「あなたのコミュニティ,クリエイター,プレイヤーを頼りにしてほしい。我々は彼らにコンテンツを報告したり,フラグを付けたりできるツールを与えています。また,一部では軍拡競争になっていますが……。我々は学ばなければなりませんし,規模を拡大しなくてはなりません。その準備じゃできています。YouTubeから見ても,Twitchから見ても,何も変わりません。これらすべてのUGCプラットフォームはそれに直面しているので,我々は準備ができており,それを歓迎しています。しかし,我々はそれを甘く見ているわけではありません」

 このようなアプローチがプラットフォームへの信頼を呼び起こすのか,それとも懸念を抱かせるのかは,Descamps氏が言うところのプラットフォームがこれらの問題をどれだけうまく処理してきたかという視点にかかっている。

 しかし,Descamps氏と話していると,Coreに対する彼の興奮が伝わってくる。

 「アイデアのマーケットプレイスになるでしょう」と氏は語る。「それはマルチバースです。必ずしも,大きくてオープンエンドなトップダウンの世界であるメタバースのようなものではありません。ここでは,プレイヤーやクリエイターが決めたさまざまな方法でつながっている無限の宇宙,ゲーム,経験,世界のシリーズのようなものなのです」

 「また,プレイヤーとクリエイターの間には,他では見たことのないような素晴らしい相互作用があります。このプラットフォームでは,とてつもない量の創造性と革新が見られるでしょう。我々の目標は,プレイヤーによって定義された最高のゲームに報いることです」

 女性,有色人種,LGBTQ+コミュニティのメンバーが無限の敵対心に直面している業界では,ゲーム開発の民主化はエキサイティングな見通しだ。この業界ではゲートキーピングの問題があり,影響力のあるメンバーがその力を利用してゲートをロックし,声を抑圧している。この点を考慮すると,Coreは有望な提案だ。

 「今日のゲームにおける最大のチャンスは,我々がやっていることだと考えています」とDescamps氏は語る。「あなたは『Frédéricの言うことはとても虫がいい話ですね』というかもしれません。それは当たっています。これは,我々が何年も何年も考えてきたことなのです」

 「実際のところゲームは驚くべき産業です。ソフトウェア,マルチプレイヤー,オンライン,音楽,オーディオ,ストーリー,物語,PvP,オープンワールドなど,人類の歴史の中で作られた最高のエンターテイメントです。それなのに閉鎖的なんです。ゲームの世界に入るにも ゲームを作るにも 障壁があって 何もできません。我々の第一の原則は障壁を取り除くことです。そして何が起こるかを見たいんです」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら