「Titan MMO」の壮絶な死が,Blizzardの「Overwatch」を生み出した

 ゲームディレクターのJeff Kaplan氏が,この開発チームが敗者の集団でないことを世界に証明するための貪欲なまでの姿勢について語る。

 Blizzard EntertainmentのゲームディレクターJeff Kaplan氏は,同社のキャンセルプロジェクトとなったMMORPG「Titan」が,期待していたほどのデキではなかったことをあからさまに語った。

 このTitanは,同社の大ヒット作である「World of Warcraft」を超えるべき新作として進められていたプロジェクトであり,少なくとも7年という期間をかけて開発が進められていた。最初に,そのヒントが語られ始めたのは2007年のことだったが,2013年8月には,すでに佳境に入っていたことは公表されていたのだ。そのプロジェクトが開発中止になるまで,さらに1年を費やすことになったが,それまでに同社が投入していた5000万ドルが水の泡になったわけだ。

 もちろん。Titanが開発中止に至った経緯としては,PCゲームにおけるMMOジャンルが難しい状況になったという理由が大きいというのが,多くの関係者の見るところである。しかし,Gamespot誌とのインタビューにおいて,そのプロジェクトのディレクターでもあったKaplan氏は,チームは非常に有能なメンバーであったとしつつも,「我々はひどい失敗を犯してしまいました。そのプロジェクトの隅々に至るまで,本当に凄まじいほどの失敗でした」と話していたこともある。

 「誰も言葉にしないし,皆がお互いを支えあっていましたが,それぞれの心のどこかに自分に対する恥のようなものを感じており,『我々だって,Blizzardのメンバーとして価値があるんだということを証明しなければならない。我々の会社が誇りに思えるようなものを作り上げるんだ』という思いがあるのです。Titanの開発期間中は非常に挑戦的な時間であり,常にプレッシャーを受けていました。もちろん,プレッシャーには慣れっこでしたが,誰も経験したこともないようなものだったので,一人ひとりがさらに鍛錬されることになったのです」とKaplan氏は語る。

 いよいよローンチを迎える「Overwatch」は,このTitanと同じ開発メンバーたちによるもので,Titanの崩壊の余波を逃れるための最後のチャンスであるとKaplan氏は感じている。「メンバーの多くが,それぞれに自問自答を続けてきました。だからこそOverwatchのプロジェクトが始動したときには,チームの結束力が高まり,面白いものを作り上げることのできました。敗者の集団ではないことを世界に証明するための,どん欲なまでの姿勢があったのです」

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