Phil Spencer氏:Xboxでは「誰もVRを求めていません」

Xboxのボスは,Microsoftの次のゲーム機戦略におけるVRの形態と人気に懸念を示している。

 XboxのボスであるPhil Spencer氏は,VRが同社の次世代機で果たすべき役割を持っているという考えを否定した ― 簡単に言えば,「誰もVRを求めていない」ということだ。

 ロンドンで行われたX019でStevivor(※オーストラリアのゲームメディア)とインタビューを行ったSpencer氏は(参考URL),2016年に彼が行った声明(関連英文記事)について尋ねられた。それは「デモと実験」段階を終えたときにVRがXboxプラットフォームにやってくるだろうと示唆していた件だ。

 Spencer氏は,「人々がVRで行っている作業を軽視するつもりはありませんが」と前置きしつつ,市場がXboxユーザーに十分な需要があるところまで成長していないことを明らかにした。

 「VRにはいくつかの問題があります」とSpencer氏は語る。「それは孤立していることです。私は,ゲームとは公共の,一種の共同体験だと思うのです。我々はお客様が求めていることに応えているのですが……誰もVRを求めていないのです」

「VRにはいくつかの問題があります。それは孤立していることです。ゲームとは公共の一種の共同体験だと思うのです」

 Spencer氏は,VR体験をしに「行くべき場所」というものがあり,Xboxプレイヤーはその点で選択肢を非常によく知っていると続けた。これは,Oculus Rift と Quest,PC上のHTC Vive,Valve Indexなどのハードウェア,そしてもちろん,Microsoftの主要なゲームライバルであるSonyのPlayStation VRを意味している。

 Spencer 氏はまた,VR市場では「誰も何百万も販売していない」と述べている。Spencer氏がハードウェアとソフトウェアのどちらを指しているのかは明確ではないが,彼の声明はどちらのカテゴリーにも当てはまる ― PSVRは2019年3月31日時点で420万個を売り上げた一方,ビBeat Saber は同月末までに100万個を売り上げた。

 少なくとも,かつてはXboxでも,VRが最終的にゲーム機のハードウェア戦略の一翼を担うことになるだろうと見なしていた兆しは存在する。Xbox One XがE3 2016でProject Scorpioとして発表されたとき,ティザービデオでは,BethesdaのTodd Howard氏は,Fallout 4をVRでプレイできるゲーム機が出ることになると簡単に紹介していた。 ― 興味のある人はビデオの2分くらいのところを見てみるといいだろう(参考URL)。

 だが,それはSpencer氏が「デモと実験」についてコメントするわずか数か月前である2016年6月のことだった。明らかに,VRゲームはMicrosoftの想定したようには進歩していない。

 「(最終的には)そこに到達するかもしれないとは思います」とSpencer氏は Stevivorに語った。「しかし,我々の焦点はそこにはありません」

 Spencer氏のコメントは,先月Reboot Develop Redで2017年までValveでVRの主役を務めたStray Bombayの共同設立者であるChet Faliszek氏が表明したものと同様の考えを反映している(関連英文記事)。Faliszek氏によると,現在VR用のゲームを制作しているスタジオは,Facebookなどのプラットフォームホルダーからの資金に依拠しすぎている。

 「それがなければ,VRは今は本当に暗い空間になるでしょう」とFaliszek氏語っている。「開発者は常に期待し,『これが明日なくなるとどうなるんだろう? どうすればいいんだろう?』と尋ねる必要があるだけです。そして,彼らにとって今のところ良い答えがそうあるとは思えません」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら