IOC会長:オリンピックにe-Sportsはいらない。「Killer Games」は暴力を助長するから

「我々の観点から言うと,(※e-Sportsは)オリンピックの価値観に矛盾しており受け入れることはできません」

 国際オリンピック委員会会長は,現状ではe-Sportsが象徴的なスポーツイベントに追加される見込みはほとんどないことを明確にした。

 アジア競技大会2018期間中にAssociated Pressに語ったところによると(参考URL),Thomas Bach氏は,現時点でさえビデオゲーム協議を考慮することを妨げている重大な障壁があると語った。

 「我々はオリンピックのプログラムに暴力や差別を助長する競技が入ることはありえません」と氏は語る。「我々の観点から言うと,(※e-Sportsは)オリンピックの価値観に矛盾しており受け入れることはできません」

 Bach氏は自身もオリンピックの金メダリストであり,1976年のオリンピックでフェンシング協議の団体戦でメダルを勝ち取った。これについて聞かれると,氏はこの種の剣を使った戦いとビデオゲームの暴力性の違いを強調した。

 「もちろん,すべての格闘競技は実際の対人戦をもとにしています」と氏は語り,「しかし,スポーツはその文明的な表現となっています。もしあなたが,誰かを殺すようなゲームを持っていたとして,それを我々のオリンピックの価値観と並べることはできません」

 IOC会長はちょうど1年前からこのスタンスを取っていた(関連英文記事)。しかし,e-Sportsをオリンピック競技として扱うことへの需要は引き続き存在する。先月開催されたオリンピックEsportsフォーラムでは業界を代表するゲーム企業が自分たちの主張を行い(関連英文記事),2024年のパリオリンピックの運営チームでさえ追加を勧めている(関連英文記事)。

 現時点での最大のe-Sports競技は―Dota 2やLeague of Legendsから Counter-Strike GO,Overwatch,Fortniteに至るまで ―,しばしばほかのプレイヤーを殺すことを中心としてはいるものの,競技空間に広がりつつある非暴力系のタイトルもいくつか存在する。Rocket LeagueやFIFAやPESといった現実のスポーツのデジタル版などだ。

 e-Sportsは今年のアジア競技大会でデモ種目となっており,Arena of Valor(王者栄耀),Clash Royale,Hearthstone,League of Legends,PES,StarCraft IIの競技が行われた。

 昨年には,対戦ゲームが2022年に正式種目になると発表された(関連英文記事)。しかし,統括的な運営機関がないことから疑問が投げかけられている(関連英文記事)。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら