CRI・ミドルウェア,触覚技術に対応した「CRI HAPTIX」発表

 2016年6月30日,CRI・ミドルウェアは米Immersionとの提携によるCRIWAREに触覚技術を導入した製品を発表した。これは両社の提携時に予告されていたものだが,本日より販売が開始されることになった。

 Immersionは20年以上触覚専門に研究を積んでいる業界のNo.1企業である。振動を利用した触覚技術で数多くの特許と知見を有しており,事実上,同社の技術なしで触覚対応のゲームは作れないといってよいくらいだ。


 今回発表された製品は「CRI HAPTIX」と名付けられているが,現状のところは同社のサウンドミドルウェア&ツールである「adx2」に対する拡張として扱われるようである。adx2で触覚用のトラックが新設され,タイムライン上に触覚パターンを埋め込むような感じのUIとなっている。adxを使っていたゲームであれば非常に簡単に触覚技術を追加できるのもウリといっていいだろう。
 触覚用の振動パターンにはImmersionから提供された124パターンが用意されており,これを任意の位置に任意の長さで埋め込んでいく。もちろん独自に波形を作って再生することもできるのだが,基本となる124パターンを組み合わせればほとんど必要ないだろうとのこと。adx2上での操作となるので,時間軸を合わせれば音との同期も簡単にできる。
 なお,振動データの指定では複数のトラックを使用できるが,出力自体はブレンドなしの1ch出力で,後着優先の再生となる模様だ。


 触覚技術を導入することでゲームにどんなメリットがあるのかについては,Immersionが多数の調査を行っている。同種のゲームで振動要素ありとなしで比較した場合,継続率に優位な差が確認されている。いわゆるマルチモーダルなインタフェースは,ユーザーに,より強い印象を与え,ゲームの楽しさをブーストしてくれる。
 とはいえ,振動させっぱなしのような使い方は効果が薄く,ここぞというところで使うことが重要であり,海外のカジノゲームでは,コインの払い戻し部分で振動を使うことで大きな効果をあげているものもあるという。

 ちょっと気になるのは消費電力だ。振動をつけることでより多くの電力を使うのは間違いないのだが,電池のもちが激減するというほどではないようだ。あるゲームで一定時間のゲームプレイを行ったときに,振動なしの場合の電池消費が15%,振動ありの場合には17%だったという。かなり描画負荷の高い「Need for Speed」の場合,振動なしで30%消費する時間で振動ありだと31%消費と,ゲームを動かしているときのCPUやGPUの消費電力を考えると,誤差程度で収まっているようだ。

 現在提供されるのはAndroid版のみでiOS版については準備中となっている。7月5日に開催されるGTMF大阪や7月15日のGTMF東京でデモが公開されるので,気になる人は会場に行ってみるのもよいだろう。

CRI HAPTIX製品情報ページ

未体験の感動、手のひらから
CRI、2016 年 7 月よりスマートフォンゲーム開発向け触覚ミドルウェアを提供開始

 株式会社CRI・ミドルウェア(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:押見正雄、以下CRI)は、スマートフォンゲーム向け新製品、触覚ミドルウェア「CRI HAPTIX(読み:シーアールアイ ハプティクス) Android 版」の提供を開始いたします。
CRI HAPTIX は、124種類のバリエーションに富んだ振動パターンをゲーム演出に活用することで、これまでにないユーザー体験を実現する触覚ミドルウェアです。触覚技術で世界をリードするイマージョン社と、ゲーム開発向けミドルウェアのCRIが提携して、高品質な触覚演出がプログラムレスで可能な開発環境を実現しました。

■CRI HAPTIX の特長
1. “無音のサウンドエフェクト” で新しいユーザー体験
 CRI HAPTIX は、ゲームの映像や音声に合わせた触覚演出を可能にすることで、ゲームへの高い没入感やワクワク感を実現します。触覚演出によって、電車の中などのサウンドが再生できない環境下でも、ゲームプレイの満足度を高めることができます。まさに、振動は“無音のサウンドエフェクト”なのです。

2.プレイ時間増加・収益性向上につながるテクノロジー
 触覚演出を効果的にゲームに組み入れることで、ユーザーのプレイ時間の増加やリテンション(再訪率)の向上が見込めます。イマージョン社が米国で行ったテスト (※) では、同じゲームでも、触覚演出ありの場合のプレイ時間、起動回数、課金率が、触覚演出なしの場合に比べて高くなる、という結果が出ています。
※同一ゲームの振動有/無によるユーザーの動向調査

3.イマージョン社の特許に支えられた高品質な振動表現
 CRI HAPTIXは、 2,000 を超える触覚技術の特許を保有および出願中であるイマージョン社との提携により生まれた新しいミドルウェアです。 124 種類の振動パターンの組み合わせを複雑なプログラミングなしで実現し、クオリティの高い触覚演出を実現します。ゲーム表現の幅を広げ、新しいユーザー体験を生み出す開発環境を提供いたします。


■触覚ミドルウェア「CRI HAPTIX」概要
・直観的な触覚演出ツール
 CRIの直感的かつ操作性に優れたオーサリングツールによって、触覚演出の組み込みから調整まで手軽に行えます。 124 種類の多彩な振動パターンから、シーンにあった振動を選択して、タイムラインに配置するだけで触覚演出が設定できます。さらに、タイムライン上にサウンド情報を表示して振動パターンを載せることで、サウンドとタイミングを合わせた触覚演出も容易に設定できます。
・実機プレビュー機能で細かな調整を手軽に実現
 組み込んだ触覚演出を確認・調整できる機能です。実端末上で即時にプレビューできるうえ、ゲームを動かしながら細かい調整を行うことができるため、思い通りの演出を実現することができます。
・音と振動をズレなく連動
 CRI ADX2 の「Android 音声再生遅延推測機能」を使うことで、 Android 端末で起こりがちな、サウンド、ゲーム描画、振動のズレを解決し、心地良いゲーム演出を実現します。
・各種ゲームエンジンに対応
 Unity、 Cocos2d-x に対応しており、開発環境に合わせた触覚演出の設定が可能です。

■対応端末
Android スマートフォン

■ライセンス料
ゲームアプリの売上に応じたレベニューシェア方式
(詳しくはお問い合わせください)

■「CRI HAPTIX」製品紹介ページ
http://www.cri-mw.co.jp/product/smartphone/haptix/index.html

■製品に関するお問い合わせ
http://www.cri-mw.co.jp/contact/