[CJ2018]軽量・高解像度なスタンドアロンVRヘッドセット「Pico G2」の実力は?

 2018年8月3日から6日まで中国・上海で「ChinaJoy 2018」が開催されている。会場内で併催されているスマートデバイス向けの展示会「eSmart」ではVR関連の出展が激減していることは何度もお伝えした。
 そんな中で,Pico TechnologyはChinaJoyに合わせて新製品を発表してきている。中国では8月1日に発売開始された「Pico G2」は,Pico Goblinという製品の2代めにあたるスタンドアロンタイプのVRヘッドセットだ。

[CJ2018]軽量・高解像度なスタンドアロンVRヘッドセット「Pico G2」の実力は?

 その仕様を見ると,SoCにQualcommのSnapdragon 835を搭載し,メインメモリは4GB,内蔵ストレージ32GB+最大256GBに対応したmicroSDスロットを用意している。画面は1440×1600ピクセルの液晶を2枚使用し,最大リフレッシュレートは90Hzとなっている。同クラスの製品と比べて画面スペックは高めだ。
 前世代のGoblinよりも性能を上げつつ大きく軽量化された285gの本体は,後頭部にバッテリーを配置することで重量バランスを改善しており,数字以上に軽く感じるデザインとなっていた。
 会場では機能を確認できなかったが,前面部にはカメラが設置されており,装着したまま外部を見たりジェスチャー機能に使われるという。カタログ上は3DOFとなっているので,インサイドアウトのポジショントラッキングには対応していない。
※一部訂正。カメラが付いている機種は「Pico G2 Pro」で写真の機種はカメラのないノーマル版

 また,専用コントローラは一見Daydreamと同様なインタフェース構成に見えるのだが,トリガーボタンが追加されている。

 スペックをざっと見て,Oculus Goの豪華版というか,機能やデザインに隙のない構成のヘッドセットといえる。SoCがSnapdragon 845であればQualcommはインサイドアウトの6DOFやSLAMなどもできるとしていたと思うのだが,そこだけが惜しい感じだろうか。
 すでに日本でも発売が発表されており価格は9万9500円(税別)となっている。

[CJ2018]軽量・高解像度なスタンドアロンVRヘッドセット「Pico G2」の実力は?

バッテリーは後頭部に配置されている
[CJ2018]軽量・高解像度なスタンドアロンVRヘッドセット「Pico G2」の実力は?
 実際に会場で使用してみて実感したのがレンズのよさだ。視野角はやや狭めなものの(101度),素直にフォーカスが合い,それが全体にいきわたっている。この手のVRヘッドセットではいちばん重要なことである。
 全体にハードウェアとしては悪くない。ブロックバスターとなっているOculus Goと比べると価格が高いのはしかたないが,低価格版として旧Goblinも併売されるようなので,Picoとしてはそれでバランスを取っているのだろう。

 Picoはスタンドアロン型VRヘッドセットにかなり早くから取り組んでいた会社だ。雲霞のように現れた中国の独自仕様ヘッドセットがほぼ姿を消した現在でも変わらず活動を続けている。
 独自仕様ゆえにソフトウェア供給に関しては難点がある。HTCのViveportを通じてソフトウェアを流通させる発表が行われたことでそれも少しは改善されるのかと思ったのだが,そちらはPico NeoなどPC接続型のみでの展開のようだ。
 スタンドアロンタイプは,業務用特化の路線を除くとOculus+Gear VR勢かDaydreamでないと難しい局面にあるのは当面変わらないかもしれない。

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