Google Stadiaでゲームをリリースするには

Googleの Ray Bautista氏は,Stadiaは「今日いくつかの店頭に存在するワイルドウェストから遠ざかっている」と語る。

 Stadiaでゲームをリリースしたい? あなたは4000人以上の開発者とともに優良企業にいるとしよう。

 しかし,Stadiaのビジネス開発マネージャーであるRay Bautista氏は,Googleは誰を許可するのかを気にしていると主張している。チームは,クラウドストリーミングプラットフォームがキュレーションされたストアフロントエクスペリエンスになることを望んでいるのだ。

 「Stadiaは,今日の店頭にある無法地帯から離れることが重要でした」とBautista氏はPAX DevのGamesIndustry.biz Investment Summitで語った。「スタジオがゲームのアイデアを持っているからといって,我々のプラットフォームでそのゲームを公開できるようにするわけではありません。デベロッパまたはパブリッシャが成功したゲームをリリースしたからといって,その直後に続く10,20,50本の類似作を許可することはできません」

 「開発者にスポットライトを当て,才能のある開発者と出てくるコンテンツを紹介できるように我々のプラットフォームに来るすべてのコンテンツを見ることが重要です。さらに重要なのは,我々のプラットフォームでリリースされるコンテンツに誇りを持てると確認することです」

「我々はプラットフォームに来るすべてのコンテンツを調べています」

 Google Stadiaにゲームを載せるための最初のステップは非常に簡単で,たった2ページの申請プロセスだけだ。これは今年初めにGDCでプラットフォームが公開後に4000人以上の希望者が登録を完了している。これらの申請はすべて,Googleの人間チームによって検討されており,申請が承認された場合は,会社,売り込み,ニーズに関するさらに詳しい情報を送信する必要がある。それが,Bautista氏が Investment Summitの講演でStadia自体の開発方法だけでなく,同社がプラットフォームにもたらされるゲームに求めているものに焦点を当てた理由だ。

 Bautista氏によると,Stadiaの開発は,「インスタンス」と呼ばれる世界中のGoogleデータセンターでゲームを実行するカスタムマシンを中心に行われている。 Stadiaでゲームを作成している場合,これらのインスタンスのいずれかで実行されている。そして,これらのゲームをプレイする顧客は,コントローラ入力を送って,それらのインスタンスからゲームをストリーミングする。また,PC,モバイル,タブレット,Chromecastなどのデバイスに関係なく,すべて同じように機能する。

Google Stadiaでゲームをリリースするには

 Bautista氏は,これまでに複数のプラットフォームにゲームを出荷したことがある人にとっては安心できると述べている。「Stadiaの良いニュースは,単一のソースコードベースのプラットフォームだということです。つまり,サポートされたデバイスへゲーム出力を処理するように構築されており,サポートされているデバイスのパワーは開発者には関係ありません。心配する必要があるのは,データセンターのハードウェア上でゲーム自体を構築することだけです。プラットフォームは,提出および認証プロセスを実行する際に,ほかのあらゆることを処理します」

 ゲームを作成する際,Stadiaにアップロードする方法はいくつかあるとBautista氏は語る。クラウド自体で直接開発する,もしくはGoogleの「ノード」のいずれかを使用できる。ノードには2種類あり,サーバー開発ノードは,Bautista氏が「スタジオのサーバールームに入る非常に大きな物理的開発キット」と説明したもので,4つの異なるStadiaインスタンスを持っている。または,単一のインスタンスを持つデスクトップ開発ノードがある。


「Stadiaは,サポートデバイスへのゲーム出力を処理するように構築されており,サポートされているデバイスのパワーは,開発者には関係ありません」

 しかし,それを使える立場に到達したい場合は,最初に申請して受け入れられなければならない。それはStadia.dev(参考URL)から始まり,前述の申請フォームに記入することから始まる。そして,Bautista氏は「記入する」部分を強調し,デベロッパにそれを軽視しないよう警告した。

 処理すべき申請は多いが,受け入れられると,会社と売り込みに関するさらに多くの資料を送信するためのリンクが記載されたメールが届く。その後,会社の評価段階に送られる。Google Stadiaの評価担当者が優先するプロジェクトを決定するプロセスだ。あなたのアイデアが受け入れられた場合,ゲームニーズに応じて,カスタマイズされたスポンサーシップパッケージの検討に進むとBautista氏は語った:初期の財政支援,開発予算,PRまたはマーケティング支援,ユーザー調査,独占取引,またはそれ以外の何かだ。

 応募プロセス中に可能な限り多くの情報を提供し,素晴らしいゲームを楽しむことに熱心であることは別として,Bautista氏は,Googleが考慮に入れる重要な要素の1つは,Stadiaプラットフォームプロジェクトの具体的な実行可能性であると述べた。Google Stadiaに固有の機能または輝かしい特定の機能を備えたプロジェクトは,おそらくパートナーシップの優先順位が上げられる。

Google Stadiaでゲームをリリースするには

 たとえば,氏はStadiaの期間限定エクスクルーシブタイトルであるOrcs Must Die 3(関連記事)を例に挙げた。これには,簡単に言えば,―ほとんどのPCでは処理しきれないくらい― 多くのオークが出てくるモードが備えられている 。通常,これでは,ほとんどのプラットフォームでほとんどの人がゲームにアクセスできなくなるのだが,Google Stadiaではデバイスに関係なく機能する。

 別の例として,Bautista氏は,デベロッパが独自の方法で利用できるGoogle Stadia向けに用意された機能の一部を概説した。以前紹介されていたのはStream Connectだ。これは,プレイヤーの画面に複数の視点を一度に表示するもので,戦略的なプレイに最適である。

 もう1つはState Shareだ。これは,誰かがゲームのメタデータを共有可能なリンクにコンパイルし,それをほかのユーザーと共有できるようにするという機能だ。たとえば,特定のレベルで,特定の鎧を着用し,特定の武器を使用してキャラクターのスナップショットを取得し,その状態をYouTubeストリーム,テキスト,または電子メールで送信できる。クリックすると誰でもその状態でゲームを体験でき,友人とゲームを共有したり,プロモーションツールとして使用したりできるのだ。

 最後にCrowd Playがある。これは,GDCでの最初のStadiaの公開でチラ見せされた機能だ。Google StadiaでCrowd Playを有効にするには,Stadiaの招待システム(すべてのマルチプレイヤーゲームで必要)のサポートと,追加のAPIの統合という2つの要件のみが必要になる。これにより,ライブストリーマーがゲームをプレイできるセットアップが可能になり,視聴者は列に並んでプレイしたり,対戦したり,ジャンプしたり,すぐにゲームに参加したりできる。その他のオプションには,YouTubeチャンネルからプロトタイプまたは再生可能なデモを共有することが含まれる。これらは,開発中と開発後の両方で利用可能だ。

 これらの機能を見て,Bautista氏は「クラウドベースのプラットフォーム上だということがゲーム全体の設計に意味することを考えて」,他のプラットフォームでは不可能なプロジェクトにはどんな種類のものがあるのかを尋ねるように申請者に促した。 ― それこそがGoogleが最も興味があるところなのだ。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら