「Pokemon GO」グローバルに展開しつつ,サードパーティのサービスを次々と締め出しへ

Nianticの新作はローンチ開始から1か月で2億ドルもの収益を得る一方,部外サイトでの零細ビジネスを干し揚げる。

 Nianticは,大きな成功となった「Pokemon GO」のグローバルでのローンチを着実に進めつつあるが,同時に息吹つつあった零細ビジネスをコントロールしようとサードパーティによるウェブサイトやアプリを制限し始めた。

 「Pokemon GO」の公式サイトに掲載されたエントリー(参考URL)において,NianticのCEOであるJohn Hanke氏は,サードパーティからの“攻撃的なほどの努力”によるサーバーへのアクセスのために,ラテンアメリカ地域でのリリースを遅らせなければならなくなったと説明する。「世間でも議論が上がっているため,我々がなぜこのようなことを行ったのか,またこのような無害に見えるサイトやアプリがどういった形でゲームに影響を与え,より多くのプレイヤーにゲームお届けすることに障害をもたらすかを明確にご説明させていただきたい」とHanke氏は話し,Nianticのサーバーがどのような状態にあるかを解説するチャートを掲載している。

ゲームで使われるものの倍以上のクエリーが送られていたことが分かる

 Hanke氏はまた,「機会の弊害」という言葉を使って,Pokemon GOのサーバーにアクセスしてくるサードパーティのサイトやアプリとの関係を表現した。「新機能などを開発する開発者の時間が,これらの問題を解決するために費やされることになっています」とし,続けて「サーバーへ直接アクセスするツールは,ボットや不正行為の温床でもあり,トレーナーの皆様すべてに悪影響を及ぼします」と説いている。

 また,「商業的な行いや熱狂的なファンの方など,それらの目的はさまざまですが,これらの行為によりゲームのリソースに悪影響を及ぼすことは変わりません。……(中略),このような行為がなくなるとは思っていません。しかしゲームの安定と健全性を維持するために不正なアクセスをブロックしたことを,そしてこれからも取り組み続けなくてはいけない理由を皆さんに理解していただきたいです」とHanke氏はファンに理解を求めた。

商業的な行いや熱狂的なファンの方など,それらの目的はさまざまですが,これらの行為によりゲームのリソースに悪影響を及ぼすことは変わりません

 しかし,“熱狂的なファン” たちが,今回のNianticの決定によって少なからず影響を受けることになったというのは,Hanke氏の言う”世間での議論“の最大の焦点であるのは間違いない。最近,VG247がファンサイトの「PokeAdvisor」に取材したレポート(参考URL)を公開している。このサイトは,Pokemon GOに有益な情報を提供しているにも関わらず,Pokemon GOにない機能なども含んでいるため,Nianticの処置によって運用が停止してしまっている状態だ。

 Nianticで,今後こうしたファンの求める機能をフィーチャーする予定があるのかどうかは不明だが,同社は現在,より多くの国々でサービスを開始することに重点を置いているようだ。最近では東南アジア各国を中心にした15地域で新たにローンチを果たしているが,今のところ,モバイルゲームの最大市場である中国でリリースされる目途は立っていない。

 「Pokemon GO」が主要なゲーム市場をすべてカバーされるようになれば,Nianticはサーバーのリソースを増強させ,サードパーティが運用できるような処置をとる可能性はあるだろう。実際,「Pokemon GO」は現時点でもそれを成し遂げるだけの成功を達成しており,リサーチ会社のSensor Towerにとると,そのローンチ開始から1か月間での収益は2億ドルにも達していると見積もられているのだ。

 もし,その情報が正しいのであれば,今年のモバイルゲーム市場のヒット作である「Candy Crash Soda Saga」や「Clash Royale」のようなアプリも超えてしまうことになる。そのローンチ1か月の成績だけを見れば,King.comによる「Candy Crash Soda Saga」の収益の7倍にも及ぶほどなのだ。


※翻訳の一部は,公式サイトの日本語訳を直接利用しています
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