Xboxはゲーム機の次の未来を準備している

最新のGame PassサブスクリプションはMicrosoftの「ハードウェアレス」な未来への一歩を示している。

 Microsoftは本質的にソフトウェアとサービスの会社である。

 これまで常にそうであった。同社はOSとワードプロセッサを作り,クラウドサービスを提供した。これは同社のアイデンティティの中心となる部分である。

 それに対し,ソニーはハードウェアビジネスだ(※少なくとも昔は)。同社はウォークマンやテレビ,スマートフォンを作った。

 もちろん彼らはお互いの領域に手を出している。しかし,この核心部分の違いは,両社がゲーム事業で微妙に違ったアプローチを取ることへの理解の鍵となる。

 ソニーは7360万台というPS4のインストールベースを誇りに思っている。同社がPlayStationを販売すればするほど喜ばしいことになる。

 MicrosoftもたくさんのXbox Oneを売りたいと思っている。もちろん,そうだ。しかし,それは同社が成功を判定する際の最大の判定基準ではなかった。Microsoft ―ソフトウェアとサービスビジネスを本質とする― は,ソフトウェアとサービスを利用する大勢の顧客を得ることを望んできた。それはXbox One Xかもしれないし,PCもしくは(小声で)PlayStationでさえあるかもしれない。

 私は,Xbox OneエクスクルーシブはずのタイトルがPCで発売されている事実に混乱しているゲーマーをよく見かける。彼らは,これはXbox Oneの全体的な魅力を損なうだけだと示唆している。しかし,Phil Spencer氏と彼のチームはまったく気にかけていない。もしあなたがPCでSea of Thievesをプレイしていたり,Nintendo SwitchでMinecraftを遊んでいたとしたら,あなたは(実質的に)Microsoftユーザーなのだ。お客が増えるのはよいことだ。

 これが昨日(※2018年1月22日)のGame Passのニュースが重要だった理由である(関連英文記事)。Xboxが登録者の毎月の支払いに対して100本のゲームを提供するサービスを発表したとき,自然とNetflixとの比較が行われた。しかし,これらは実際には同じものではない。Netflixは,新作やこのサービスを通してのみ手に入るオリジナルコンテンツに満ちている。Game Passは旧作互換かインディーズゲームが詰まったカタログである。対象ユーザーはニッチゲーマーかプラットフォーム初心者で過去の作品を掘り返そうという人に限られている。

「Microsoftのクラウド基盤は最終的に,現状のNetflixと同じやり方で,複数の画面にアクセスできるオンデマンドゲームサービスの提供に使われることになるのだろう」

 非発売のタイトルが発売日に登場するのを含めて,ファーストパーティによるXboxがすべてGame Passにやってくるというニュースは,重要な動きだ。これは投資に対する大きな動機付けになるだろう。もしあなたがSea of ThievesかCrackdown 3をいつも選んでいたとしたら,今後6か月間のサービス料金はすでに支払われているのだ。

 Game Passの最初の課題は,発売予定のファーストパーティコンテンツの欠如にある。2018年前半にファーストパーティからリリースされるのは(上記の2作にState of Decay 2を加えた)一握りのタイトルしかないが,Phil Spencer氏はGears of War,HaloそしてForzaシリーズの新作を匂わせている。しかし,大勢の人をGame Passにいざなうには,Xboxはさらなるユニークなソフトをもっと頻繁に提供する必要がある。

 昨年,Spencer氏はBloombergに同社がやろうとしていることを正確に語っている(関連英文記事)。氏はXboxは成長を必要としており,「それに期待している」と語っている。FableとPerfect Darkの新作に関する最近の噂は,Microsoftがファーストパーティを増やそうと投資をしていることを祖適している。

 これらのゲームが出るには時間がかかるだろうが,それはかまわない。Game Passはいますぐにはなにも変革しないだろうというのが事実だ。これはMicrosoftによる価値ある提案を強化し,PlayStationの支配を切り崩すための今後の取り組みを差別化するのに役立つだろう。これは,実際に多くのタイトルをリリースすることなく,Xboxがファーストパーティエクスクルーシブタイトルを(新作旧作問わず)とくに重視する手法である。そしてこれは顧客の主力層にゲーム機の魅力を拡大する手助けになるかもしれない。

 しかし長期的には,Xboxは作品を将来のハードウェアなし体制に向けて整備している。Microsoftのクラウド基盤は最終的に,現状のNetflixと同じやり方で,複数の画面にアクセスできるオンデマンドゲームサービスの提供に使われることになるのだろう。それは,ゲーマーにどのようにコンテンツを配信するかを根本的に変革する際に対応するツールを持っている。

 これはXboxの断念ではない。それとはほど遠い。これは同社がほかの分野で成功裏に行っていることをゲームでやっているだけだ。― つまり,強力なプラットフォームを作って,そこに高品質なソフトウェアを提供するのだ。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら