GoogleのDaydreamは2020年までに1400万台を販売する 〜 SuperDataが試算

調査会社のSuperDateは,モバイルVRの隆盛とともにVR業界全体で300億ドルに達すると予想する。

 2016年5月にVR市場での再戦をアナウンスして以来,Googleがいよいよ「Daydream View」ヘッドセットを11月にもリリースすることを発表した。我々が5月に論じたとおり(英語関連記事),Google>の参入は今年のVR市場においても最も重要な出来事(英語関連記事)と言えるかもしれない。
 SuperDataから本誌に提供されたVR市場の未来予想によると,今後のVRスペースにDaydreamは相当なインパクトを与えることになるようだ。SuperDataは,Daydreamは2016年度内に45万台を販売し,翌年には3倍の150万台には達するだけでなく,2020年前には1400万台が市場に行き渡ると試算されているのだ。

 SuperDataの動向調査担当ディレクターのStephanie Llamas氏によると,「消費者は使い捨て型のデバイスは安価であろうと投資することを好んでおらず,ちょっとしたギミック程度にしか考えていません」と,Google Cardboardについて語る。それに対して,Gear VRやDaydream Viewのようなプレミアム型のモバイルVRデバイスは,明るい未来が約束されているという。SuperDataは,Samsungは今年中にも230万台のGear VRを販売するはずだという予想も立てている。モバイルゲーム同様,モバイルVRは手の届きやすい価格帯に抑えられているため,「ハードコア向けのゲームはモバイルVRではそれほど受け入れられていないとはいえ,コンテンツは消費されやすい傾向にある。Candy Crushが多くのゲーマー層を獲得したことを参考に,モバイルVRの開発会社はゲームコンテンツを生み出していくべきだ」とLlamas氏は述べた。

 Oculus Rift,HTC Vive,そしてPlayStation VRのようなハイエンドVR機器も良いペースで市場浸透を続けそうな気配で,SuperDataはPSVRが年末市場で善戦して,今年だけでも260万台ほど販売されるのではないかと予想している。ViveはRiftよりも少し良いという程度であり,それぞれ42万台と35万5000台ほどのセールスになるであろうという見られている。

 「Rift,Vive,そしてPSVRは,価格が下がっていくことによってさらに広いプレイヤー層を獲得していくのは間違いありません。時間はかかるかもしれませんが,ハードウェアの要求スペックが下がるにつれて徐々に市場に浸透していくでしょう」とLlamas氏は付け加える。「また,これらのハイエンドデバイスは,プレミアム型ゲームの消費者が行き着くものであることを考慮しておくべきでしょう。つまり,モバイルゲームが,例えばPCゲーム市場よりも大きいからといって,収益の潜在性はどれだけ多くのプレイヤーに課金してもらえるかというのと同じことで,ハイエンドVRデバイスのコンテンツセールスは低くても,大きなプレイヤー層を抱えるモバイルVRと同様の利益を上げることは大いにありえます」と続けた。

 もちろん,インストールベースが低い現状においては,ハイエンドVRデバイス向けのゲームを開発するのはリスキーなことである。それを理由にして,Lamas氏も「AAAタイトルのデベロッパが既存のゲームフランチャイズにVRコンテンツを加えるというスタイルが多いのは,まだVR体験がどのようなものなのかを知らない消費者にアピールするためでもあります。まだ証明されていない市場であるために利益幅も狭く,“フルVRゲーム”と呼べるだけのAAAタイトルがリリースされているわけではありません。ですからモバイルVR市場でのゲーム開発は,大きな失敗を恐れることなく来るべきVR市場の発展までに慣れ親しんでおくには十分であるのです」と語っている。

 慣れ親しんでおくという点においては,最近Samsungもスマートフォンを用いないスタンドアロン型のヘッドセットの開発の可能性については,市場の動向をよく見て判断すると語っている。TechCrunch(参考URL)において,同社社長であり,チーフ・ストラテジー・オフィサーのYoung Sohn氏は,「VRはハイプ(誇大広告)で終わるのかメインストリーム化するのか?今の段階では判断するのに良い材料はありません」と言及しているのだ。

 新しいテクノロジーというものは常にハイプと共に市場に送り出されるが,VR機器が今後も存続していくのは間違いないと思われる。もしSuperDataの予想を信じるというのであれば,2016年度は26億ドル程度のVR市場は2020年までには300億ドルほどにまで成長することになり,ソフトウェアコンテンツだけでも58億ドルに達することになるという。VRゲームは2016年度は3億6600万ドルほどに過ぎないという見方だが,その後1年程度で10億ドルになるとSuperDataは見積もっているのだ。なお,別のリサーチ会社であるJuniper ResearchはSuperDataを超える未来予想を発表しており,VRハードウェアは2021年には500億ドルに達するとの見解を示している (英語関連記事)。

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