Apple,HTC Viveと組んでVR/ARに参入。AppStoreではIAPも解禁に

AppleはSteamVRのサポートとiPhone向けの新たなARKitを披露した。

 本日(北米時間2017年6月5日)行われたWorldwide Developers Conference 2017でAppleは,新しいmacOSがSteamVRを使ってついにバーチャルリアリティをサポートすることが発表された。HTC ViveはUnreal Engine上で動作するILMの体験デモで使用された。これは新たに発表された外部GPUボックスを通して実現されたもので,GPUボックスは現在のところAMD Radeon RX 580とUSB Type Cハブを備えた開発キットという位置付けとなっている。これはHTC Viveチームにとっても大ニュースだ。同社は最近,検索の巨人GoogleのスタンドアロンVRイニシアティブでパートナーとなったばかりである。

 「ViveはVR業界を前進させています。そしてつい先月,我々は世界で最も優れた革新的技術の巨人たちとパートナーとなりました。これにはGoogle,Intel,Appleを含みます。彼らはVR事業をViveを中心に整備しています」とHTC Viveは公式Blogで語っている。WWDCではOculusについてなにも言及はなかった。しかし注目されるのは,SteamVRのアプリはRiftで実行可能なことである。

 バーチャルリアリティはさておき,Appleはいまや「世界最大のARプラットフォーム」を誇るiOS上で,新たなARKitでオーギュメンテッドリアリティ(AR)にも真剣に取り組んでいる。何億台ものiPhoneがARKitをサポートし,Appleがいうところの「高速で安定したモーショントラッキング」が,空間に浮かんで見えるのとは対照的に実際にオブジェクトがそこにあるように見せることによってAR機能を強化している。

 WWDCで,同社はいかにARKitがテーブル上に平面を展開し,ティーカップをバーチャル空間に配置できるかを示していた。Peter Jackson氏のスタジオWingnut ARはそこで,Unreal Engineによって作成されたより複雑な地形のデモを公開した(ARKitはUnityとSceneKitもサポートしている)。Wingnut ARのデモは,大幅に改良されてiOS11用として今年後半に利用可能になる模様だ。もちろん,GoogleがすでにARをTangoテクノロジーによって提供していることにも注目すべきだが,それはごく少数のAndroid端末で使用できるにすぎない。

 Appleのカンファレンスは2時間以上に及ぶものであり,iMacやMacbookそしてiPadの新機種だけでなく,Home Podと呼ばれるAmazon Echo系の新ラインナップなどが紹介された。しかしゲーム開発者にとってさらに重要な発表は,同社がアプリ内購入(IAP)をサポートし,App Storeの解説ページからすぐに使えるようになったことだろう。AppleはiOS11のApp Storeを改修し,ゲームでより多くのビデオに注力したものとなっており,アプリ内でデベロッパやエディターからのビデオだけでなくLet's Playのビデオを鑑賞できるようになっている,ゲームメニューまで戻らなくてもゲーム内購入ができるようになったことで,見つけやすさや大量のインストールベースを持つiOSユーザーとのより効率的なコミュニケーションによって,デベロッパはこれらの変更の恩恵を受けることができるだろう。

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