ゲーマーは本当にクロスプラットフォームプレイを気にしているのか?

GameTrackの欧州ゲーマーへの調査では,トレンドには無関心で購入決定への影響はないことが示されている。

 クロスプラットフォームプレイは,業界で信じられているほどにはゲーマーにとって重要ではないものかもしれない。GameTrackの2017年第4四半期調査ではそのトレンドに対して消費者間の一般的な無関心が示されていた。

 PlayStation,Xbox,そしてPCの所有者が一緒にプレイできることの価値は,過去12か月のニュースでは標準機能と見なされていた。Microsoftはゲーム機とPC間でのクロスプラットフォームプレイをファーストパーティ製ゲームでの重要機能としたのに対し,ソニーはPlayStationとXbox間のクロスプラットフォーム機能を明らかに渋っていることで広く批判されていた(関連英文記事)。

 しかしながら,昨年第4四半期にイギリス,フランス,ドイツ,そしてスペインで行われたGameTrackの調査では,GamesIndustry.bizからの質問で,ゲーマーがプラットフォーム間でプレイすることの価値への確信などはないことが判明した。クロスプラットフォームプレイ一般についてどう思うかという質問に対して,58%の回答がトレンドに対して「無関心」であることを認めていたのだ。

「GameTrackの調査は,ゲーマーがゲーム機を購入する際にクロスプラットフォームプレイは重要な要素ではないということを示している」

 8%の人が現在の業界によるゲームプラットフォームの壁を壊そうという動きに対して「まあまあ否定的」「非常に否定的」としていることに意味はない。合わせて34%の人が全体的に「まあまあ肯定的」「非常に肯定的」としている。しかし,結局,回答の最大多数はどちらの方向にも振れないものだった。

 これは業界の分裂問題を証明したことで驚くべき結果といえる。Minecraft,Rocket League,Ark: Survival EvolvedそしてFortniteなどは,昨年クロスプラットフォームプレイを巡って,しばしばソニー側の明らかなXboxユーザーとの対戦を許容することへの関心の欠如から議論の焦点となっていた。

 GameTrackの第4四半期調査は,ゲーマーがゲーム機を購入する際にクロスプラットフォームプレイは重要な要素ではないということを示している。クロスプラットフォームプレイだと,そうでない場合より多くのゲーム機が売れるかもしれないという考えが出てきたのだが,欧州の回答の54%はかすかにあるいは強くそれを否定している。その内の34%は強く否定している。これは声明に同意した13%の人と比較される。

 同様に,56%の人はクロスプラットフォーム対応の拡張がゲーム機ないしPCのオンラインサービス加入を増やすかという質問に否と答えている。一方で,同意していたのは13%だった。

 同じ傾向はソフトウェアについての声明でも明白だった。48%の回答は,クロスプラットフォームプレイはゲーム購入の動機になるかという問いに否定的で,17%が肯定的だった。また49%の回答は,クロスプラットフォーム機能が付いたら現在よりもオンラインプレイをする可能性があるかという問いに否定的で,肯定的なのは17%だった。

Rocket LeagueはXboxとPlayStation間のクロスプラットフォームプレイを最も熱心に要求していたゲームの一つである

 MicrosoftのPhil Spencer氏はXboxとPlayStationでの異種コミュニティを統合する野望を表明していたが,ソニーからは ―直接的にも間接的にも― 何度か同意を渋る公式コメントが出されていた。

 「友達がゲーム機を持っていても,ほかの機種を買った友達とは一緒に遊べません。これが同じゲームを買う理由になる,といった見方があることは理解しています」と氏は昨年語っていた(関連英文記事)。「その理由はなくなりません。そこで我々はMinecraftをあらゆるプラットフォームで最大のゲームにして,どのデバイスを買っていようと一緒に遊べるようにしました」

「残り一つの壁も必然的になくなるでしょう
-Tim Sweeney, Epic Games

 「私は誰もがエコシステムについて同じアプローチを取っているとは思っていません。ですので,失敗に終わった運動を繰り返すつもりもありませんが,そういった運動がなくならない理由には根本的な理由とある程度のシナリオがあると考えています。まだなにが変わるか分かりません」

 クロスプラットフォームプレイがユーザーの購入決定に影響を持つかどうかはともかくとして,業界内にはプラットフォーム間の障壁はまもなくなくなるだろうという見方が存在する。今年のGDCでGamesIndustry.bizはEpicのTim Sweeney氏とFortniteにおける前例のないレベルでのクロスプラットフォーム統合 ―ユーザーはゲーム機でもPCでもスマホでも同じゲームをプレイできる― について話した。

 それを許していないプラットフォームはXboxとPlayStationだけだ。しかしSweeney氏は共通基盤が作られるまでの時間の問題であるという自身の信念をはっきりと表明していた(関連英文記事)。

 「私は現状では必然的だと思います」と氏は語る。「ゲームはFacebookやTwitterと同じようなソーシャル体験になっており,それらの体験はゲーマーが彼らの友達とコミュニケートできて初めて意味を持ちます」

 「ソニーとMicrosoftにとって,彼らの顧客を十分にサポートするためには,顧客の友人―リアルワールドでの― にまで開放しなくてはなりません。にもかかわらず,彼らは現実世界のソーシャルグループを破壊しています。子供たちが学校で友達を作るように,あなたは,一緒にプレイできない2つの分離したグループにプラットフォームが分裂することを望みますか? いいえ,一つにしなければならないのです」

 「残り一つの壁も必然的になくなるでしょう」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら