Nintendo Switchの先行きはいまだ不透明だ

不当な憂鬱から馬鹿げた楽観主義まで;任天堂は奇妙な強い感情を業界に吹き込んだ。

 まだ任天堂を見捨てるなと警告する記事を書いてから数年が経ったが,今これらの単語を打ち込むのはとても変な感じがする。それはともかく始めよう。我々は任天堂に対してもう少し冷静になれないだろうか? そう,Switchはとても堅実なスタートを切った。そして Zelda: Breath of the Wildはまったく完璧に近いビデオゲームだった。しかし,振り子の揺れは,Wii Uの最後の日々に脅かされ我々の息を止めていた陰々滅々から,同社と新プラットフォームは期待に応えるのが難しいかもしれないという眩暈がするような過剰な楽観主義に振れている。

 たくさんの例があるが,最も悪質なのはGameStopの販売部門シニアディレクターEric Bright氏による宣言だろう。Switchの販売数はWiiを超えるかもしれないと示唆するものだ(関連記事)。しかし,一般的な風潮ではこういった意見は彼だけのものではない。任天堂自体が2017年の出荷見積もりを著しく上げており,こういった動きに対してなにか公式の認定証を与えているような感もあった。しかし,実際にSwitchは無謀だと語っているその他のコメンテータもいる。

 1か月も前のことではないが,Switchの発売前にこのサイトで私自身とChristopher Dringの記事は結論付けていた。まったく議論も余地もなく,Switchにとっての試練は年末まで来ないだろう。ゲームの性能に対するはっきりした評価はそれまでできないと。この展望は,発売時点ではSwitchは期待ほどのものではなかったということを当てはめたものだった。ローンチの初期にはゲーム機は実際に楽しまれているというのは等しく当てはまるべきことである。任天堂は堂々と第1コーナーに差し掛かっている。しかしこのレースは非常に長いのである。

「実際のところ,SwtichはWiiの記録に悩まされることなく商業的な大成功を収めるかもしれない。そしてこの初期段階との比較を招くような話には誰も大した関心を示さなくなるかもしれない」

 核心に迫ると,我々はSwitchのローンチから多くを学んでいないというのが現実だ。このゲーム機は世界中でよく売れた。しかし供給は制限されており,我々は任天堂ファンによるコアマーケットにアピールしたローンチ売り上げから切り離すことができる。Zelda: Breath of the Wildは激賞のレビューを受け,非バンドルタイトルとしてはこれまで見たこともないような高い併買率を見せている。ここから学ぶべきなのは以下のことだ。任天堂のコアファンは新しいゼルダに非常に熱中しており(一面を占拠している),任天堂のゲーム開発能力はここにきて全弾装を発射している(※原文はfire on all cylindersでエンジンの気筒のことか銃の弾装のことか判断できず)。後者の事実は重要だ。とはいえ,ここ最近の同社の動向を追っている人なら誰も驚きはしなかっただろう。Wii Uのハードウェア販売で悲劇的に恵まれなかったものの,任天堂のソフトウェアは間違いなく黄金期にさしかかっている。

 実際のデータから見ると,Switchのローンチから取り除くものはさほど多くない。期待以下だったということはなく,これはもちろんよいニュースだが,供給不足は実際の需要がどれくらいあったのか,どれくらいの割合を満たしたのかを正確に知ることができないということを意味している。Wiiのローンチパターンを繰り返しているわけではないということには注意すべきだろう。Switchはゼルダを遊ぶようなコアなゲームファンに対しては極端によく売れた。しかし,それはWiiの売り上げを増大させたカジュアル層の魅了に成功したことを示唆するものではない。

 最終的に,需要や人口統計など,すべての情報は,この先数か月経たないと見ることができないだろう。Mario Kart 8.5やSplatoon 2などの発売は大きな試練となるだろう。しかし,クリスマス,そしてMario Odysseyの到来をもって,ようやく我々はSwitchの実際の性能や今後の展望について本当の信頼性を持って話すことができるようになる。ゲーム機の発売初期段階で期待を膨らませることは,その後の失望の可能性を高めるだけだ。任天堂は間違いなくこれまでで最高に成功した家庭用ゲーム機の成功を再現したいと思っている。実際のところ,SwtichはWiiの記録に悩まされることなく商業的な大成功を収めるかもしれない。そしてこの初期段階との比較を招くような話には誰も大した関心を示さなくなるかもしれない。

 加えておくと,これはどれもSwitchのローンチが示している業績を損ねるものではない。提供されているローンチのデータが,単に真面目で意味のあるシステムの予測を確立するには不十分なものであるとしても,ローンチの形のない側面はまぎれもなくポジティブだ。今月のSwitchを一言でいうと,ほぼ普遍的に「すごい」となるだろう。マイナーハードにまつわる歯が生えるまでの問題は置いておくと,ゼルダへの世界的な賞賛は,これまで見たこともなうようなレベルものだ。消費者心理は定量化しにくく,どんなユーザー層が肯定的に触れているのかを示すのはもっと大変だが,任天堂はすでに大きな失望を呼び最終的に決定的な失敗となったWii Uから立ち直りの過程にあることは明言できる。

「よく繰り返される誤謬に,任天堂は意図的に供給数を操作しており,需要とハードウェアに関するBuzzを人工的に作り出しているというものがある。……控えめに考えても単に同社がしばしば需要予測で失敗していたり,生産量が柔軟でなかったりしたという事実はある」

 データに目を光らせている人にとっては,今後数か月のSwitchの動向は注意しなければならないことがあり,本当に意味のあるものになるだろう。任天堂の発売スケジュールを守り,コンスタントにソフトウェアを新システムにもたらす能力は必要不可欠だ。もし主要タイトルの発売時期がずれると(SplatoonやMario Odysseyは本当に大きなものだ),それは大きな懸念となる。それとともに,主要パブリッシャのSwtchサポート任官する動きは注目に値する。多くのSwitchユーザーを見てきたうえでの興味深い感想は,かれらはマシンの形状をいたく気に入っており,会話はどのほかのゲームをやりたいかという話題になるのは当たり前のことだった。もしその考えをサードパーティのパブリッシャに聞かせることができたら,信頼性を伴った堅実なローンチに結びつくだろう。それは今後のサードパーティサポートの向上をもたらすかもしれない。

 そのほか注目すべき点として,もちろん,ハードウェア出荷の需要についてがある。今年始めの任天堂のSwitchローンチ時点での任天堂の計画は疑いなく2倍になった。まず,それをするには,最初のクリスマスまでにしっかりしたソフトウェアライブラリを構築する必要がある(再確認するが,その時点で大作ブランド,Zelda,Mario,Splatoon,Mario Kartが発売されている必要がある)。第2にローンチの需要を6〜9か月間にわたって広げていく必要がある。そうすれば供給はクリスマスまでペースを維持できるだろう。よく繰り返される誤謬に,任天堂は意図的に供給数を操作しており,需要とハードウェアに関するBuzzを人工的に作り出しているというものがある。単純に言って,その証拠はない。控えめに考えても,単に同社がしばしば需要予測で失敗していたり,生産量が柔軟でなかったりしたという事実はある。Switchについては,年の初頭に発売することで,Wiiの過剰需要とWii Uの供給過剰の両方を避けようとしている。

 これは我々が,観察し評価するのに出荷から9か月かかるということを意味する。任天堂がどんなユーザー層にアピールしていくのか,需要は高いままなのか,そして Mario KartやSplatoon 2といったタイトルの発売は本当にゲーム機を推進できるのかを知るにはそれだけかかるのだ。彼らは間違いなくこれらの出荷数設定で狂った推測をしてくるだろうが,それは全体像であり重要だ。そしてその月はデータが本当にゲーム機がどこに向かっているのかのデータをくれる貴重な月となる。Switchはよいスタートを切った -おそらく素晴らしいスタートと言ってもいいだろう- 多くの人と同様に,私はゲーム業界が健全により繁栄していると信じており,その中心には任天堂の成功が大きな位置を占めている。このように貧弱なデータを根拠に荒っぽい楽観主義をとることは,任天堂が凶運の商人だとするのよりもマシではない。それはスペクトルの反対端での誤りだ。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら