アナリストが語るホリデーセールスによる任天堂の「常識はずれの好転」とは

Black FridayとCyber Mondayを切っ掛けにしたアナリストとの談話

 Black FridayとCyber Mondayが過ぎ,我々は公式に年末商戦が始まったと言えるようになった。

※Black Fridayは11月第4週の木曜日に行われる感謝祭の翌日のことで,通常,欧米ではその金曜日を中心に大規模な年末セールが行われる。Cyber Mondayは,その週明けの月曜日のこと。多くの場合,セールは月曜日まで行われており,週末に買い逃したものをオンラインで購入する人が殺到する日として知られている。

 この時期は,ビデオゲームビジネスとテクノロジー/エンタテイメント業界で大量の消費が行われると一般的に言われている。実際,Adobeによると,この月曜日には,66億ドルという北米史上で最大のオンラインショッピング売り上げを記録したという(参考URL)。これは2016年のCyber Mondayと比べても17%増加している。Black Fridayも悪い稼ぎではなかった。50億ドルの売り上げを生み出しているという。またアメリカ人は感謝祭の日自体でも29億ドルを消費している。

 AppleとSamsungの製品,ChromecastやRokuといったデバイスを除いて,最大の売り上げをあげていた業者のうちにはビデオゲーム関連も含まれる。目立っていたのはNintendo SwitchとSuper Mario Odusseyだ。PlayStation VRとXbox One Xもホットな販売業者だったといっていいだろう。

 現在我々はNPDグループからの公式なデータがくるのを待っているところだが,我々が話をしたアナリストは,2017年の大半を占めていたので任天堂は間違いない話だとしている。実際IDCによると,任天堂はSwitchのバンドル版をもって,ほとんど単独でハードウェア販売を推進していたという。

 IDCのリサーチディレクターであるLewis Ward氏は「私の予備集計によると,2017年の北米(アメリカ+カナダ)での家庭用ゲーム機出荷台数は1500万台近くになり,1160万台売り上げた2016年のほぼ30%増しになります。増えた分のほぼすべてがSwitchによるものです。任天堂が昨年北米で出荷したWii Uは40万台もありません。今年だけでSwitchは520万台もこの地域に出荷されています。これは非常識なくらいの好転です」

「私は,今回のBlack Fridayは,派手なグラフィックスを求める人は限られており,Switchのようになにか新しくユニークなものを提供すれば消費者は求めようとするということを示しているのではないかと思います」
-David Cole, DFC Intelligence

 「私が言えるのは,気のために森を失うべきではないということです。2017年の家庭用ゲーム機業界で最大のトピックは任天堂の復活でした。それにも関わらず,私の調査では2017年第4四半期,そして2017年全体を通してPS4がXbox One全体よりも多く販売されることが示唆されています。さらに私の予測では2017年第4四半期のハードウェア出荷台数は,北米における2016年の状況と比べて25%上昇します。私が言ったとおり,この進展の最大の要因は任天堂の復活です」

 ソニーはすでに史上最高のBlack Fridayのニュースでもてはやされているが(関連記事),Xbox One Xも499ドルという価格にしてはよく売れていたようだ。アナリストはすでに,今月初めに売り上げ予想を2倍にしたと発表しているが(関連英文記事),しかしここで問題なのは,高忠実型4Kという井戸は枯れないのかどうかということだ。

 「私は全体的に,ハイエンドゲームシステムに対する需要の限界の問題があると思います」とDFC IntelligenceのDavid Cole氏は発言した。「Xbox One Xは現在,多くのお金を持っており,最新・最高を求める人に売られています。しかし,客層はすぐに枯渇するでしょう。PS4は全体的にうまくいっていますが,PS4 Proは伸び悩んでいます」

 「ですので,私は,今回のBlack Fridayは,派手なグラフィックスを求める人は限られており,Switchのようになにか新しくユニークなものを提供すれば消費者は求めようとするということを示しているのではないかと思います」

 それでもXbox One Xが期待以上でXbox One Sは激しく値下げされており,Cole氏は11月と12月に関しては好成績を予想でしている。Xbox Oneの「今年全体の業績は悲惨」なものだとしてもだ。

 ソフトウェアの点では,任天堂のSuper Mario Odysseyは,人々が熱心に買い回ったSwitch本体にまったく見事なくらいに同時購入されており,折り紙つきの傑作となっている。サードパーティを見てみると,Cole氏とWedbush SecuritiesのMichael Pachter氏はCall of Duty: World War IIが勝者だと意見が一致している。Cole氏はUbisoftのAssassin's Creed Originsに言及し,同シリーズに新しい命を吹き込んだ最高の一作だとしている。

 「危ない立場にあるStar Wars Battlefront 2のレビューは売り上げを低下させるかもしれない。Call of Duty: WWIIは最高に売れるCoDになると予言しよう」とPachter氏はTwitterで語っている(参考URL)。

 投資家のメモの中で氏は付け加えている。「Activision Blizzardの Call of Duty: WWII先週購入可能だったゲームのうちで最も人気を博していたようだ。Best Buyは20ドル引きの39.99ドルという最低価格で提供していた。我々が訪れたBest Buyでは金曜の朝にはすでに売り切れていた。我々の直截な確認作業に続いてGameStopとパブリッシャによる早期の情報開示がもたらされた。先週,GameStopは,最新のCall of Dutyの発売セールが1年前の前作に対してドル換算で64%上回ったと発表した。11月8日には,Activision Publishingが全世界での出荷売り上げが最初の3日間で5億ドルを超えたと発表した(関連英文記事)。ローンチ時の全販売本数は昨年の2倍に達したという。

 「先週行った我々の販売網のチェックで,我々は自信を深めました。最新のCall of Dutyは発売四半期で2000万本以上を売り上げるでしょう。昨年残念な結果となっていたCall of Duty: Infinite Warfareから,このシリーズがかつていた高みに立ち戻るのです」

 ルートボックス論争によるStar Wars Battlefront 2関連の否定的な感情にもかかわらず,Pachter氏は同作が十分な売り上げを生むことができるという立場を取り続けている。「我々は,忠実なスター・ウォーズファンの基盤は2015年の前作に並ぶような成功をもたらすと信じ続けています」と氏は語っている。前作のStar Wars Battlefrontではこれまで1400万本以上が出荷されている。

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