2018年のゲーム業界の投資は570億ドルに上昇

投資金額は2017年の2倍以上となった。EpicGamesの12億5000万ドルがラウンドを牽引している。

 新たなレポートは,昨年のビデオゲーム企業への累計投資額が60億ドル(約6558億円)近くになることを示している。

 Digi-Capitalの「Games Report Q1 2019」は(参考URL),投資と金融ラウンドを追跡して2018年の総額が57億ドルに上ることを明らかにした。これは2017年の2倍以上に当たり,新記録を打ち立てるものである。

 一方で,昨年は合併や買収で220億ドルが使われている。これはM&Aでの年間投資額としては2番めになるものだ。これはNapstarsがTencent株の2%を100億ドルで売り出したことと,Tencentなどの企業が20億ドル以上のUbisoft株を獲得したことに起因する(関連英文記事)。

※NapstarsはTencentの筆頭株主。2%売却後も31%以上を保有している
※以前Ubisoftに敵対的買収を行っていたVivendiは3月に全保有株を売却し,Tencentなどが購入している


 大規模投資のトップ5を合計すると,30億ドルに達するが,その最大のものは ― Epic Gamesによる10月の出資ラッシュ(関連英文記事)― 合計12億5000万ドルとなっている。トップ5のうちの3社 ―Douyu,Shanda Games,Huya ―は中国のゲーム会社だ。この印象的な結果は,昨年の(※中国国内?)市場での苦闘からもたらされている。

 Tencent自身はトップ5に入っていないものの,Digi-Capitalは,リストに挙がっている4社への出資者ないし主要株主であることをレポートしていた。付け加えると,同社はEpicに中国とのつながりを確立しており,中国ゲーム界の巨人は中国企業3社の投資に関わっている。

 さらに,昨年最大の投資を行ったEpicの投資ラウンドは,過去最大の非IPO系のゲーム投資となっている。単一の出資額では2017年のNetmarble GamesのIPOのほうが大きいのだが,Digi-Capitalは「Fortniteの異常な業績を考えると,その記録も破られるかもしれない」と記している。

 そのほか,その期間に,11の企業で1億ドルの投資と8つの買収が行われている。

 最も投資が行われた分野はモバイルと技術/その他で,Digi-Capitalはストリーミング技術にとくに興味を引かれているという。モバイルは2017年と比較して大きく融資の割合を増やしており,技術/その他分野は金額上昇分のほぼ半分を占めている。2018年に各分野は約1/3となっている。

 買収はモバイルを中心に行われており,MMO/MOBAとゲーム機/PCスタジオがそれに次いでいる。

 Digi-Capitalはゲーム市場が「信じられないほど統合されている」としている。トップ10の公開企業が,公開ゲーム企業の収益の3/4以上と全世界の公開ゲーム企業の評価額の4/5を占めているのだ。

 同社のマネージングディレクターを務めるTim Merel氏は「このように高度な統合がされたヒット駆動の市場で,昨年のゲーム取引活動は桁外れのものでした。同じことが今年も続くのか,取引の循環的性質が市場を引き戻すのかを判断するには早すぎます。一つだけいえるのは,これが鈍ることはないということです」と記している。

 以下は2018年の5大投資企業である。

1.Epic Games (12億5000万ドル)
2.Douyu (6億3000万ドル)
3.Shanda Games (4億7400万ドル)
4.Huya (4億6200万ドル)
5.Voodoo (2億ドル)

※DouyuはTencent系のゲーム実況配信サービス
※Shanda GamesはTencentの子会社
※HuyaはTencent系のゲーム実況配信サービス
広義にEpic GamesもTencent系だと考えると,全世界のゲーム投資の半分近くはTencent系が行っていることになる


※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら