任天堂がNXでうまく対処しなければならないこと

Nintendo of AmericaのReggie Fils-Aime氏は,同社がWii Uでの苦難で得た“伝統的な教訓”について語った。

 新たなゲームハードウェアとなる「Nintendo NX」(以下,NX)を来春にも正式発売しようという機運の中,任天堂は前世代までのゲーム機で犯した失敗を繰り返すまいとしているようだ。最近,E3 2016の時期に行われたインタビューが [a]listdaily(外部関連サイト)にて公開されたが,Nintendo of America社長であるReggie Fils-Aime氏は,Wii Uのビジネス戦略において何が成功したのかと共に,その失敗からNXをローンチするにあたって何を学び取ったのかを語っている。

 Fils-Aime氏は,Wii Uの最大の魅力でもあるセカンドスクリーンという斬新なデザインについては「価値のあるコンセプトだった」と擁護する。さらに同プラットフォームのエクスクルーシブタイトルについても,MicrosoftやSonyのラインアップと比較しても良いものであると主張した。しかしながら,Fils-Aime氏はWii Uのすべてがうまくいかなかったことはしっかりと認めているのだ。

 「NXをローンチする際に,我々がよりよく成し遂げなければならないことは,我々の製品のゲーム市場での立ち位置を,消費者に対してしっかりと説明することです」とFils-Aime氏は語る。「我々は,消費者の皆さんにゲーム機のユニークさや,ゲーム体験がどのようなものになるのかを理解してもらうために最善の努力をしなければなりません。ソフトウェアのラインアップを構築していくという点でも,素晴らしい新作をテンポよくリリースすることで,より多くの人にハードウェアへの興味を持っていき,結果としてさらに多くのゲームを手に取っていただけるような努力も必要になります。こうしたことが,繰り返してはならない教訓でした。このように言葉にすると,ゲーム産業には昔からある伝統的な教訓であることが分かります。人々がゲーム機のコンセプトを理解し,より良いゲームライブラリを構築することにより,そのビジネスは成功するのです」と続ける。

 「伝統的な教訓」とFils-Aime氏というのは,それ以前のプラットフォームで任天堂が繰り返してきたことを考えると分かりやすい。事実,ハードウェアの素晴らしさについて,独創的な価値の高さを消費者に説明することに失敗したというのは,2012年にWii Uがリリースされた前年に3DSがローンチされた際も,その船出が険しかったことが同社に鮮明な記憶として残っているのだろう。

 任天堂の故・岩田 聡氏が2011年の業績報告会で語ったのは,「ローンチ後の状況を分析してみた結果,その価値を消費者の皆様によりうまくご説明することが必要であることが明白でした」ということだった(関連英文記事)。

 さらにもう少し時間を巻き戻すと,任天堂はゲームキューブから学んだことの一つとして,リリーススケジュールの空白を避けるようソフトウェアの開発計画をしっかりと練るべきことを語ったこともある。Wiiの2006年のローンチ前に,Nintendo of Americaのシニア副社長George Harrison氏は,ゲーム機の評判を維持するためにソフトウェアの継続的なリリースについて言及していたのだ(関連英文記事)。

 Harrison氏は当時,「ゲームソフトは,ローンチ時だけでなく,最初の6か月から9か月にかけては継続的にリリースしていかなければなりません。GameCubeでは,我々はそのことを怠り,ローンチ以後には何もリリースしない6か月ほどの渇水期があったのです。それが終わる頃には,すでにゲーム機の評判は形成されつつあり,それを覆すのは多大な時間が必要になりました」と語っていた。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら