海外の反応:PS4 Proに乗り換える? それは場合によりけり

海外のレビューをまとめると,ソニーのPS4 Proはその価格を正当化するために正しいソフトウエア・サポートと相応のテレビを必要とするということになりそうだ。

 PS4 Proがいよいよ発売となる(※元記事は発売前日のもの)。しかしゲーマーはソニーのその最新家庭用ゲーム機に400ドルもの金額を投資する前にいくつかのポイントについてダブルチェックしておいたほうがいいかもしれない。当初のレビューは好意的でヒットと言えるものであったが,一方で,実際に試した人たちの中では,PS4 Proがゲームのエクスペリエンスをどれだけ素晴らしいものに引き上げてくれるかという点での賛意はなく,むしろ,誰もが同等に恩恵を受けられるわけではなさそうだという点で意見が一致した。

 IGNのVince Ingenito氏は,10点満点のうち8.5の評点を与えたが,注意書きも添えた。

 「ひとまず,PS4 Proは,現行と将来のPS4のゲームを大いにエンハンスすると言える資格はあります。しかし実際は,どのゲームをプレイするか,どのような画面を使うかによって,評価の着地は『良い』から『迫力に欠ける』までばらつきが出るでしょう」

 問題の一つは,ゲームによって,どのエンハンスされた解像度や機能を,デベロッパがサポートするのかの標準がないことだ。

「現時点では完全にバクチになります」
-Vince Ingenito氏

 「きちんとサポートされていれば,PS4 Proは驚異的な仕事をします」とIngenito氏は言う。

 「シャドウ・オブ・モルドール」は一つのケースだ。発売から3年が経つが,新しいグラフィックスによる鐘や風がヒューと鳴る描写の美麗さからIGNのオフィスではいまだに人気があるという。他方,「デウスエクス マンカインド・ディバイデッド」は4K解像度にしても大きな違いは見られなかった。Ingenito氏によれば,PS4でゲームをするときに比べ,むしろ,解像度が上がったことでフレームレートがより低下しているように見えたそうだ。

 「PS4 Proでうまく『てこ』を効かせられるゲームですら,各々のゲームや,さらにはゲームにおける各々のモードからどのようなエンハンスメントを得られるか一貫性と明瞭さがないので,私の自信は揺らいでいますよ」とIngenito氏は述べた。「ビデオのセッティングを忙しく変えさせるようなものもあれば,そうでないものもあります。また,フレームレートを上げるオプションを持つものもあれば,エンハンスされたビジュアルや解像度を上げるということに終始しているものもあります。高解像度のゲームについて考えた場合,具体的にどのような解像度をレンダリングするのか,どのようなタイプのアップスケーリングをソニーが使うのか,まだ明らかになっていません」

 つまるところ,PS4 Proはプレイヤーに価値を提供するのに十分なくらいパワフルだ。しかし,現時点ではそれをうまく利用できるコンテンツが少なすぎるということだ。


 「PS4 Proは大いにエンハンスされたグラフィックスを提供してくれるかもしれない未開のパワーを秘めています。いずれもっとサポートが増えれば,実際そうなるでしょう。しかし,現時点では完全にバクチになります」とIngenito氏は言う。

 Digital FoundryのRichard Leadbetter氏は,より好意的な記事をEurogamerに寄稿した。

 「ベストケースでは,従来機種と比べて劇的なビジュアルの改善が見られます。そこまでいかないタイトルでも明らかに改善されていることが分かります。皆が納得するリーズナブルな価格というものを念頭に置くと,PS4 Proは極めて説得力があるハードウェアでしょう」

 Leadbetter氏は「ライズ・オブ・トゥームレイダー」と「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」を2160pの解像度で試したそうだが,HDRサポートのインパクトはプレイヤーが使うディスプレイによって大いに変わってしまうのだそうだ。

 PS4をまだ持たない人々にとって,Proを買うという決断は考えるまでもないことだとLeadbetter氏は言う(※no-brainerの訳語が不適切だったため修正しました)。

 「しかし,もしすでにPS4を持っているのであればアップグレードするかどうかは微妙な選択です」と加えた。「PS4 Proでないとできないようなことがないのです。ライブラリは同じです。既存のゲームは,デベロッパがパッチすればうまく動きます。もし4Kのスクリーンを持っているか購入を検討しているのであれば,アップグレードは大いに意味があるでしょう。しかしはっきりしていることは,すでにお持ちの家庭用ゲーム機を時代遅れなものにしてしまうということはなさそうだということです」

 ウォールストリートジャーナル紙のNathan Olivarez-Gilles氏は,4K対応ディスプレイは,その技術進化の恩恵を授けてくれる一方で,4K対応でないものをむしろ劣化して写し出すので,もし4K対応を持っているならば,PS4 Proの購入はより魅力的なものになると同意する。

 「Samsungの55インチの4K/HDRテレビで通常のPS4でゲームをしたところ,アップスケールすることにより,映像の端がチカチカ光ったりギザギザしてしまったりしていました。しかし,PS4 Proでプレイしたときは映像の鮮やかさに度肝を抜かれました。新しいテレビを買わなければ! と思ってしまったほどです。もしPS4と1080Pのテレビを持っているのなら,PS4 Proはアップグレードを正当化するほどのビジュアル的なメリットはないでしょう。しかし,4K/HDRテレビとペアにすると,ビジュアルのエンハンスメントは現在テレビで得られる中で最高の没入感を提供してくれます」
※編注:常識的に考えて処理での遅延が入ると考えられるので,テレビ側のスケーリング機能を使ってゲームをプレイするのはそもそもおすすめできない。

 CNETのJeff Bakalar氏は,このシステムにやや冷ややかである。PS4 Proが全体としてまだプレイヤーにとってどれだけ恩恵があるものなのかはっきりしないということで,新機種の評点を差し控えた。

 「PS4 Proは,私たちがテストすることができたほとんどのゲームにおいて,大きく分かりやすい改善を遂げていたとは言えませんでした。しかしこの先何か月,何年という単位で新しく発売されるタイトルでは変化が明確に分かるかもしれません」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら