Opinion:Nintendo Switch Liteは成功する運命にあるが,Switch Proは重要だ

エンゲージメントは,任天堂の成功の真の指標となった。

 古典的な任天堂。今後6か月間の最重要製品を宣伝する大イベントであるE3からほんの1か月後,その現在を選んで新しいSwitchは発表された。

 もちろん,これはちょっと不公平だ。任天堂は,Microsoftが新しい超強力なゲーム機をチラ見せすると予想されていたE3で,機能をそぎ落とした携帯専用ゲーム機を発表することに明らかに慎重だった。加えて,いま発表が終って,任天堂がLAでのショーケースをやめることにした理由がはっきり分かるだろう。それほど面白いものではない。こいつは,初出時にこれを妙味深いものとしていた革新的な部分がなにもないSwitchだ。

 この発表は,同社の有名な任天堂ダイレクトの配信で取り上げられておらず,過去の例でいうとNintendo Laboの最初の公開時の扱いに最も近い。それだけで任天堂がSwitch Liteについてどう思っているか教えてくれるはずだ。これは,任天堂ダイレクトの配信を視聴する中核的なゲーマー層向けのものではない。これはメインストリームの,よりカジュアルなゲーム購入者のためのものだ。

「今回の発表は,任天堂がLaboを最初に発表したときと最もよく似ている」

 Switch LiteとPlayStation Vita,ソニーの携帯ゲーム機市場における不遇な最終業績と比較するのは自然なことだろう。どちらも据え置き型並みのゲームをプレイするハイエンドの携帯機器であり,どちらもインディーズが大成功を収めている。それでもSwitch Liteには,(それらがすでにあるから)任天堂のAAAゲームのラインナップと戦う必要がないという利点があり,さらにインストールベースと認知度は,迅速な全面展開を可能にするだろう。

 そしてそれこそが,まさにSwitchがより幅広いオーディエンスにリーチするために必要なものだ。価格を引き下げることができれば,3DSが視野から消えていくので,任天堂は7500万の3DS所有者にアピールすることも可能になるだろう。そして,任天堂のポータブル開発チームによるゲームのラインナップだ。 ― それらには,ゼルダの伝説 夢をみる島,ファイアーエムブレム風花雪月,ポケモンソード&シールド,ルイージマンション3とあつまれどうぶつの森 が含まれる。これはそれらのファンにアピールするためにあることを意味する。それは理想的な3DSの置き換えだ。

Switch Liteは3DSゲーマーを魅了することを望んでいる
Opinion:Nintendo Switch Liteは成功する運命にあるが,Switch Proは重要だ

 しかし,課題がないと言うわけではない。任天堂は過去にゲーム機から機能をそぎ落とし,より安い価格で売ったことがある。― 最近では2DSで3DSを取り込み,その最大の売り文句を削ってしまった。それはとくに若いオーディエンスの間で,本当に成功を収めている。

 しかしながら,今回は事情が少し異なる。任天堂の直近の携帯機が持つ3D要素は,同社が期待していたほどウリのシステムにはならなかった。すでに重点は3Dの話よりもゲーム自体に移行しており,3Dスクリーンなしのバージョンを開発することは,さほど落胆するようなことではなかったのだ。

「Microsoft,ソニー,Googleが新しいプラットフォームを宣伝し始めるようになると,Switch Proは非常に重要なものになるだろう」

 Switchは立場が違う。このゲーム機の「いつでも,どこでも,誰とでも」というマーケティングメッセージは依然として同じであり,機能している。Nintendo Switch Liteはこれに適合しない。任天堂はこの新しい製品のプロモーションをしながら,どうやって元のデバイスのための売り言葉を保持するかを考える必要があるだろう。

 さらに,Switch Liteのおかげで,いくつかの避けられない犠牲者が出るだろう。3DSは明らかだが,Nintendo Laboもそうだ。Laboは任天堂がSwitchの幅を広げ,若年層を集めるために作った最初の力作だった。SwitchLiteもそういう意図のものである。携帯専用という特性上,新しいデバイスではLabo製品は動作しないだろう。Switch Liteは,Laboによる実験の終わりの始まりを非常によく示しているように思える。

 それにもかかわらず,任天堂の株主への発表は歓迎すべきものだった。同社の株価は明らかになって急上昇した,そしてアナリストのコンセンサスは,これがクリスマスまでの間に非常によく売れるはずだということである。今注目されているのは,発表されていないが広く期待されている別のSwitchモデル,Switch Proだ。

※言うまでもありませんが,Switch Proという名称は任天堂が発表したものではありません

 多くの点で,このデバイスはさらに重要になるかもしれない。SwitchでNintendoが驚いたことの1つは,ゲーム機がされている純粋な使用レベルについてだった。昨年度は野心的なハードウェア販売目標を逃したかもしれないが,(おそらくさらにもっと重要な)ソフトウェア目標を大きく上回ったのだ。ゲーマーは,任天堂が予想していたよりも多くのゲームをこのゲーム機でプレイしている。Switchには活発で熱心なコミュニティがあり,同社は本当にその需要を満たすのに十分な速度でゲームを用意することことはできない。

 Switch Proは,そのオーディエンス向けのデバイスであり,Microsoft,ソニー,およびGoogleが2020年に新しいプラットフォームのプロモーションを開始してくると,きわめて重要なものとなってくるだろう。もっとピカピカに新しいマシンやサービスが市場に出始めたときでさえも,任天堂はコアゲーマーの間でその名声を確実にしたいと思うだろう。

 過去に,任天堂はゲームのために客層を広げることについて話しをした,そして,同社の哲学的として,まだインストールベースを成功の主要な測定基準として見ているかもしれない。それでも,同社の経理部門は常にゲーム機よりも多くのゲームを販売しようとするだろう。そして,Switchにエンゲージされた顧客を確保することは,今後18か月にわたって任天堂の最大の目的になるはずだ。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら